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第44話 キノコ採り②
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なめこをぷちぷちと取って、木籠の中に入れていく。これくらいの量お味噌汁に出来そうか。
その後も、魚道さんや沼霧さんが食用のキノコを見つけて取っていった。
(この山は結構キノコが生えているんだなあ)
この島に来てから山間部には立ち入った事はほぼなかったので、こんなにキノコが取れるなんて知らなかった。
すると、おーい!と右前方からいきなり若い男性の声が聞えて来た。
「こっから先は入っちゃいかん!!」
目を凝らしてみると、声の主が陸軍の兵士である事はすぐにわかった。
「すみません」
「ここから先は陸軍の土地になる。それと君たちは、許可は貰ってこの山に来てるのか?」
兵士からの問いに、魚道さんははい。と答えながらズボンのポケットから証明書を取り出して見せた。
「こちらが証明書となります」
「ふむ。なら構わん。いけ」
「はい」
私達は来た道を引きかえしながら、キノコ採りを再開する事になった。
それにしても先ほど陸軍兵士は何しに山へ来ていたのだろうか。
「魚道さん、さっきのは……?」
「あの島民がいない島の裏側付近、陸軍の基地の建設が進んでいるだ。島民には、詳しい情報は伏せられているようで」
「そうなんだ」
通りであまり詳しく知らなかった訳だ。そういや新型兵器の実験が云々と言う噂があったような……。
「新型兵器がっていう噂の?」
「そうそう」
「魚道さん。あまり、これ以上は話さない方が良いかな」
「かもね」
その後は静かに、キノコを取っていくと気づけばお昼になった。
「では、そろそろ解散と致しましょうか。長居はしない方がよさそうですし」
魚道さんの母親のこの言葉で、解散及びキノコ採りは幕を閉じたのだった。
確かに彼女の言うとおりである。下手に動き回ってまた陸軍の兵士に怒られるのは回避したい。
「ありがとうございました」
沼霧さんと共に2人に礼を言って、帰路につく。家に戻るまでは、ずっと無言だった。
(この島はどうなるんだろう)
ずっと戦争の事はこれまで考えてこなかった。興味が無いというのもあるし、この平和な雰囲気で生活したいという一種の欲もあったからだ。
それに、女の身である私が戦争について考えても、何か起こる訳でもない。
(この島に、敵が攻めてきたりは……流石に無いよなあ。無いと信じたい)
家に戻ると、母親が出迎えてくれた。
「あら、もう帰ってきたの。おかえりなさい」
「おかえりなさい」
「お昼にしましょうか」
沼霧さんの精いっぱいの笑顔を見て、私も笑顔を浮かべた。
さあ、お昼ごはんを作ろう。
その後も、魚道さんや沼霧さんが食用のキノコを見つけて取っていった。
(この山は結構キノコが生えているんだなあ)
この島に来てから山間部には立ち入った事はほぼなかったので、こんなにキノコが取れるなんて知らなかった。
すると、おーい!と右前方からいきなり若い男性の声が聞えて来た。
「こっから先は入っちゃいかん!!」
目を凝らしてみると、声の主が陸軍の兵士である事はすぐにわかった。
「すみません」
「ここから先は陸軍の土地になる。それと君たちは、許可は貰ってこの山に来てるのか?」
兵士からの問いに、魚道さんははい。と答えながらズボンのポケットから証明書を取り出して見せた。
「こちらが証明書となります」
「ふむ。なら構わん。いけ」
「はい」
私達は来た道を引きかえしながら、キノコ採りを再開する事になった。
それにしても先ほど陸軍兵士は何しに山へ来ていたのだろうか。
「魚道さん、さっきのは……?」
「あの島民がいない島の裏側付近、陸軍の基地の建設が進んでいるだ。島民には、詳しい情報は伏せられているようで」
「そうなんだ」
通りであまり詳しく知らなかった訳だ。そういや新型兵器の実験が云々と言う噂があったような……。
「新型兵器がっていう噂の?」
「そうそう」
「魚道さん。あまり、これ以上は話さない方が良いかな」
「かもね」
その後は静かに、キノコを取っていくと気づけばお昼になった。
「では、そろそろ解散と致しましょうか。長居はしない方がよさそうですし」
魚道さんの母親のこの言葉で、解散及びキノコ採りは幕を閉じたのだった。
確かに彼女の言うとおりである。下手に動き回ってまた陸軍の兵士に怒られるのは回避したい。
「ありがとうございました」
沼霧さんと共に2人に礼を言って、帰路につく。家に戻るまでは、ずっと無言だった。
(この島はどうなるんだろう)
ずっと戦争の事はこれまで考えてこなかった。興味が無いというのもあるし、この平和な雰囲気で生活したいという一種の欲もあったからだ。
それに、女の身である私が戦争について考えても、何か起こる訳でもない。
(この島に、敵が攻めてきたりは……流石に無いよなあ。無いと信じたい)
家に戻ると、母親が出迎えてくれた。
「あら、もう帰ってきたの。おかえりなさい」
「おかえりなさい」
「お昼にしましょうか」
沼霧さんの精いっぱいの笑顔を見て、私も笑顔を浮かべた。
さあ、お昼ごはんを作ろう。
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