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第15話 朝日との昼食
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秋大宴祭開催まであと1週間に迫った。後宮内には屋台を立てる為に皇帝が直々に集めた職人達が宙雇わず屋台設営などの作業に従事している。
薬師としての仕事の傍ら、美雪達も秋大宴祭に向けて準備を進めていた。具体的には処分期限が近づいている薬をひとつずる紙袋に入れて商品にしたり。他にも薬のお悩みを相談する場を設けるのも決定している。
今は昼。午前の仕事を終えた美雪達は食堂で昼食を取っている最中だ。
「ごはん美味しい……」
今日の昼食は炊き立ての白米に、鳥肉と根菜複数種を焼いたもの。卵入りでとろみのついた温かな汁物と小さな月餅が2つ。どれも美雪が好きな品々だ。
「お肉とご飯が、合う……」
「美雪、隣いいか?」
声がした左隣に首を回すと、同じ品をお盆に乗せた朝日の姿があった。突然の登場に美雪は口内に入れたものを吐き出してしまう位驚いてしまう。
「っ!」
慌てて飲み込もうとしたら、むせてしまった。それに気が付いた朝日が背中を軽くたたいてくれたおかげで難を逃れる。しかし生きた心地はしない。
「はあ……はあ……申し訳、ありません……朝日さん……」
「いや、こっちこそ急に隣に座って済まない。大丈夫か?」
「大丈夫です。ふう……」
お茶を2口ほど飲んで改めて呼吸を落ち着かせた。
「朝日さん、今日はどうですか?」
「今日はぼちぼちだな。皇后様もお子様達も皆元気だ。秋大宴祭を楽しみにしていらっしゃる」
「そうですか……良かったです。何もないのが一番ですからね」
自然と口元から笑顔がこぼれる。彼からは優しい君らしいなと言葉が降りかかって来た。
「へへ、やっぱり健康が大事ですよ。その為に私達薬師と医師がいると思っているのです」
「そうだなぁ……人間、死ぬまで病知らずというのは俺はあり得ないと考えているからな。そういう意味では俺と似た考えをしているのな」
「朝日さんは、ご病気とかされた事、あるのですか?」
「あるぞ。そうだなあ……」
彼が3歳の時。何の前触れもなく高熱が出て寝込んでしまったそう。同じく医者である父親はじめ一族は朝日の回復のために奔走したが、病は治らなかった。
「あの時の父上や母上はじめ、親族達はすごかった。皇帝陛下に直接、陛下付きの医者にも診察をお願いしたいなんて直訴していたからなあ」
「朝日さん……」
「まあ、俺の父上も後宮で医師を勤めていたから、その伝手もあったんだがな」
朝日が寝込んでしまい1か月は過ぎたある日、秋大宴祭の日が訪れた。当然朝日の一族はそれどころではないのだが、父親はせめて楽しんでもらおうと、屋台で朝日が好きな食べ物を買ってきてくれたらしい。
そこで彼が連れて帰って来たのが、外国から来た若い医者だった。
「いやぁ、金髪で目も青くてびっくりしたよ。まるで仙人か何かじゃないかって思ったくらい」
彼の診察を受け、処方された薬を飲むと朝日の病はたちまち良くなっていった。外国から来た医者は朝日が完全に回復する前屋敷に寝泊まりして、日夜彼の看病を続けてくれたと聞く。
「微熱位になった時点で、俺は聞いたんだ。帰らなくていいのかって」
「確かに外国のお方ですもんね……」
「でも彼はこういった。君のような病で苦しむ人達を見過ごせない。彼らの為に医者は存在しているのだから、何かあれば遠慮なく言ってくれってな」
笑顔で語ったと聞き、彼の誇りが垣間見れたような気がした美雪は、目の輝きを増していく。
「君、共感しているのか?」
「あっ……素敵なお方だなって。医者として、崇高な方だと感じました」
「俺もそう思う。なんせ医者を志したきっかけのひとつだからな。でも……」
「でも?」
朝日は鳥肉を頬張る。その後に出てくる言葉は一体なんだろうかと、美雪は彼の口周辺をじっと見つめた。
