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失敗は2度ある
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父さんには母さんとカエを守れと言われたが正直なところ自信がない。
体育のマラソンでは喘息と勘違いされ、腕立て伏せはせいぜい10回が限界だ。
父さんが何を思って僕にあんなことを必死になって言ったのかが分からない。しかし、1つだけ分かることがある。父さんが冗談で言ってないということだ。
あんな父さんを僕は見たことがない。
きっと何かが起こるんだ。それは悪魔種の襲来という可能性が高い。
今日、父さんは近くで事件が起きたから帰ってきたと言う。
ポケットに常備しているスマホを取り出しニュースを見るが事件という事件が起きていない。
帰宅させるほどの事件がニュースにならない訳がない。
父さんは仕事中に何かを見たんだ。
戦慄が全身に走った。
まさか、悪魔種が既に地球に来ている……?
マキナの話によると悪魔種には人間フォームがあるという。だとするとこの世界に混じっていても気づくことが出来ない。
確か、マキナはこうとも言っていた。人間フォームは体力を使う……悪魔種が人間の大量虐殺を始めたのも、このストレス故だ。
だとすると辻褄があう。父さんは人間フォームを解いた悪魔に偶然遭遇したのだ。悪魔が何をしていたのかまでは分からない。ただ、UMAなどを仕事にしている父さんがあれだけ動揺していたのだ。多分、人間を殺していたとかその辺りだろう。
「……マキナ!」
彼女を1人にさせるのは危険だ。
自室に駆け戻るとベットの上にどこか悲しげにマキナが座っていた。
「どうしたの? そんな顔して」
呑気にそう言うマキナに少し安堵した。
「悪魔種が地球に来ているかもしれない」
「そんなこと? 大丈夫、大丈夫。転送装置は私しか持ってないからアイツらはここには来れないわ」
「本当に?」
力強く、問い詰めるように言うとマキナは俯いた。
「本当は……確信はできない。父が緊急のために用意してくれていたものだから」
「やっぱりか。マキナよく聞いてくれ。近くに悪魔種がいるかもしれない。」
マキナが頷く。
「うん……実は少し前からここら辺の空気が淀んでいるの。でも、いや信じたくない。それじゃ私のせいで沢山の人が……」
「死ぬことになる。だからこそ策を考えないといけないんだ。」
マキナが首を力なく横にふった。
「策なんてない。悪魔種に勝てる訳がないよ」
「どうして! 亜人国と人間国に世界が分けられていたとき人間国はどうやって亜人国と戦ってきたんだ。悪魔種にも勝てない人間が生き残るわけがないじゃないか!」
マキナがボソリと呟く。
「最初は人間も兵器などを用いて戦っていた。でも悪魔種の鱗には何1つ有効なものがなかった。」
「じゃあどうやって」
「兵器では勝てない。だからそこで作られたのが、生物兵器ゆ……」
地震などの予兆もなくソイツは突然現れる。
壁に亀裂が入り破片と化して宙を舞った。
「きゃっ」
破られた壁の向こうには闇が広がり。その中に電灯の微かな光によって照らされている異型。
この前は腕だけだった。全身を見るのは初めてだ。とても直視していられない禍々しさだ。嘔気さえ感じる。
「悪魔種…………!」
「きゃあああぁぁあ! やめてやめてよ悪魔!」
腕を掴まれたマキナが抵抗するが悪魔の力には到底及ばない。
こんなに早く来るとは思わなかった。
「手こずらせやがって。こんな所に隠れているとはな。」
「何なのよ! 私達人間が何をやったってのよ。ふざけるなぁぁ!」
「耳元でその甲高い声で喚くんじゃねえよ。姫は姫らしく気絶しとけ」
悪魔種がマキナの額を鷲掴み細かく振動させた。
「あ、あぁ……」
マキナが白目を向いて気絶する。脳震盪でも起こしたのだろう。
いやそんな場合ではなかった。
「ど、どう……するんだよ」
足が震えて立っているのも困難な状態、勇気を振り絞って悪魔種に問いかける。
「あん? 誰だお前、殺すぞ?」
「ぼ、僕の問に答えろ!」
悪魔種が舌を打ち首を2回鳴らした。
「無能な人間が何をほざいてやがる。殺させてぇのか?」
2度とマキナを見捨てないと決めた。怖いけど逃げない。もしかしたらここで僕は殺されるかもしれない。でも、あんな思いをするよりかは断然マシだ。
息を吸って腹から声だす。
「マキナを離せ!!」
「あぁー分かった、分かった。望み通りに殺してやるよ」
そう言い終えた瞬間、悪魔種が消える。いや消えたのではない、凄まじい速度で移動しているのだ。
気づいた時には悪魔種が目の前にいた。
「じゃあなガキ。コイツと会ったことを後悔し……ん?」
悪魔種が顔をしかめて僕の顔をマジマジと見る。
気持ち悪くて吐きそうだ。
「お前……へぇ……初めて見るな。」
「な、何だよ……」
悪魔種が口角をあげる。鋭い牙が闇の中煌めいた。
「お前は面白ぇから特別に生かしといてやるよ。」
ただ……と悪魔種が続ける。
「次はお前でもねぇからな」
体が恐怖に強張り動かなくなる。
「クク……じゃあなジュニア」
そう言ってマキナと共に悪魔種の姿が消えた。
開放感からか僕はその場に膝をつく。
「うぉえええぇぇ……」
堪えきれずに床に嘔吐した。
ドタドタと誰かが階段を上がってくる。
僕はまた、何も出来なかった。僕は……また。意識が遠のく。マキナ……
「お、おいカナタ……カナタァァ!」
父さんの声を最後に僕の意識はプツリと途切れた。
体育のマラソンでは喘息と勘違いされ、腕立て伏せはせいぜい10回が限界だ。
父さんが何を思って僕にあんなことを必死になって言ったのかが分からない。しかし、1つだけ分かることがある。父さんが冗談で言ってないということだ。
あんな父さんを僕は見たことがない。
きっと何かが起こるんだ。それは悪魔種の襲来という可能性が高い。
今日、父さんは近くで事件が起きたから帰ってきたと言う。
ポケットに常備しているスマホを取り出しニュースを見るが事件という事件が起きていない。
帰宅させるほどの事件がニュースにならない訳がない。
父さんは仕事中に何かを見たんだ。
戦慄が全身に走った。
まさか、悪魔種が既に地球に来ている……?
