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強引な契約
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ポタリと木から落ちた水滴が頬で弾けた。
ここはどこだろう。目が覚めたときには既にこの森の中にいた。
見渡す限り広がる木々と陰生植物。
湿った土の上に倒れていたのでカナタから貸してもらった服が濡れてしまった。
「うぅ~気持ち悪い……」
脱ぎたいのは山々なのだが脱ぐことが出来ない。下着姿になるのが嫌とかそんなのが理由ではなく頑丈な蔦で縛られていて身動きが取れないのだ。
パキッと枝の折れる音がした。
確認せずとも誰かは分かる、悪魔種だ。
「ほらよ、これでも食っとけ」
一見は爽やかな青年に見えるが実際は極悪狂人だ。
サラリとした金髪を気だるそうに掻きながら私の目の前に何かを投げるように置く。
「木の実……?」
「あぁさっき見つけてきた。多分食える。」
「誰が悪魔種から渡されたものを食べるのよ。それに私は見ての通り身動きが取れないの」
舌打ちをしてから悪魔種が蔦を爪で切った。見た目は人間なのだが身体能力は悪魔種なのだ。
正直、拘束を解いてくれるとは思ってもいなかったので戸惑う。
「私を殺すことが目的なんでしょ? 早く殺しなさいよ」
「あぁ?」
鋭い眼光で睨まれると体が震える。
でも引かない、引くわけにはいかない。
「私を殺して早く人界に帰還しなさい」
「黙れよ雌蛇ハーフ。何か勘違いしてるんじゃねぇか?」
「な、何が。あなた達、悪魔種の目的は人界に住む人間を根絶やしにすることでしょ。この世界の人間は関係ない! 私を殺して人界に戻りなさいよ!」
悪魔種がケラケラと笑う。
「だぁーかーらーそれが誤解だっつってんの。お前を殺してどうする。いや結果的にお前は死ぬけどな。まだ殺させねぇよ。俺の使命はお前を生かしたまま人界に帰ることだ」
悪魔種の目的は兎に角、容姿の良い人間を殺すことのはずだ。
人界で突如、悪魔種が暴れ始めたときも亜人を殺すことなく人間だけを殺していた。
事実、私の父は無惨に殺されたが母は生きている。
「どういうこと……」
「あぁん? お前マジで何も知らねぇのか」
素直に頷く。
「教えて欲しいか?」
「いいから教えなさい!」
悪魔種が私の前に足を出す。
「舐めろ、舐めたら教えてやるよ」
「は、ふざけないでよ! そんなこと出来るわけがないじゃない」
悪魔種がため息をつき、イラついたように私の顔を蹴った。
力を抜いたつもりなのだろうがそれでも私の体は宙を舞った。幸い地面が柔らかく大した痛みはなかった。
口の中に溜まった血を吐き出す。
「お前、何でそうさっきから生意気なんだ? 自分の置かれてる立場が分かってんのか?」
痛みで何も言えなかった。
「弱いくせに調子に乗るなよ人間。おら舐めろ、舐めねぇと殺すぞ?」
プライドが舐めることを許さなかった。
こんな卑劣な奴の足を舐めるくらいならここで死んでやる。
カナタはきっと悲しむだろう。自分を責めるだろう。
カナタは自分の為に私を守ると言った。根本的にはカナタ自身の為になるのかもしれない、でも違う、あれは私に気を使ってそう言っていた。
私が死ねばカナタはきっと悲しむだろう。立ち直れないだろう。
でもごめん、私には生きる資格なんてない。すでにカナタの家族を巻き込んでしまった。
私はもう見たくない。私のせいで沢山の人間が死ぬところなんて。
悪魔種を睨みつけながら首を振った。
悪魔種が舌打ちをつく。
「そうか、死にたいようだな。だが安心しろお前はまだ殺さない。捕らえたら即刻戻れと言われてたがな、こんな美少女逃せるわけがないんだわ」
悪魔種がカナタから貰った服に爪を掛けた。
