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第43話 キノコ採り①
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秋。月館島の海風は、夏よりも涼しく、ほんの少しだけ冷たさを纏わせ始めた。
「千恵子。お手紙届いているけど、これ行く?」
母親が私に差し出したのは、明日、山でキノコ採りをするという魚道さんからの手紙だった。海道さんとその母親が主催するという。
魚道さんの母親は、キノコにも詳しいようだ。
「キノコ採りかあ」
「千恵子も行ってきたら? 沼霧さんもぜひどうぞ」
「いいんですか?」
「良いわよ。行ってきなさいって」
という事でキノコ採りの参加が決まった。
「ねえ、沼霧さん」
「はい」
「沼霧さんって、キノコ詳しい?」
「はい、それなりには」
(あやかしというか濡れ女はキノコ詳しいのかな?)
こうして、キノコ採り当日の日を迎えた。島では海産物を頂く日が多いだけあって、山の幸を頂くというのはそれはそれで新鮮な気分になる。
母親に見送られて、指定された山への入り口まで徒歩で向かう。
「魚道さん!」
「千恵子さん、沼霧さん! おはようございます!」
入り口の左側に魚道さんとその母親が既に到着していた。
「魚道の母です。初めまして。どうぞよろしくお願いします」
「川上千恵子です。今日はよろしくお願いします」
「沼霧です。どうぞよろしくお願いします」
まずは互いに挨拶を交わしてから、山道に入っていく。それにしても魚道さんの母親は若々しい見た目だ。肌も沼霧さん同様に白く、ハリがすごい。
山道を暫く歩いていくと、魚道さんの母親が声を出した。
「この辺がよくキノコが生えている箇所ですね。キノコはしっかり目を凝らしていれば見つかりますよ」
という、魚道さんの母親からの進言を元に、じっと地面に目を凝らす。するとすぐに白いすらりとした綺麗なキノコが1本生えているのを見つけた。
「あ、これは」
「毒です。決して人間は食べてはなりません」
1本目は毒キノコだった。ちなみにこの毒キノコ、ドクツルタケと言って猛毒を持つキノコという事だった。
だが、近くを歩くと朽ちた大木に茶色いキノコがいくつか生えていた。
「魚道さんのお母さん、これは?」
「なめこですね。持ち帰りましょう。千恵子さんはなめこ食べた事ありますか?」
なめこは味噌汁なら何度か食べた事はある。ぬめりはあるが、美味しいキノコだ。
「千恵子。お手紙届いているけど、これ行く?」
母親が私に差し出したのは、明日、山でキノコ採りをするという魚道さんからの手紙だった。海道さんとその母親が主催するという。
魚道さんの母親は、キノコにも詳しいようだ。
「キノコ採りかあ」
「千恵子も行ってきたら? 沼霧さんもぜひどうぞ」
「いいんですか?」
「良いわよ。行ってきなさいって」
という事でキノコ採りの参加が決まった。
「ねえ、沼霧さん」
「はい」
「沼霧さんって、キノコ詳しい?」
「はい、それなりには」
(あやかしというか濡れ女はキノコ詳しいのかな?)
こうして、キノコ採り当日の日を迎えた。島では海産物を頂く日が多いだけあって、山の幸を頂くというのはそれはそれで新鮮な気分になる。
母親に見送られて、指定された山への入り口まで徒歩で向かう。
「魚道さん!」
「千恵子さん、沼霧さん! おはようございます!」
入り口の左側に魚道さんとその母親が既に到着していた。
「魚道の母です。初めまして。どうぞよろしくお願いします」
「川上千恵子です。今日はよろしくお願いします」
「沼霧です。どうぞよろしくお願いします」
まずは互いに挨拶を交わしてから、山道に入っていく。それにしても魚道さんの母親は若々しい見た目だ。肌も沼霧さん同様に白く、ハリがすごい。
山道を暫く歩いていくと、魚道さんの母親が声を出した。
「この辺がよくキノコが生えている箇所ですね。キノコはしっかり目を凝らしていれば見つかりますよ」
という、魚道さんの母親からの進言を元に、じっと地面に目を凝らす。するとすぐに白いすらりとした綺麗なキノコが1本生えているのを見つけた。
「あ、これは」
「毒です。決して人間は食べてはなりません」
1本目は毒キノコだった。ちなみにこの毒キノコ、ドクツルタケと言って猛毒を持つキノコという事だった。
だが、近くを歩くと朽ちた大木に茶色いキノコがいくつか生えていた。
「魚道さんのお母さん、これは?」
「なめこですね。持ち帰りましょう。千恵子さんはなめこ食べた事ありますか?」
なめこは味噌汁なら何度か食べた事はある。ぬめりはあるが、美味しいキノコだ。
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