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第103話 月館小島でお昼ごはん
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お昼は別荘で作ったお弁当。麦ごはんと梅干し。それとキャベツの炒め物。
切り株に座ると、弁当の容器の蓋を開けてお箸を出して頂く。
「頂きます」
「それ何?」
雨月が頬杖をつきながら私達の弁当を興味深そうに見つめている。
「お弁当です」
「食べるの?」
「はい」
「へえ。私は食事なんてずっとしてないわね」
食事を取らなくてもあやかしは生きていけるのか。篝先生曰く種族にもよるとの事だった。
「彼女は食事を必要とはしていないんでしょう」
「なるほど……」
「ねえ、お腹すかないの?」
ぬらりひょんが雨月に向かって大きな声で質問した。
「それがね、すかないの」
「ほんと?」
「ええ。ほんと」
「そうなんだ」
ぬらりひょんは首を傾げて、不思議そうな表情を見せている。普段から食いしん坊なぬらりひょんの事だ。食事を必要とはしない雨月は確かに不思議な存在だろう。
「もし食べるってなったら、何食べるんですか?」
「魚とか、かしらねえ……千恵子さんはそのお弁当にあるもの?」
「そうです、麦ごはんを主食に野菜とか魚とか……」
「料理するの?」
「はい!」
その後も私達は雨月と会話しながら、お弁当を食べ進めていった。麦ごはんの甘味に梅干しの酸味は相性が良い。
「ごちそうさまでした」
お弁当を片付け、袋の中に入れた。しばらく休憩し、ここを発つ事が決まる。
「では、行きましょう」
「はい、篝先生。雨月さんお邪魔しました!」
「ふふっ、また来てね」
「はい!」
雨月さんは右手を振って私達を見送ってくれたのだった。
それにしても彼女は、妖艶で圧のある雰囲気を持ってはいたが、いざ話してみると親しみやすさを感じたあやかしに思う。
「そろそろ砂浜に戻りますか。光さんや一反木綿も待っていますし」
篝先生の提案に私もぬらりひょんも頷いた。
「ぬらりひょんはもう大丈夫なの?」
「うん、また行けばいいし」
「そうだね、じゃあ帰ろうか」
砂浜に戻ると、砂浜近くの海で光さんと、彼の背びれに巻き付く形で一反木綿が待っていてくれていた。
「お待たせ。ただいま戻ったよ!」
「千恵子! 篝先生もぬらりひょんも元気そうだな。何かあったか?」
「あやかしがいた!」
「ぬらりひょん、どんなあやかしだった?」
「こんなに大きいの!」
ぬらりひょんは、両手を天に掲げて雨月の大きさを表現している。その姿は可愛らしく微笑ましい。
「へえ、そんなに大きかったのかぁ」
「そうだよ!」
こうして、月館小島の探検は幕を閉じたのだった。
さあ、帰ったら母親と沼霧さんに話さないと行けない。
切り株に座ると、弁当の容器の蓋を開けてお箸を出して頂く。
「頂きます」
「それ何?」
雨月が頬杖をつきながら私達の弁当を興味深そうに見つめている。
「お弁当です」
「食べるの?」
「はい」
「へえ。私は食事なんてずっとしてないわね」
食事を取らなくてもあやかしは生きていけるのか。篝先生曰く種族にもよるとの事だった。
「彼女は食事を必要とはしていないんでしょう」
「なるほど……」
「ねえ、お腹すかないの?」
ぬらりひょんが雨月に向かって大きな声で質問した。
「それがね、すかないの」
「ほんと?」
「ええ。ほんと」
「そうなんだ」
ぬらりひょんは首を傾げて、不思議そうな表情を見せている。普段から食いしん坊なぬらりひょんの事だ。食事を必要とはしない雨月は確かに不思議な存在だろう。
「もし食べるってなったら、何食べるんですか?」
「魚とか、かしらねえ……千恵子さんはそのお弁当にあるもの?」
「そうです、麦ごはんを主食に野菜とか魚とか……」
「料理するの?」
「はい!」
その後も私達は雨月と会話しながら、お弁当を食べ進めていった。麦ごはんの甘味に梅干しの酸味は相性が良い。
「ごちそうさまでした」
お弁当を片付け、袋の中に入れた。しばらく休憩し、ここを発つ事が決まる。
「では、行きましょう」
「はい、篝先生。雨月さんお邪魔しました!」
「ふふっ、また来てね」
「はい!」
雨月さんは右手を振って私達を見送ってくれたのだった。
それにしても彼女は、妖艶で圧のある雰囲気を持ってはいたが、いざ話してみると親しみやすさを感じたあやかしに思う。
「そろそろ砂浜に戻りますか。光さんや一反木綿も待っていますし」
篝先生の提案に私もぬらりひょんも頷いた。
「ぬらりひょんはもう大丈夫なの?」
「うん、また行けばいいし」
「そうだね、じゃあ帰ろうか」
砂浜に戻ると、砂浜近くの海で光さんと、彼の背びれに巻き付く形で一反木綿が待っていてくれていた。
「お待たせ。ただいま戻ったよ!」
「千恵子! 篝先生もぬらりひょんも元気そうだな。何かあったか?」
「あやかしがいた!」
「ぬらりひょん、どんなあやかしだった?」
「こんなに大きいの!」
ぬらりひょんは、両手を天に掲げて雨月の大きさを表現している。その姿は可愛らしく微笑ましい。
「へえ、そんなに大きかったのかぁ」
「そうだよ!」
こうして、月館小島の探検は幕を閉じたのだった。
さあ、帰ったら母親と沼霧さんに話さないと行けない。
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