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覚醒のとき
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悪魔種からどうやってマキナを助け出そう。
暗闇でよく見えなかったというのもあるが、尋常ではない速度にコンクリートの壁を木っ端微塵にした力。
倒すのはまず不可能だ。
しかし……悪魔種を倒さずしてどうマキナを救うことが出来るだろうか。
隙を見て逃亡……却下、すぐに見つかるはずだ。
これはあくまで仮説だが、悪魔には索敵能力があるのだろう。
そうでなければ悪魔種が僕の家にいたマキナを見つけることなんて不可能だ。
鼻がよく利くとかだろう。
そうなると、不意打ちも出来ないな。いやまず不意打ち以前の問題だ。
マキナの暮らしていた人界の兵器がどのような物かは知らないが、転送装置などという地球の文明では到底作れないような物を作り上げてしまった世界だ。その世界の兵器ですら悪魔種の鱗には敵わないとなると仮に不意打ちが成功しようと大したダメージを与えることも出来ない。
「あぁもう! どうしたら良いんだよ!」
まず、マキナはまだ生きているのだろうか。
こんなことを考えても無駄だ。
頭を掻きむしる。
未だに絆石は石ころのままだ。
街の色々なところを歩き回ったがメビウスは反応しなかった。
ただ諦めることは許されない。既にマキナが死んでいたとしても僕がこの目でマキナの亡骸を見るまではその事実を信じない。
この数日で僕は変わったな。
刺激なんて求めてなかった。自分の為だけに生きてきた。
美咲という好きな人もいた。
なのにどうしてか今はマキナのことしか考えていない。
自分のことよりマキナのことを優先してしまう。
先日、出会ったばかりなのに。
何が『何が僕の為だ』だ。どう考えてもマキナのためじゃないか。
自分でも笑ってしまうほどに優柔不断な性格をしている。
まあいいか、これが僕なんだ。
もし、マキナを救うことができたのなら……
手に握っていた絆石が突然輝いた。
マキナが近くにいる!
絆石は輝くだけで収まらず溶け始める。
燃焼というわけではないようだ。
「なんだ……これ!?」
ついに絆石が液状になる。
『ごめん……』
弱々しい声が脳内に響いた。マキナの声だ。
まさか……マキナの身に何か……
気づけば絆石は消滅していた。
実際には違う。絆石は蒸発し消滅したのではない。
液状となった絆石は僕の体の中に染み込んでいたのだ。
だがこのとき僕はそのことに気づくことが出来なかった。
マキナが悪魔種に襲われている。マキナに死が迫っているから絆石が溶けたと思ったからだ。
「あ、あぁぁぁあ」
心臓がはち切れそうな激痛が僕を襲った。
臓器という臓器が掻き回されているような気持ち悪さ。
躊躇うこともできずその場に嘔吐する。
口内のどこかが切れたのか鉄の味がする。
「あぁぁぁぁアァアァアアァァあぁぁあ」
僕の苦鳴が住宅街に響き渡った。
体が痙攣している。
「カナ君……?」
激痛と嘔気に苦しみながら振り返ると未咲さんがいた。
「だ、大丈夫?! カナ君、調子悪いの?」
慌てふためきながら僕の背中をさすってくれるが体調は全く戻らない。
「今朝、調子が悪そうだったから……つけてきちゃった」
ドクンと心臓が跳ね上がるような痛み。
「がぐぐぁがァァ」
「カ、カナ君! え……」
未咲さんが僕の背中をさする手を止める。
「カ……キ、キャァァァッ!」
未咲さんが悲鳴をあげながら僕から後退りをするように離れる。
「い、嫌ぁぁァァァ」
一目散に僕から逃げるように去っていく。
いや逃げた……
信じられないことに痛みは引いていた。
ただ嘔気だけは収まらない。
嘔気だけでなく腰辺りがムズムズする。
ビリッと衣類が破ける音がなると同時にその違和感は消えた。
長くて黒い蛇が宙をヒラヒラと浮いていた。
あぁ未咲さんは僕から逃げたんじゃないんだ。この蛇から逃げたんだ。
まあ僕は父さんの仕事柄、慣れてるけど初見の人は怖いよね。
さっきの激痛と嘔気はこの宙を舞うように動く蛇に咬まれたせいかな。
そうだ父さんの仕事の足しになるかもしれないし写真を撮っておこう。
ポケットからスマホを取り出す。
嫌だ……信じたくない。
これは僕じゃない。ロック画面の壁紙なんだ。
力が抜けてスマホが手から落ちた。
多分、柳がイタズラでダサいコスプレイヤーの画像に勝手に変えたんだ。
マキナの赤髪以上に目立つ赤色と黒色の2色に分かれた髪の毛。鋭い八重歯。
地面に落ち、ヒビが入ったスマホのロック画面の画像はさっきとは変わっていた。
信じざるを得ないが信じたくない。
僕は普通の人間だ。
