あやかしとシャチとお嬢様の美味しいご飯日和

二位関りをん

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第65話 退院

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 正月三が日が過ぎ、1月5日。今日は退院の日だ。

「朝食をお持ちしました」

 看護婦長が朝食の雑炊を持ってくる。

「これが最後の朝食になりますね」
「そうですね、千恵子さん。朝食後退院の説明をさせて頂きますので、お部屋でお待ち頂くようお願いします」
「はい」

 雑炊はニンジンと白菜が細かく刻まれ入っているが、数は多くはない。

「頂きます」

 味は薄味だが、だしが入っており美味しいのは美味しい。

(卵入れたらもっと美味しくなりそうだけど)

 卵は貴重な品なので仕方ない。でも、卵が無くても美味しさはある。

「ごちそうさまでした」
「はい、お皿下げますね」

 朝食後。沼霧さんと母親が私のいる部屋に来た。篝先生も一緒である。

「千恵子久しぶりね」
「そこまで久しぶりでも無いけどね」

 実は正月の昼過ぎや、昨日も母親と沼霧さんとは面会しているので全く会えていない事も無かった。
 それに2人とも篝先生が九尾の狐のあやかしである事を知っている。

「では、退院の手続き進めて行きましょう」

 書類を読んで署名・捺印し、手続きが終わると篝先生から退院後用の薬や頓服を受取り無事退院となる。
 篝先生は入口まで荷物を持って見送ってくれた。

「お元気で!」
「篝先生、ありがとうございます!」

 屋敷に戻ると父親がいた。弟達は既に寮に戻っており、会えなかった。

「千恵子。退院おめでとう」
「ありがとう。お父さん」
「いやあ、篝先生に頼んで良かったよ。彼はまごうことなく名医だね」

 篝先生を絶賛する父親。それだけ信用に値するという事なのだろう。
 それにしても父親は、篝先生があやかしである事を知っているのだろうか。

(聞かなくていいか)

 お昼ご飯は、快気祝いという事で父親が大好きな辛味入り汁かけ飯……カレーライスになった。

「千恵子、好きなだけ食べていいぞ」

 父親からはそう言われたが、入院中はおかゆや雑炊が主だったので、胃が小さくなっている面は拭えなかった。

(食べられるかな……)

 だが、そこは辛味入り汁かけ飯。ご飯がより食べたくなる辛さと味のおかげか、おかわりしてしまうくらいたくさん食べたのだった。

「ごちそうさまでした!」
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