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第3話 えっちなのはいけないと思います!
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「おい? 中崎さん? お~い?」
「ふぇふぇふぇ……ふぉふぉ……」
薄れていく理性が最後に聞いたのは、勿論秀介の声だった。
「……はぁ、おぶっていこうか。あ、段ボール……荷物もあるのか」
彼に腕を優しく掴まれ、広い背中に身体が預けられる。彼の陽だまりのような温度が全身に駆け巡ると更に酔いが回った。
一度立ち止まったのは会計の為だろう。咲良はまるでハンモックに揺られているような心地よさを堪能しながら、言葉にならない声を出し続けた。
「飲みすぎだろ……」
「ふぇ?」
咲良はうとうとと目を閉じつつ、彼の指どおりの良い髪がある後頭部へ頬を預ける。
「何でもないよ。とりあえずそれだけ酔ってるならどっかで休んだ方がいいよ。俺んち近いけど……」
「行きます~」
「いや、即答かよ! これまでロクに関わって来なかった男の家だぞ……」
結局、咲良は秀介の自宅へ移動する事となる。荷物は彼が呼んだタクシー運転手や秀介が手伝い、運んでくれた。
千鳥足のまま彼のベッドに身を横たわせたが、理性が蒸発しているこの状況下では羞恥心や遠慮といった感情は全く出てこない。
「中崎さん、何かあったら言ってよ」
ここで部屋から去ろうとする秀介の背中に、咲良は抱き着いた。
夢の世界に辿り着いている咲良の視界上だと秀介の背中ではなく、樹齢数百年クラスの桜の大樹が映し出されていたのだが。
「っおい!」
よろけふためく秀介に咲良は気が付くそぶりも見せず、ただ頬を彼の腰からお尻の付近に当てる。
「ああ、あったかい……桜の神様……」
「いや、中崎さんが抱き着いてるのは」
「あぁ~……神様~どうか私に衣食住と……あっ出来たら春日先輩とデートかハグがしたい、です……」
「は? お、俺と?」
咲良視点では、願いをかなえる桜の大樹に抱き着いて、秘めたる願いを呟いていたつもりだった。しかし秀介視点だとそうではない。
「……中崎さん、もしかして誘ってる?」
彼の問いは咲良には届いていない。あくまで桜の大樹に寄り添っているだけだ。
「あぁ~……」
「お――い、お――い……?」
秀介が振り返った途端体勢が崩れる。ベッドの上で彼が咲良を押し倒したような格好となると、咲良の目の前には秀介の顔がでかでかと広がった。
なお夢の世界にいる彼女には全く認識できていない。そんなのほほんとした彼女を見た秀介の身体の中で理性の糸がぷつりと切れた。
「……やっぱ誘ってきているだろ……!」
「……っ?! あっ……!」
そのまま秀介は逃げるようにして退散していったのだが、咲良がそれに気が付くはずもなく。
「ん~熱い……」
酔いが熱をもたらし、全身を覆う。彼女は勝手に服を脱いでベッドの上に寝転がって深い暗闇の世界へと溺れていった。
◇ ◇ ◇
「ん……」
瞼に光が差し込んできているのに気が付いた咲良がゆっくりと目を開くと、彼女の理性からすれば知らない内装が飛び込んでくる。
「……ここどこ?」
真っ白な天井に、丸い照明灯が光を放っている。身をゆっくりと起こすと、頭ががんがんと痛い。
周囲にはふかふかのキングサイズのベッド。幼稚園児程の大きさがあるヤシの木みたいな観葉植物にシンプルな黒いデスクがあるのが見える。
「起きた? っておい、服くらい着といた方がいいだろ」
左側の扉がゆっくりと開かれると、そこにいたのは秀介だった。白いトレーナーに黒いジャージ風のズボンと如何にもな部屋着を纏っている。
そして咲良はここで、自分が着ているのは下着だけなのに気が付いた。
「え?! え、あの、春日先輩?! ちょ、これってどういう……!」
「俺が聞きたいわ。ってか覚えていないの?」
「ま、全く……」
「はぁ。昨日あれだけ暴れておいてその反応か。って事は本当に覚えてないのな」
呆れてため息を吐き出される秀介だが、そんな彼を見ても咲良は戸惑いしか感じられない。
「あの、私、なんでここに……」
「とりあえず昨日、酔ってた君を家に連れてきたんだ。そしたらまあ……君がめちゃくちゃ酔っていたせいか色々あって。言っておくが君には手を出していないからな?」