こんな悪魔と人間のハーフ見たいな見た目ではない。
僕の尾骨辺りから生えた尻尾がゆらゆらと揺れた。
暗闇でよく見えなかったというのもあるが、尋常ではない速度にコンクリートの壁を木っ端微塵にした力。
倒すのはまず不可能だ。
しかし……悪魔種を倒さずしてどうマキナを救うことが出来るだろうか。
隙を見て逃亡……却下、すぐに見つかるはずだ。
これはあくまで仮説だが、悪魔には索敵能力があるのだろう。
そうでなければ悪魔種が僕の家にいたマキナを見つけることなんて不可能だ。
鼻がよく利くとかだろう。
そうなると、不意打ちも出来ないな。いやまず不意打ち以前の問題だ。
マキナの暮らしていた人界の兵器がどのような物かは知らないが、転送装置などという地球の文明では到底作れないような物を作り上げてしまった世界だ。その世界の兵器ですら悪魔種の鱗には敵わないとなると仮に不意打ちが成功しようと大したダメージを与えることも出来ない。
「あぁもう! どうしたら良いんだよ!」
まず、マキナはまだ生きているのだろうか。
こんなことを考えても無駄だ。
頭を掻きむしる。
未だに絆石は石ころのままだ。
街の色々なところを歩き回ったがメビウスは反応しなかった。
ただ諦めることは許されない。既にマキナが死んでいたとしても僕がこの目でマキナの亡骸を見るまではその事実を信じない。
この数日で僕は変わったな。
刺激なんて求めてなかった。自分の為だけに生きてきた。
美咲という好きな人もいた。
なのにどうしてか今はマキナのことしか考えていない。
自分のことよりマキナのことを優先してしまう。
先日、出会ったばかりなのに。
何が『何が僕の為だ』だ。どう考えてもマキナのためじゃないか。
自分でも笑ってしまうほどに優柔不断な性格をしている。
まあいいか、これが僕なんだ。
もし、マキナを救うことができたのなら……
手に握っていた絆石が突然輝いた。
マキナが近くにいる!
絆石は輝くだけで収まらず溶け始める。
燃焼というわけではないようだ。
「なんだ……これ!?」
ついに絆石が液状になる。
『ごめん……』
弱々しい声が脳内に響いた。マキナの声だ。
まさか……マキナの身に何か……
気づけば絆石は消滅していた。
実際には違う。絆石は蒸発し消滅したのではない。
液状となった絆石は僕の体の中に染み込んでいたのだ。
だがこのとき僕はそのことに気づくことが出来なかった。
マキナが悪魔種に襲われている。マキナに死が迫っているから絆石が溶けたと思ったからだ。
「あ、あぁぁぁあ」
心臓がはち切れそうな激痛が僕を襲った。
臓器という臓器が掻き回されているような気持ち悪さ。
躊躇うこともできずその場に嘔吐する。
口内のどこかが切れたのか鉄の味がする。
「あぁぁぁぁアァアァアアァァあぁぁあ」
僕の苦鳴が住宅街に響き渡った。
体が痙攣している。
「カナ君……?」
激痛と嘔気に苦しみながら振り返ると未咲さんがいた。
「だ、大丈夫?! カナ君、調子悪いの?」
慌てふためきながら僕の背中をさすってくれるが体調は全く戻らない。
「今朝、調子が悪そうだったから……つけてきちゃった」
ドクンと心臓が跳ね上がるような痛み。
「がぐぐぁがァァ」
「カ、カナ君! え……」
未咲さんが僕の背中をさする手を止める。
「カ……キ、キャァァァッ!」
未咲さんが悲鳴をあげながら僕から後退りをするように離れる。
「い、嫌ぁぁァァァ」
一目散に僕から逃げるように去っていく。
いや逃げた……
信じられないことに痛みは引いていた。
ただ嘔気だけは収まらない。
嘔気だけでなく腰辺りがムズムズする。
ビリッと衣類が破ける音がなると同時にその違和感は消えた。
長くて黒い蛇が宙をヒラヒラと浮いていた。
あぁ未咲さんは僕から逃げたんじゃないんだ。この蛇から逃げたんだ。
まあ僕は父さんの仕事柄、慣れてるけど初見の人は怖いよね。
さっきの激痛と嘔気はこの宙を舞うように動く蛇に咬まれたせいかな。
そうだ父さんの仕事の足しになるかもしれないし写真を撮っておこう。
ポケットからスマホを取り出す。
嫌だ……信じたくない。
これは僕じゃない。ロック画面の壁紙なんだ。
力が抜けてスマホが手から落ちた。
多分、柳がイタズラでダサいコスプレイヤーの画像に勝手に変えたんだ。
マキナの赤髪以上に目立つ赤色と黒色の2色に分かれた髪の毛。鋭い八重歯。
地面に落ち、ヒビが入ったスマホのロック画面の画像はさっきとは変わっていた。
信じざるを得ないが信じたくない。
僕は普通の人間だ。
こんな悪魔と人間のハーフ見たいな見た目ではない。
僕の尾骨辺りから生えた尻尾がゆらゆらと揺れた。
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