14 / 79
第14話 夜伽という名の作戦会議②
しおりを挟む
「もし、あやかしがいるようでしたらどうするのですか?」
桃玉からの問いに、龍環は腕を組みながら口を開く。
「俺が直接鶴峰宮に出向いて、確認する必要がある。もしあやかしがいたら君の出番だ」
「浄化するのですね、わかりました」
「ああ、よろしく頼むよ」
龍環は桃玉の右手を取り、両手で硬く握る。
(龍環様は私を信頼してくれている。答えなきゃ)
「あ、そうだ。金美人様はどのようなお方なのですか?」
「後宮入りして1年は経つが……まだ一度も夜伽をした事が無いからあんまり話をした事は無いな……ぱっと見は天真爛漫な明るい人物の印象はある」
「ほほう……教えてくださりありがとうございます」
(ここは後宮。天真爛漫なのはあくまで上っ面だけかもしれないし、気をつけないと)
「他に質問はあるか?」
「あ、もう……大丈夫です」
(私のやるべき事は理解できた。だから大丈夫なはず)
龍環は桃玉の頭をなでる。その手には優しさと力強さが入り混じっていた。
「明日頼むぞ」
「はい、お任せください……!」
「では、もう寝よう。夜更かししていては作戦に支障が出てしまいかねないからね」
「……龍環様、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。ちょっと頭痛がしただけだ」
痛みに耐えるようなややしかめた顔つきに変わった龍環はそう言うと、ごろんと横になって布団を被った。彼の広い背中を桃玉はじっと見ている。
(これが、皇帝である龍環様のお背中……広くて大きいなぁ)
目をつむり寝息を立てる龍環の背中を、桃玉は右手でさっと撫でる。
(ごつごつしてる)
ひとしきり龍環の背中を眺めた桃玉は、あおむけになると布団を顔までかぶって目をつむったのだった。
◇ ◇ ◇
翌朝。照天宮に戻って来た桃玉は桃色の服に着替えたのち、朝食の雑炊を食べながら髪結いとお化粧を女官の手で施されていた。
(あれからは特に何にもなかったな)
作戦会議が終わった後、龍環は桃玉に触る事も無く朝までぐっすりと眠ったのだった。
(そのせいかはわからなかったけど、私もよく眠れた気がする)
「桃玉様。お化粧と髪結いが終わりましてございます」
桃玉は雑炊の入ったお茶碗を机の上に置き、女官から手渡された手鏡で自身の姿を確認する。
(いつ見ても、私だと思えないくらい綺麗)
「これで大丈夫です。ありがとうございます」
確認が終わり、また雑炊を食べ始める桃玉。すると照天宮の外から騒ぎ声が聞こえてきた。
桃玉からの問いに、龍環は腕を組みながら口を開く。
「俺が直接鶴峰宮に出向いて、確認する必要がある。もしあやかしがいたら君の出番だ」
「浄化するのですね、わかりました」
「ああ、よろしく頼むよ」
龍環は桃玉の右手を取り、両手で硬く握る。
(龍環様は私を信頼してくれている。答えなきゃ)
「あ、そうだ。金美人様はどのようなお方なのですか?」
「後宮入りして1年は経つが……まだ一度も夜伽をした事が無いからあんまり話をした事は無いな……ぱっと見は天真爛漫な明るい人物の印象はある」
「ほほう……教えてくださりありがとうございます」
(ここは後宮。天真爛漫なのはあくまで上っ面だけかもしれないし、気をつけないと)
「他に質問はあるか?」
「あ、もう……大丈夫です」
(私のやるべき事は理解できた。だから大丈夫なはず)
龍環は桃玉の頭をなでる。その手には優しさと力強さが入り混じっていた。
「明日頼むぞ」
「はい、お任せください……!」
「では、もう寝よう。夜更かししていては作戦に支障が出てしまいかねないからね」
「……龍環様、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。ちょっと頭痛がしただけだ」
痛みに耐えるようなややしかめた顔つきに変わった龍環はそう言うと、ごろんと横になって布団を被った。彼の広い背中を桃玉はじっと見ている。
(これが、皇帝である龍環様のお背中……広くて大きいなぁ)
目をつむり寝息を立てる龍環の背中を、桃玉は右手でさっと撫でる。
(ごつごつしてる)
ひとしきり龍環の背中を眺めた桃玉は、あおむけになると布団を顔までかぶって目をつむったのだった。
◇ ◇ ◇
翌朝。照天宮に戻って来た桃玉は桃色の服に着替えたのち、朝食の雑炊を食べながら髪結いとお化粧を女官の手で施されていた。
(あれからは特に何にもなかったな)
作戦会議が終わった後、龍環は桃玉に触る事も無く朝までぐっすりと眠ったのだった。
(そのせいかはわからなかったけど、私もよく眠れた気がする)
「桃玉様。お化粧と髪結いが終わりましてございます」
桃玉は雑炊の入ったお茶碗を机の上に置き、女官から手渡された手鏡で自身の姿を確認する。
(いつ見ても、私だと思えないくらい綺麗)
「これで大丈夫です。ありがとうございます」
確認が終わり、また雑炊を食べ始める桃玉。すると照天宮の外から騒ぎ声が聞こえてきた。
1
あなたにおすすめの小説
皇太后(おかあ)様におまかせ!〜皇帝陛下の純愛探し〜
菰野るり
キャラ文芸
皇帝陛下はお年頃。
まわりは縁談を持ってくるが、どんな美人にもなびかない。
なんでも、3年前に一度だけ出逢った忘れられない女性がいるのだとか。手がかりはなし。そんな中、皇太后は自ら街に出て息子の嫁探しをすることに!
この物語の皇太后の名は雲泪(ユンレイ)、皇帝の名は堯舜(ヤオシュン)です。つまり【後宮物語〜身代わり宮女は皇帝陛下に溺愛されます⁉︎〜】の続編です。しかし、こちらから読んでも楽しめます‼︎どちらから読んでも違う感覚で楽しめる⁉︎こちらはポジティブなラブコメです。
後宮に咲く毒花~記憶を失った薬師は見過ごせない~
二位関りをん
キャラ文芸
数多の女達が暮らす暁月国の後宮。その池のほとりにて、美雪は目を覚ました。
彼女は自分に関する記憶の一部を無くしており、彼女を見つけた医師の男・朝日との出会いをきっかけに、陰謀と毒が渦巻く後宮で薬師として働き始める。
毒を使った事件に、たびたび思い起こされていく記憶の断片。
はたして、己は何者なのか――。
これは記憶の断片と毒をめぐる物語。
※年齢制限は保険です
※数日くらいで完結予定
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜
春日あざみ
キャラ文芸
<第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。応援ありがとうございました!>
宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。
しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——?
「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!
同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
菱沼あゆ
キャラ文芸
「同窓会っていうか、クラス会なのに、知らない人が隣にいる……」
クラス会に参加しためぐるは、隣に座ったイケメンにまったく覚えがなく、動揺していた。
だが、みんなは彼と楽しそうに話している。
いや、この人、誰なんですか――っ!?
スランプ中の天才棋士VS元天才パティシエール。
「へえー、同窓会で再会したのがはじまりなの?」
「いや、そこで、初めて出会ったんですよ」
「同窓会なのに……?」
後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる