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第78話 タコとわかめのあえ物
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8月。この日は朝からとても暑い。どこからか聞こえてくるセミの声が暑さを更に増幅させているように感じる。
「あぁつぅいーー」
ぬらりひょんが下着姿で廊下に直に横になっている。
「ぬらりひょん、服着ないの?」
「だって暑いもん」
「千恵子、私から言っても暑いの一点張りだったから仕方ないわよ」
それにしても暑い。こう言う時に限って海風は吹いていない。私は居間から台所に移動する。
「沼霧さん。お昼何にします?」
「……涼しいものがいいかな」
「では、わかめ取って来ましょうか?」
沼霧さんのいきなりの申し出に、私は驚く。
「いいの?」
「勿論。暑い時はさっぱり食べられるわかめおすすめですよ」
「じゃあ、お願いしようかな」
「わかりました。では行ってきます」
沼霧さんは割烹着を脱ぎ、家から出ると桟橋から海に飛び込んだ。そして水泳選手のように沖へ泳いでいった。
「沼霧は何取りに行ったんだ?」
光さんが沼霧さんの方を見ながら、私にそう聞いてきた。
「わかめ」
「……わかめ」
「そう、わかめ取りに行った」
「人間てわかめ食うんだな」
「シャチは食べないの?」
「あれは……おもちゃの印象の方が強いしなあ……」
光さんは首を傾げながら、ほれ。と自前の網を私に渡す。
中に入っているのはタコだ。
「タコだあ」
「やるよ。これくらいなら足りるだろ」
「ありがとう。煮てわかめとあえ物にしようかなあ」
きゅうりも刻んで入れてみよう。これならさっぱりと食べられそうだ。
「おっ、沼霧戻ってきたぞ」
光さんの左横から、わかめを持った沼霧さんが海面に浮上してきた。
「ただいま戻りました。あら、タコもありますね」
「光さんがくれたの。きゅうりも刻んであえ物にする?」
「ぜひぜひ!」
そうと決まれば早速別荘に戻り、昼食の準備をする。
沼霧さんの服は別荘に入る前、妖力で完全に乾いていた。
「よし。準備準備と」
わかめと下処理を済ませたタコは茹でる。きゅうりは薄く刻む。茹で上がったわかめとタコはそれぞれ一口分に切ってから和える。
「沼霧さん、お酢ある?」
「あります」
「じゃあ、入れよう」
お酢を入れて混ぜるとあえ物の完成だ。
「お母さん、ぬらりひょん。お昼出来たよーー」
あえ物を大皿に盛り付け、麦ごはんもお茶碗によそう。
「頂きます」
あえ物は酢の味がきゅーっと効いていて、さっぱり美味しく食べられる。身体の中にこもった熱さが、取れていく気がする。
「美味しいね」
ぬらりひょんももりもりとあえ物を食べている。
そんな彼女だが、途中で脱いだ服を着直したのだった。
(暑さが若干ましになったかな?)
「あぁつぅいーー」
ぬらりひょんが下着姿で廊下に直に横になっている。
「ぬらりひょん、服着ないの?」
「だって暑いもん」
「千恵子、私から言っても暑いの一点張りだったから仕方ないわよ」
それにしても暑い。こう言う時に限って海風は吹いていない。私は居間から台所に移動する。
「沼霧さん。お昼何にします?」
「……涼しいものがいいかな」
「では、わかめ取って来ましょうか?」
沼霧さんのいきなりの申し出に、私は驚く。
「いいの?」
「勿論。暑い時はさっぱり食べられるわかめおすすめですよ」
「じゃあ、お願いしようかな」
「わかりました。では行ってきます」
沼霧さんは割烹着を脱ぎ、家から出ると桟橋から海に飛び込んだ。そして水泳選手のように沖へ泳いでいった。
「沼霧は何取りに行ったんだ?」
光さんが沼霧さんの方を見ながら、私にそう聞いてきた。
「わかめ」
「……わかめ」
「そう、わかめ取りに行った」
「人間てわかめ食うんだな」
「シャチは食べないの?」
「あれは……おもちゃの印象の方が強いしなあ……」
光さんは首を傾げながら、ほれ。と自前の網を私に渡す。
中に入っているのはタコだ。
「タコだあ」
「やるよ。これくらいなら足りるだろ」
「ありがとう。煮てわかめとあえ物にしようかなあ」
きゅうりも刻んで入れてみよう。これならさっぱりと食べられそうだ。
「おっ、沼霧戻ってきたぞ」
光さんの左横から、わかめを持った沼霧さんが海面に浮上してきた。
「ただいま戻りました。あら、タコもありますね」
「光さんがくれたの。きゅうりも刻んであえ物にする?」
「ぜひぜひ!」
そうと決まれば早速別荘に戻り、昼食の準備をする。
沼霧さんの服は別荘に入る前、妖力で完全に乾いていた。
「よし。準備準備と」
わかめと下処理を済ませたタコは茹でる。きゅうりは薄く刻む。茹で上がったわかめとタコはそれぞれ一口分に切ってから和える。
「沼霧さん、お酢ある?」
「あります」
「じゃあ、入れよう」
お酢を入れて混ぜるとあえ物の完成だ。
「お母さん、ぬらりひょん。お昼出来たよーー」
あえ物を大皿に盛り付け、麦ごはんもお茶碗によそう。
「頂きます」
あえ物は酢の味がきゅーっと効いていて、さっぱり美味しく食べられる。身体の中にこもった熱さが、取れていく気がする。
「美味しいね」
ぬらりひょんももりもりとあえ物を食べている。
そんな彼女だが、途中で脱いだ服を着直したのだった。
(暑さが若干ましになったかな?)
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