「時には自分を優先すべきだとな」
「あ……」
以前彼が放った会話が重なる。
――その優しさは、時として後宮内では仇になる事もある。
――幸い今日はどうにかなったが、君を踏みにじったり利用する輩がいないとも限らない。
「自分の身体をずっと守り続けられるのは、自分だけ。ずっと誰かにおぶってもらう訳にもいかない」
「……」
「無理が祟ったら、仕事どころじゃなくなる。ま、これは俺の痛い所でもあるんだがな」
苦笑する朝日が視界にこびりついていく。ああ、これはまた無理をしているかもしれない――。導かれるようにして彼の太ももに手が伸びた。
「わっ?! おい、こんな場所でいきなり触るんじゃない!」
「ふむ……硬いですね。食事が終わったら、按摩を致しましょうか?」
「なっ……君には恥じらいと言うものはないのか……」
「?」
美雪が首を傾げていると、朝日はまあ、いいか……。と諦めにも似た表情を見せた。
「ちなみに美雪は按摩、出来るのか?」
「おととい、皇后様が按摩師をお呼びになって施術を受けた時に様子を拝見させていただきました」
「そう言えばそうだったな……忘れていた」
「いえいえ、お気になさらないでください。私はもっとたくさんの事を忘れていらっしゃいますから」
そんな自虐しなくてもいいんだぞ。と朝日からそっと口に出される。特に意味はなかったが、彼がそう思ってしまうなら撤回した方がいいかもしれない……。などと考えていると、白米の量がもう残り僅かになっているのに気が付いた。
「おかわり、しましょうかね。朝日さん、ついでに持ってきますよ」
「いや、俺の分は……」
「まあまあ、せっかくですし。手間も省けますよ」
「じゃあ、君にお願いしようか。……おかずもいいか?」
2人分の白米と、おかずのおかわりを用意する。食事後は満腹感に包まれた状態で仕事をこなしていったのだった。
夕方。今日の仕事が終わり、夜勤担当の薬師達へ引き継ぎを行った後は一旦自室に戻る。
「ん?」
扉を軽くたたく音がしたので扉を開けると、そこには朝日が立っていた。
「按摩、頼んでもいいか?」
薬師としての仕事の傍ら、美雪達も秋大宴祭に向けて準備を進めていた。具体的には処分期限が近づいている薬をひとつずる紙袋に入れて商品にしたり。他にも薬のお悩みを相談する場を設けるのも決定している。
今は昼。午前の仕事を終えた美雪達は食堂で昼食を取っている最中だ。
「ごはん美味しい……」
今日の昼食は炊き立ての白米に、鳥肉と根菜複数種を焼いたもの。卵入りでとろみのついた温かな汁物と小さな月餅が2つ。どれも美雪が好きな品々だ。
「お肉とご飯が、合う……」
「美雪、隣いいか?」
声がした左隣に首を回すと、同じ品をお盆に乗せた朝日の姿があった。突然の登場に美雪は口内に入れたものを吐き出してしまう位驚いてしまう。
「っ!」
慌てて飲み込もうとしたら、むせてしまった。それに気が付いた朝日が背中を軽くたたいてくれたおかげで難を逃れる。しかし生きた心地はしない。
「はあ……はあ……申し訳、ありません……朝日さん……」
「いや、こっちこそ急に隣に座って済まない。大丈夫か?」
「大丈夫です。ふう……」
お茶を2口ほど飲んで改めて呼吸を落ち着かせた。
「朝日さん、今日はどうですか?」
「今日はぼちぼちだな。皇后様もお子様達も皆元気だ。秋大宴祭を楽しみにしていらっしゃる」
「そうですか……良かったです。何もないのが一番ですからね」
自然と口元から笑顔がこぼれる。彼からは優しい君らしいなと言葉が降りかかって来た。
「へへ、やっぱり健康が大事ですよ。その為に私達薬師と医師がいると思っているのです」
「そうだなぁ……人間、死ぬまで病知らずというのは俺はあり得ないと考えているからな。そういう意味では俺と似た考えをしているのな」
「朝日さんは、ご病気とかされた事、あるのですか?」
「あるぞ。そうだなあ……」
