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第105話 陸軍の施設
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建物の中は物静かで、あまり人通りも少ないように見えた。やはり兵士のほとんどは建物の外にいるのだろうか。
「篝先生、どちらへ?」
「千恵子さん、これからこの施設の長へ挨拶を済ませようと思いまして」
この島の部隊長への挨拶と聞き、心臓がドキドキと鳴る。
(お偉いさんとも挨拶できるのか)
部隊長のいる部屋の扉は、大きいだけでなく茶色く分厚い扉だ。篝先生が扉をたたくと、どうぞお入りくださいと言う丁寧な言葉が返って来る。
「失礼いたします。あけましておめでとうございます。篝です」
「おお、篝先生。あけましておめでとうございます」
部隊長は背が高く、細身だが筋肉質な見た目の爽やかな男性だ。髪は坊主でひげは無い。姿勢の良さと物腰の柔らかさは、育ちがよさそうな印象を受ける。
「その方たちは、川上財閥の?」
「初めまして、川上ヨシと申します」
「川上千恵子と申します。初めまして」
沼霧さんとぬらりひょんも部隊長に挨拶をした。なおぬらりひょんは篝先生の親戚の子供という「設定」である。
「皆さん勢ぞろいでお越しいただきありがとうございます」
部隊長は帽子を取って丁寧に、私達へ頭を下げてくれたのだった。そんな彼からは軍人特有のお堅い印象は受けず、むしろ柔らかそうな雰囲気に感じる。
「では、私はここで仕事があるので」
篝先生とは一旦ここでお別れとなる。私達はその後、神社に向かい初詣を済ませたのだった。
神社で温かい甘酒を貰ったので、昼食で飲んでみる事にする。
「ただいまーー」
別荘に戻って荷物を置くと、私とぬらりひょんは桟橋に向かう。彼へ新年のあいさつをする為だ。
「光さーーん」
「千恵子、ぬらりひょん! あけましておめでとう!」
光さんが右ひれを挙げて、いつもの明るい声で挨拶をしてきた。
「光さんあけましておめでとう!」
「ぬらりひょんも元気そうで良かったよ」
「えへへ、元気元気!」
「光さんの家族は?」
「その辺で泳いでるよ。まあ、後で俺から伝えとくわ」
「ありがとう、助かる」
光さんへの挨拶を済ませた後は、着物から私服に着替えて昼食を取る。昼食は煮しめの残りと麦ごはんだ。
「今年も良い年になってほしいなあ」
私の呟きに、母親はそうねえ、と返す。
「出来たらこの島でゆっくり過ごしたいわね」
「うん」
「千恵子も体調管理しっかりするのよ」
「分かってる分かってる」
「篝先生、どちらへ?」
「千恵子さん、これからこの施設の長へ挨拶を済ませようと思いまして」
この島の部隊長への挨拶と聞き、心臓がドキドキと鳴る。
(お偉いさんとも挨拶できるのか)
部隊長のいる部屋の扉は、大きいだけでなく茶色く分厚い扉だ。篝先生が扉をたたくと、どうぞお入りくださいと言う丁寧な言葉が返って来る。
「失礼いたします。あけましておめでとうございます。篝です」
「おお、篝先生。あけましておめでとうございます」
部隊長は背が高く、細身だが筋肉質な見た目の爽やかな男性だ。髪は坊主でひげは無い。姿勢の良さと物腰の柔らかさは、育ちがよさそうな印象を受ける。
「その方たちは、川上財閥の?」
「初めまして、川上ヨシと申します」
「川上千恵子と申します。初めまして」
沼霧さんとぬらりひょんも部隊長に挨拶をした。なおぬらりひょんは篝先生の親戚の子供という「設定」である。
「皆さん勢ぞろいでお越しいただきありがとうございます」
部隊長は帽子を取って丁寧に、私達へ頭を下げてくれたのだった。そんな彼からは軍人特有のお堅い印象は受けず、むしろ柔らかそうな雰囲気に感じる。
「では、私はここで仕事があるので」
篝先生とは一旦ここでお別れとなる。私達はその後、神社に向かい初詣を済ませたのだった。
神社で温かい甘酒を貰ったので、昼食で飲んでみる事にする。
「ただいまーー」
別荘に戻って荷物を置くと、私とぬらりひょんは桟橋に向かう。彼へ新年のあいさつをする為だ。
「光さーーん」
「千恵子、ぬらりひょん! あけましておめでとう!」
光さんが右ひれを挙げて、いつもの明るい声で挨拶をしてきた。
「光さんあけましておめでとう!」
「ぬらりひょんも元気そうで良かったよ」
「えへへ、元気元気!」
「光さんの家族は?」
「その辺で泳いでるよ。まあ、後で俺から伝えとくわ」
「ありがとう、助かる」
光さんへの挨拶を済ませた後は、着物から私服に着替えて昼食を取る。昼食は煮しめの残りと麦ごはんだ。
「今年も良い年になってほしいなあ」
私の呟きに、母親はそうねえ、と返す。
「出来たらこの島でゆっくり過ごしたいわね」
「うん」
「千恵子も体調管理しっかりするのよ」
「分かってる分かってる」
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