複雑な顔色を覗かせる秀介が視界に飛び込んできた瞬間、咲良は全てを理解した。脳天に雷が落ちてきたかのような、衝撃がとどろく。
「あ、もしかして……ご迷惑をおかけしてしまいましたか……?」
「ああ、うん……いや、迷惑ではないが、驚いたな。あんなに積極的だったなんて」
「せ、積極的?!」
お酒のせいとはいえあまりの衝撃的な展開を受け入れる事が出来ず、頭を抱える。だが秀介はというとゆっくりと歩を進めて咲良の左隣に近寄ってきた。
「あとこれ……君の荷物勝手に整理してたら出てきたんで読んでみたんだけど」
「え」
秀介が手にしているのは、咲良の妄想がぎっしり詰まった同人誌。表紙には秀介そっくりの男子高校生がカッターシャツと黒いズボンの制服を着た姿が描かれている。
なお、この制服は秀介と咲良が通っていた高校のものとほぼ同じだ。
「これ、俺だよね?」
ぎくり。と咲良の心臓が止まる。すぐに鼓動は再び動き出すが、全身が石のように固まって動かなくなった。
「どうなの? 俺なの? あ、怒ったりはしてないから安心して」
「……は、はい……先輩、です……」
(どうしようどうしようバレたバレた)
最悪の状態。頭を抱える咲良はどうしたものかと思考を巡らせるが、どう対応して良いか全くわからないでいる。
「あ、あ……」
「怖がらなくていいよ。で、読んだんだけど。誘って来た割には初心じゃないか?」
「へ……?」
「だって手をつないだりするくらいじゃん。とっても健全と言うか」
突如として視界のほぼすべてを彼の色気めいた顔が占領する。顔の下、首筋からは甘くて濃厚な香りが漂い、吸っただけで頭がくらくらした。
甘い空気に溺れていきそうになるが、すぐに初心さと理性、そして妄想とは違う部分が咲良の意識を引き戻す。
「まっ待ってください……!」
「何を?」
首を傾げる秀介の顔を見ただけで、咲良の胸の奥がぎゅっと締まる。このままでは唇同士が触れてしまう。察した彼女は、目を閉じて喉奥から声を引っ張り上げた。
「あ、あのっ……えっちなのはいけないと思いますっ!」
肩を上下に動かし、息を整える。力を込めて瞼を閉じているせいで、視界は真っ暗。それでも秀介がすぐ目の前にいるのは十分知覚している。
「へえ、えっちなのはいけない、ねえ……」
「うっ……でっでも、覚えてなくて」
「うそつき」
にっこりと秀介が笑う。その笑顔に咲良が眼を奪われた途端彼女の唇はすぐさまふさがれた。
「んっ?!」
「ふぇふぇふぇ……ふぉふぉ……」
薄れていく理性が最後に聞いたのは、勿論秀介の声だった。
「……はぁ、おぶっていこうか。あ、段ボール……荷物もあるのか」
彼に腕を優しく掴まれ、広い背中に身体が預けられる。彼の陽だまりのような温度が全身に駆け巡ると更に酔いが回った。
一度立ち止まったのは会計の為だろう。咲良はまるでハンモックに揺られているような心地よさを堪能しながら、言葉にならない声を出し続けた。
「飲みすぎだろ……」
「ふぇ?」
咲良はうとうとと目を閉じつつ、彼の指どおりの良い髪がある後頭部へ頬を預ける。
「何でもないよ。とりあえずそれだけ酔ってるならどっかで休んだ方がいいよ。俺んち近いけど……」
「行きます~」
「いや、即答かよ! これまでロクに関わって来なかった男の家だぞ……」
結局、咲良は秀介の自宅へ移動する事となる。荷物は彼が呼んだタクシー運転手や秀介が手伝い、運んでくれた。
千鳥足のまま彼のベッドに身を横たわせたが、理性が蒸発しているこの状況下では羞恥心や遠慮といった感情は全く出てこない。
「中崎さん、何かあったら言ってよ」
ここで部屋から去ろうとする秀介の背中に、咲良は抱き着いた。
夢の世界に辿り着いている咲良の視界上だと秀介の背中ではなく、樹齢数百年クラスの桜の大樹が映し出されていたのだが。
「っおい!」
よろけふためく秀介に咲良は気が付くそぶりも見せず、ただ頬を彼の腰からお尻の付近に当てる。
「ああ、あったかい……桜の神様……」
「いや、中崎さんが抱き着いてるのは」
「あぁ~……神様~どうか私に衣食住と……あっ出来たら春日先輩とデートかハグがしたい、です……」
「は? お、俺と?」
咲良視点では、願いをかなえる桜の大樹に抱き着いて、秘めたる願いを呟いていたつもりだった。しかし秀介視点だとそうではない。
「……中崎さん、もしかして誘ってる?」
彼の問いは咲良には届いていない。あくまで桜の大樹に寄り添っているだけだ。
「あぁ~……」
「お――い、お――い……?」