マキナの話によると悪魔種には人間フォームがあるという。だとするとこの世界に混じっていても気づくことが出来ない。
確か、マキナはこうとも言っていた。人間フォームは体力を使う……悪魔種が人間の大量虐殺を始めたのも、このストレス故だ。
だとすると辻褄があう。父さんは人間フォームを解いた悪魔に偶然遭遇したのだ。悪魔が何をしていたのかまでは分からない。ただ、UMAなどを仕事にしている父さんがあれだけ動揺していたのだ。多分、人間を殺していたとかその辺りだろう。
「……マキナ!」
彼女を1人にさせるのは危険だ。
自室に駆け戻るとベットの上にどこか悲しげにマキナが座っていた。
「どうしたの? そんな顔して」
呑気にそう言うマキナに少し安堵した。
「悪魔種が地球に来ているかもしれない」
「そんなこと? 大丈夫、大丈夫。転送装置は私しか持ってないからアイツらはここには来れないわ」
「本当に?」
力強く、問い詰めるように言うとマキナは俯いた。
「本当は……確信はできない。父が緊急のために用意してくれていたものだから」
「やっぱりか。マキナよく聞いてくれ。近くに悪魔種がいるかもしれない。」
マキナが頷く。
「うん……実は少し前からここら辺の空気が淀んでいるの。でも、いや信じたくない。それじゃ私のせいで沢山の人が……」
「死ぬことになる。だからこそ策を考えないといけないんだ。」
マキナが首を力なく横にふった。
「策なんてない。悪魔種に勝てる訳がないよ」
「どうして! 亜人国と人間国に世界が分けられていたとき人間国はどうやって亜人国と戦ってきたんだ。悪魔種にも勝てない人間が生き残るわけがないじゃないか!」
マキナがボソリと呟く。
「最初は人間も兵器などを用いて戦っていた。でも悪魔種の鱗には何1つ有効なものがなかった。」
「じゃあどうやって」
「兵器では勝てない。だからそこで作られたのが、生物兵器ゆ……」
地震などの予兆もなくソイツは突然現れる。
壁に亀裂が入り破片と化して宙を舞った。
「きゃっ」
破られた壁の向こうには闇が広がり。その中に電灯の微かな光によって照らされている異型。
この前は腕だけだった。全身を見るのは初めてだ。とても直視していられない禍々しさだ。嘔気さえ感じる。
「悪魔種…………!」
「きゃあああぁぁあ! やめてやめてよ悪魔!」
腕を掴まれたマキナが抵抗するが悪魔の力には到底及ばない。
こんなに早く来るとは思わなかった。
「手こずらせやがって。こんな所に隠れているとはな。」
「何なのよ! 私達人間が何をやったってのよ。ふざけるなぁぁ!」
「耳元でその甲高い声で喚くんじゃねえよ。姫は姫らしく気絶しとけ」
悪魔種がマキナの額を鷲掴み細かく振動させた。
「あ、あぁ……」
マキナが白目を向いて気絶する。脳震盪でも起こしたのだろう。
いやそんな場合ではなかった。
「ど、どう……するんだよ」
足が震えて立っているのも困難な状態、勇気を振り絞って悪魔種に問いかける。
「あん? 誰だお前、殺すぞ?」
「ぼ、僕の問に答えろ!」
悪魔種が舌を打ち首を2回鳴らした。
「無能な人間が何をほざいてやがる。殺させてぇのか?」
2度とマキナを見捨てないと決めた。怖いけど逃げない。もしかしたらここで僕は殺されるかもしれない。でも、あんな思いをするよりかは断然マシだ。
息を吸って腹から声だす。
「マキナを離せ!!」
「あぁー分かった、分かった。望み通りに殺してやるよ」
そう言い終えた瞬間、悪魔種が消える。いや消えたのではない、凄まじい速度で移動しているのだ。
気づいた時には悪魔種が目の前にいた。
「じゃあなガキ。コイツと会ったことを後悔し……ん?」
悪魔種が顔をしかめて僕の顔をマジマジと見る。
気持ち悪くて吐きそうだ。
「お前……へぇ……初めて見るな。」
「な、何だよ……」
悪魔種が口角をあげる。鋭い牙が闇の中煌めいた。
「お前は面白ぇから特別に生かしといてやるよ。」
ただ……と悪魔種が続ける。
「次はお前でもねぇからな」
体が恐怖に強張り動かなくなる。
「クク……じゃあなジュニア」
そう言ってマキナと共に悪魔種の姿が消えた。
開放感からか僕はその場に膝をつく。
「うぉえええぇぇ……」
堪えきれずに床に嘔吐した。
ドタドタと誰かが階段を上がってくる。
僕はまた、何も出来なかった。僕は……また。意識が遠のく。マキナ……
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父さんの声を最後に僕の意識はプツリと途切れた。
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