「んんん、んんんん!」
必死で踠くが悪魔種相手には通用しない。
「俺はネクロフィリアとかいう趣味はないんだ。どうせお前は死ぬんだ。楽しませろ」
服が裂かれた。肌が露出する。
あ、絆石が……淀んでいる。カナタは近くにいない。いや居なくて良かった。カナタがどうにか出来るような奴ではない。
「あぁぁぁあ!」
「小さい、小さいけどそれが良い。」
悪魔種が変身を解き、醜悪な姿へと戻る。紫のかかった赤色の鱗、翼がバサッと広がり長い尻尾が尾骨から生えてくる。
真っ赤な舌で頬を舐めてくる。ザラりとした感触に身の毛がよだつ。
「嫌ぁぁぁぁぁ! 離せ、離しなさい!」
ダメだ重い上に力も強い。こんな奴に勝てるわけがない。
これが最後の思い出なんかにしたくない。
これなら死んだ方がマシだ。舌を噛みちぎろうとするが口の中に指を引きちぎられたカナタの服を入れらた。
「危ねぇな。だからお前に死なれたら困るんだよ。そんなに死にたいのか? 安心しろよ。すぐに死ねる。だから今は俺を楽しませろ」
嫌だ……嫌だ嫌だ。こんなの嫌だ。父を殺した悪魔種となんか絶対に嫌よ。
ごめんカナタ。耐えきれない。
これだけは使いたくなかった。自己中でごめんなさい。
私は最低だ、あなたの人生を狂わせてしまうかもしれない。
でも、お願い……許して……カナタ。
「そうだそれでいいんだ。俺に任せろ。気持ちよくしてやる。」
全身の力を抜いて全てを諦めたように装う。
気がつかれないように腕を伸ばしていく。
あと少しで届く。指先だけでも触れればいい。
「あぁ美味い。さすが人間だ。見た目だけは他の種族とは比べ物にならないな」
鎖骨を舐められるが耐える。
やっと……とどいた。
カナタごめん……
私の生贄となれ……勇者よ……
石ころと化していた絆が妖艶に輝き始めた。
悪魔種は私に夢中でそのことに気づいていない。
カナタを思うと涙が溢れた。
ごめんなさい……これから先はあなたの為だけに生きることを誓います。
だから、助けて……私の勇者……
ここはどこだろう。目が覚めたときには既にこの森の中にいた。
見渡す限り広がる木々と陰生植物。
湿った土の上に倒れていたのでカナタから貸してもらった服が濡れてしまった。
「うぅ~気持ち悪い……」
脱ぎたいのは山々なのだが脱ぐことが出来ない。下着姿になるのが嫌とかそんなのが理由ではなく頑丈な蔦で縛られていて身動きが取れないのだ。
パキッと枝の折れる音がした。
確認せずとも誰かは分かる、悪魔種だ。
「ほらよ、これでも食っとけ」
一見は爽やかな青年に見えるが実際は極悪狂人だ。
サラリとした金髪を気だるそうに掻きながら私の目の前に何かを投げるように置く。
「木の実……?」
「あぁさっき見つけてきた。多分食える。」
「誰が悪魔種から渡されたものを食べるのよ。それに私は見ての通り身動きが取れないの」
舌打ちをしてから悪魔種が蔦を爪で切った。見た目は人間なのだが身体能力は悪魔種なのだ。
正直、拘束を解いてくれるとは思ってもいなかったので戸惑う。
「私を殺すことが目的なんでしょ? 早く殺しなさいよ」
「あぁ?」
鋭い眼光で睨まれると体が震える。
でも引かない、引くわけにはいかない。
「私を殺して早く人界に帰還しなさい」
「黙れよ雌蛇ハーフ。何か勘違いしてるんじゃねぇか?」
「な、何が。あなた達、悪魔種の目的は人界に住む人間を根絶やしにすることでしょ。この世界の人間は関係ない! 私を殺して人界に戻りなさいよ!」
悪魔種がケラケラと笑う。
「だぁーかーらーそれが誤解だっつってんの。お前を殺してどうする。いや結果的にお前は死ぬけどな。まだ殺させねぇよ。俺の使命はお前を生かしたまま人界に帰ることだ」
悪魔種の目的は兎に角、容姿の良い人間を殺すことのはずだ。
