ずっと片思いしていたエリート外科医の溺愛は妄想と違って淫らな模様です

二位関りをん

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第17話 未だ続くストーカー被害

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「先輩~~……」

 早朝5時過ぎの事。全身に広がる鈍い痛みで咲良は目を覚ました。左隣で寝ている秀介はぐっすりと熟睡中だ。
 肩をゆすっても起きる気配は全くない。

(……先輩の寝姿、写真に撮っちゃおうかな)

 黒い下着姿のままごそごそとスマホを取り出し、起こさないように慎重にシャッターボタンを押す。

「ふふっ」

 画面に映し出された秀介の寝顔は絵画のような美しさだ。我ながら美しく撮影できたと、満足していると彼が寝返りを打とうと動きだす。

「うう~~……」

 スマホをしまってからバスローブを羽織り、秀介の身体を揺すった。

「せんぱい~~朝ですよ~~」
「んぅ……さくらぁ……」
「起きてください、お仕事が~~」
「ん、起きないと……」

 ようやく起きてくれた! と思っていたのもつかの間。彼の身体が揺れ動き、咲良の上に覆いかぶさる。

「ひゃっ?!」
「仕事、行かねえと……ああ、咲良、ちょっとだけチャージさせて」

 咲良の首筋に彼の柔らかな唇がちゅ、と当たる。まだ身体の奥に残っていた淫靡な感覚が再び息を吹き返す。

「あっ、や……」
「はあっ、ちゅぷっ……ちょっとだけ、ちょっとだけ……」
「先輩、だめですよ……! そんな事言って、最後までしちゃうんでしょ……お仕事が……」
「んっ……はあっ、すまん。そうだった。今やったら絶対遅刻する自信があるわ」

 患者さんを困らせてはいけないからな。と彼は起き上がる。黒いボクサータイプの下着が露わになるとその中心部に目が行ってしまった。

「朝飯どうする? 確かモーニングバイキングと、ルームサービスの2種類あるみたいなんだが」
「先輩のお好きな方で大丈夫ですよ」
「じゃ、バイキング行くか」
「わかりました。その前にチェックアウトの準備済ませておきましょう」

 手早くシャワーを浴びて着替え、髪型のセットとメイクを済ませる。荷物を詰め込みと確認を終えるとベッドをさっと整えて部屋を後にした。
 ホテルの地下にあるバイキング会場の入り口は、既にサラリーマンなどが列を作っている。

「腹減ったなぁ……ふわあ」
「ふふっ大きなあくびですね」
「今日は研修医との面談もあるからな、あくびは今のうちにしとかねえと笑われる」
(研修医達から笑われる先輩かあ……後輩から好かれるイメージはあるから解釈一致かも。でもバカにされてるとかだったら嫌だなあ)

 考え込んでいる咲良の左頬を秀介が指でつついてきた。

「何考えてんだ?」
「あっ! ……バカにされている先輩を見るのは嫌だなって」
「あ~~俺の事心配してた? 大丈夫。そんなやつらはいないと俺は信じてるから」

 ぽんぽんと頭を撫でられるのと、バイキング用の白いトレイが右側に見えてきたのがほぼ同時だった。
 卵焼きや納豆、鳥ごぼうの炊き込みご飯、白みそのお味噌汁にコールスローのサラダなどをトレイに盛り付け、朝食を楽しむ。
 そのあとは一気に現実へと引き戻れた。秀介は大学病院へ、咲良はマンションで宅配サービスを申し込む。

「こんにちは! 商品お届けに参りました!」

 咲良と同年代位の女性の宅配員からキャベツなど注文していた食材を受け取り、支払いを済ませようとしていた時。後ろから黒い髪を束ね、制服を着こなした30代くらいの女性コンシェルジュが茶色の段ボールを抱えてやってきているのが見えた。
 女性の宅配員と入れ替わるようにして、すみません……と遠慮がちに近づいてくる女性のコンシェルジュは松原程ではないが時折目にする顔である。

「こんにちは、そちらは……」
「春日様の奥様、お世話になっております。例の花束がまた届いたのですが、それとはプレゼントも届いておりまして。安全性を確保する為に先に開封させていただいております」

 食材などを一旦リビングに置いてから、廊下に置かれた既に封が開けられた段ボールを見下ろす。

「……これ、ハングルですよね」
「そうです。開けてみますか?」
「はい。お願いします」

 女性のコンシェルジュが白い手袋をはめたまま、段ボールの右隅に入っていた白い縦長の箱を手に取り開封する。中から出てきたのは白いガラス瓶に収まった無色透明の液体だった。

「化粧水のようですね」
「えっわかったんですか?!」
「この裏にあるハングルの下にある英文でわかりました。他にも見ていきますね。奥様は念のため距離を取って頂けますか?」

 言われた通りに半歩ほど後ずさりする。もし毒薬などが入っていたら一大事だ。そうならないように咲良は心の奥で祈りながら、女性コンシェルジュの動きをじっと見つめる。
 彼女は躊躇する事無く段ボールに入ったものを次から次へと出していった。

「これも化粧水。これは乳液。それとこれは……プロテイン。これは……サジーのジュース」
「うわ、そんなに……?」
「どれも有名ブランドでございます。韓国コスメ以外にも、国内初のものもあって多種多様ですね。あっこれはお手紙かな? 開けてみます」
「お願いしますっ……!」

 白地に色とりどりの花柄模様が描かれた封筒を開くと、そこには無地の手紙が1枚収められていた。

 ――親愛なる春日先生。いつも花束をお送りさせていただいておりますが、喜んでおられるでしょうか? 私はあなたに初めて会った時からずっと恋焦がれておりました。
 こちら、私が日ごろから愛用しているコスメをお送りいたします。怪しいモノではございませんのでぜひ先生もお使いになられてみてはいかがでしょうか?

 文章はこれまで。差出人の名前は一切記されていない。字体は細やかで整っており、硬筆を習っていそうな雰囲気が見て取れる。

「これ……もしかしてお金持ちの方でしょうか?」
「さあ……奥様、いかがなさいます?」
「とりあえず、この段ボールに入っているもの置いてもらっていいですか? 何かきっかけになるかもしれませんし」
「かしこまりました。ではこちらでお預かりいたしますね」

 夜の20時過ぎ、秀介が帰宅したので事の詳細を簡潔に伝える。

「コスメ?!」
「そうなんです。お手紙も入っていて」
「へえ、差出人はどうせ書いてないんだろ?」
「そうですね」

 玄関ホールで松原と共に段ボールに入っている品を確認していく。そこで腕組みしながら考え込む仕草を見せる秀介を見た咲良は、ある感覚を知覚した。
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