彼が3歳の時。何の前触れもなく高熱が出て寝込んでしまったそう。同じく医者である父親はじめ一族は朝日の回復のために奔走したが、病は治らなかった。
「あの時の父上や母上はじめ、親族達はすごかった。皇帝陛下に直接、陛下付きの医者にも診察をお願いしたいなんて直訴していたからなあ」
「朝日さん……」
「まあ、俺の父上も後宮で医師を勤めていたから、その伝手もあったんだがな」
朝日が寝込んでしまい1か月は過ぎたある日、秋大宴祭の日が訪れた。当然朝日の一族はそれどころではないのだが、父親はせめて楽しんでもらおうと、屋台で朝日が好きな食べ物を買ってきてくれたらしい。
そこで彼が連れて帰って来たのが、外国から来た若い医者だった。
「いやぁ、金髪で目も青くてびっくりしたよ。まるで仙人か何かじゃないかって思ったくらい」
彼の診察を受け、処方された薬を飲むと朝日の病はたちまち良くなっていった。外国から来た医者は朝日が完全に回復する前屋敷に寝泊まりして、日夜彼の看病を続けてくれたと聞く。
「微熱位になった時点で、俺は聞いたんだ。帰らなくていいのかって」
「確かに外国のお方ですもんね……」
「でも彼はこういった。君のような病で苦しむ人達を見過ごせない。彼らの為に医者は存在しているのだから、何かあれば遠慮なく言ってくれってな」
笑顔で語ったと聞き、彼の誇りが垣間見れたような気がした美雪は、目の輝きを増していく。
「君、共感しているのか?」
「あっ……素敵なお方だなって。医者として、崇高な方だと感じました」
「俺もそう思う。なんせ医者を志したきっかけのひとつだからな。でも……」
「でも?」
朝日は鳥肉を頬張る。その後に出てくる言葉は一体なんだろうかと、美雪は彼の口周辺をじっと見つめた。
「時には自分を優先すべきだとな」
「あ……」
以前彼が放った会話が重なる。
――その優しさは、時として後宮内では仇になる事もある。
――幸い今日はどうにかなったが、君を踏みにじったり利用する輩がいないとも限らない。
「自分の身体をずっと守り続けられるのは、自分だけ。ずっと誰かにおぶってもらう訳にもいかない」
「……」
「無理が祟ったら、仕事どころじゃなくなる。ま、これは俺の痛い所でもあるんだがな」
苦笑する朝日が視界にこびりついていく。ああ、これはまた無理をしているかもしれない――。導かれるようにして彼の太ももに手が伸びた。
「わっ?! おい、こんな場所でいきなり触るんじゃない!」
「ふむ……硬いですね。食事が終わったら、按摩を致しましょうか?」
「なっ……君には恥じらいと言うものはないのか……」
「?」
美雪が首を傾げていると、朝日はまあ、いいか……。と諦めにも似た表情を見せた。
「ちなみに美雪は按摩、出来るのか?」
「おととい、皇后様が按摩師をお呼びになって施術を受けた時に様子を拝見させていただきました」
「そう言えばそうだったな……忘れていた」
「いえいえ、お気になさらないでください。私はもっとたくさんの事を忘れていらっしゃいますから」
そんな自虐しなくてもいいんだぞ。と朝日からそっと口に出される。特に意味はなかったが、彼がそう思ってしまうなら撤回した方がいいかもしれない……。などと考えていると、白米の量がもう残り僅かになっているのに気が付いた。
「おかわり、しましょうかね。朝日さん、ついでに持ってきますよ」
「いや、俺の分は……」
「まあまあ、せっかくですし。手間も省けますよ」
「じゃあ、君にお願いしようか。……おかずもいいか?」
2人分の白米と、おかずのおかわりを用意する。食事後は満腹感に包まれた状態で仕事をこなしていったのだった。
夕方。今日の仕事が終わり、夜勤担当の薬師達へ引き継ぎを行った後は一旦自室に戻る。
「ん?」
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「按摩、頼んでもいいか?」
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