人界で突如、悪魔種が暴れ始めたときも亜人を殺すことなく人間だけを殺していた。
事実、私の父は無惨に殺されたが母は生きている。
「どういうこと……」
「あぁん? お前マジで何も知らねぇのか」
素直に頷く。
「教えて欲しいか?」
「いいから教えなさい!」
悪魔種が私の前に足を出す。
「舐めろ、舐めたら教えてやるよ」
「は、ふざけないでよ! そんなこと出来るわけがないじゃない」
悪魔種がため息をつき、イラついたように私の顔を蹴った。
力を抜いたつもりなのだろうがそれでも私の体は宙を舞った。幸い地面が柔らかく大した痛みはなかった。
口の中に溜まった血を吐き出す。
「お前、何でそうさっきから生意気なんだ? 自分の置かれてる立場が分かってんのか?」
痛みで何も言えなかった。
「弱いくせに調子に乗るなよ人間。おら舐めろ、舐めねぇと殺すぞ?」
プライドが舐めることを許さなかった。
こんな卑劣な奴の足を舐めるくらいならここで死んでやる。
カナタはきっと悲しむだろう。自分を責めるだろう。
カナタは自分の為に私を守ると言った。根本的にはカナタ自身の為になるのかもしれない、でも違う、あれは私に気を使ってそう言っていた。
私が死ねばカナタはきっと悲しむだろう。立ち直れないだろう。
でもごめん、私には生きる資格なんてない。すでにカナタの家族を巻き込んでしまった。
私はもう見たくない。私のせいで沢山の人間が死ぬところなんて。
悪魔種を睨みつけながら首を振った。
悪魔種が舌打ちをつく。
「そうか、死にたいようだな。だが安心しろお前はまだ殺さない。捕らえたら即刻戻れと言われてたがな、こんな美少女逃せるわけがないんだわ」
悪魔種がカナタから貰った服に爪を掛けた。
「んんん、んんんん!」
必死で踠くが悪魔種相手には通用しない。
「俺はネクロフィリアとかいう趣味はないんだ。どうせお前は死ぬんだ。楽しませろ」
服が裂かれた。肌が露出する。
あ、絆石が……淀んでいる。カナタは近くにいない。いや居なくて良かった。カナタがどうにか出来るような奴ではない。
「あぁぁぁあ!」
「小さい、小さいけどそれが良い。」
悪魔種が変身を解き、醜悪な姿へと戻る。紫のかかった赤色の鱗、翼がバサッと広がり長い尻尾が尾骨から生えてくる。
真っ赤な舌で頬を舐めてくる。ザラりとした感触に身の毛がよだつ。
「嫌ぁぁぁぁぁ! 離せ、離しなさい!」
ダメだ重い上に力も強い。こんな奴に勝てるわけがない。
これが最後の思い出なんかにしたくない。
これなら死んだ方がマシだ。舌を噛みちぎろうとするが口の中に指を引きちぎられたカナタの服を入れらた。
「危ねぇな。だからお前に死なれたら困るんだよ。そんなに死にたいのか? 安心しろよ。すぐに死ねる。だから今は俺を楽しませろ」
嫌だ……嫌だ嫌だ。こんなの嫌だ。父を殺した悪魔種となんか絶対に嫌よ。
ごめんカナタ。耐えきれない。
これだけは使いたくなかった。自己中でごめんなさい。
私は最低だ、あなたの人生を狂わせてしまうかもしれない。
でも、お願い……許して……カナタ。
「そうだそれでいいんだ。俺に任せろ。気持ちよくしてやる。」
全身の力を抜いて全てを諦めたように装う。
気がつかれないように腕を伸ばしていく。
あと少しで届く。指先だけでも触れればいい。
「あぁ美味い。さすが人間だ。見た目だけは他の種族とは比べ物にならないな」
鎖骨を舐められるが耐える。
やっと……とどいた。
カナタごめん……
私の生贄となれ……勇者よ……
石ころと化していた絆が妖艶に輝き始めた。
悪魔種は私に夢中でそのことに気づいていない。
カナタを思うと涙が溢れた。
ごめんなさい……これから先はあなたの為だけに生きることを誓います。
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