秀介が振り返った途端体勢が崩れる。ベッドの上で彼が咲良を押し倒したような格好となると、咲良の目の前には秀介の顔がでかでかと広がった。
なお夢の世界にいる彼女には全く認識できていない。そんなのほほんとした彼女を見た秀介の身体の中で理性の糸がぷつりと切れた。
「……やっぱ誘ってきているだろ……!」
「……っ?! あっ……!」
そのまま秀介は逃げるようにして退散していったのだが、咲良がそれに気が付くはずもなく。
「ん~熱い……」
酔いが熱をもたらし、全身を覆う。彼女は勝手に服を脱いでベッドの上に寝転がって深い暗闇の世界へと溺れていった。
◇ ◇ ◇
「ん……」
瞼に光が差し込んできているのに気が付いた咲良がゆっくりと目を開くと、彼女の理性からすれば知らない内装が飛び込んでくる。
「……ここどこ?」
真っ白な天井に、丸い照明灯が光を放っている。身をゆっくりと起こすと、頭ががんがんと痛い。
周囲にはふかふかのキングサイズのベッド。幼稚園児程の大きさがあるヤシの木みたいな観葉植物にシンプルな黒いデスクがあるのが見える。
「起きた? っておい、服くらい着といた方がいいだろ」
左側の扉がゆっくりと開かれると、そこにいたのは秀介だった。白いトレーナーに黒いジャージ風のズボンと如何にもな部屋着を纏っている。
そして咲良はここで、自分が着ているのは下着だけなのに気が付いた。
「え?! え、あの、春日先輩?! ちょ、これってどういう……!」
「俺が聞きたいわ。ってか覚えていないの?」
「ま、全く……」
「はぁ。昨日あれだけ暴れておいてその反応か。って事は本当に覚えてないのな」
呆れてため息を吐き出される秀介だが、そんな彼を見ても咲良は戸惑いしか感じられない。
「あの、私、なんでここに……」
「とりあえず昨日、酔ってた君を家に連れてきたんだ。そしたらまあ……君がめちゃくちゃ酔っていたせいか色々あって。言っておくが君には手を出していないからな?」
複雑な顔色を覗かせる秀介が視界に飛び込んできた瞬間、咲良は全てを理解した。脳天に雷が落ちてきたかのような、衝撃がとどろく。
「あ、もしかして……ご迷惑をおかけしてしまいましたか……?」
「ああ、うん……いや、迷惑ではないが、驚いたな。あんなに積極的だったなんて」
「せ、積極的?!」
お酒のせいとはいえあまりの衝撃的な展開を受け入れる事が出来ず、頭を抱える。だが秀介はというとゆっくりと歩を進めて咲良の左隣に近寄ってきた。
「あとこれ……君の荷物勝手に整理してたら出てきたんで読んでみたんだけど」
「え」
秀介が手にしているのは、咲良の妄想がぎっしり詰まった同人誌。表紙には秀介そっくりの男子高校生がカッターシャツと黒いズボンの制服を着た姿が描かれている。
なお、この制服は秀介と咲良が通っていた高校のものとほぼ同じだ。
「これ、俺だよね?」
ぎくり。と咲良の心臓が止まる。すぐに鼓動は再び動き出すが、全身が石のように固まって動かなくなった。
「どうなの? 俺なの? あ、怒ったりはしてないから安心して」
「……は、はい……先輩、です……」
(どうしようどうしようバレたバレた)
最悪の状態。頭を抱える咲良はどうしたものかと思考を巡らせるが、どう対応して良いか全くわからないでいる。
「あ、あ……」
「怖がらなくていいよ。で、読んだんだけど。誘って来た割には初心じゃないか?」
「へ……?」
「だって手をつないだりするくらいじゃん。とっても健全と言うか」
突如として視界のほぼすべてを彼の色気めいた顔が占領する。顔の下、首筋からは甘くて濃厚な香りが漂い、吸っただけで頭がくらくらした。
甘い空気に溺れていきそうになるが、すぐに初心さと理性、そして妄想とは違う部分が咲良の意識を引き戻す。
「まっ待ってください……!」
「何を?」
首を傾げる秀介の顔を見ただけで、咲良の胸の奥がぎゅっと締まる。このままでは唇同士が触れてしまう。察した彼女は、目を閉じて喉奥から声を引っ張り上げた。
「あ、あのっ……えっちなのはいけないと思いますっ!」
肩を上下に動かし、息を整える。力を込めて瞼を閉じているせいで、視界は真っ暗。それでも秀介がすぐ目の前にいるのは十分知覚している。
「へえ、えっちなのはいけない、ねえ……」
「うっ……でっでも、覚えてなくて」
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