どうやら私のセフレは2人いたみたいです。~えげつない性癖持ちの美形双子から注がれる淫愛に堕ちる~

二位関りをん

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第2話 回想・あの時のしゅうはどちらのしゅう?

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◇ ◇ ◇

 私がマッチングアプリを使いだしたのは2カ月前。殺意しかない太陽光がアスファルトを焼き付けていた夏の話。30歳を迎えた姉がアプリを使って恋人が出来たのを機に、私もアプリを始めた。
 親戚達からはよく「結婚はしないのか?」と受け答えがめんどくさいランキング第1位の質問を投げかけられてきていたから、ちょうど良かったのもある。

 そうして出会ったのがしゅうさんだった。アプリに登録して2日後くらいに彼からメッセージが届いたのがきっかけ。
 手紙風のアイコンの右上に①とあったのを見て最初は浮かれていたけど、メッセージ欄を開いたらとんでもないやらかしをしていたのが発覚した。

『はじめまして。気になったのでフォローとメッセージお送りしてみました。アイコンの白うさぎとっても可愛いですね! プロフ欄に記載が無かったので確認なのですが。カレコさんてSですか? Mですか?』

 なんと私が登録していたのは普通のマッチングアプリではなく、サディストな性癖とマゾヒズムな性癖の人がマッチングする……所謂SM系のもの。
 最初アプリのアイコンを見た時は赤と紫が使われたセクシーなものだなとは思っていたが、SMの人達向けのモノだとは気がつかずにインストールしてしまった。しゅうさんから教えてもらって助かった反面ものすごく恥ずかしかったのは今でもちゃんと覚えている。
 
 無論私はサディストでもなければマゾヒズムでもないので、震える指先でどちらでもないのと謝罪文を送信した。しゅうさんからの返信はすぐで、謝らなくていいと気遣いを見せてくれたので心底ほっとした。

『よかったらしばらく俺とやりとりしてみませんか? お話だけでも大丈夫なので』

 私は構わずお願いしますと返信した。しゅうさんが1番最初なのもあるけど、このマッチングアプリ、メッセージのやり取りや一言日記の更新といった機能を使えば使う程、有料システムを期間限定で無料でも使えたりと恩恵を受けられる部分が数多くある。それゆえにやり取りをぶった切るのもどうかと思ったからだ。
 いざメッセージを介してみると、しゅうさんは気楽に接する事が出来る人なのが分かった。返信が遅いのはよくあるけど、こっちも仕事があるし、彼への強い執着や熱意も無いのでそこが逆に楽に感じられてよかったのはあるかもしれない。
 しゅうさんの好きな食べ物はハンバーグとパンケーキなのが判明した下りでは、おすすめのレストランも教えてくれた。
 彼の好きなものは好きだと見栄を張らずに胸を張って言える素直さは、本当に好感がもてる。文字だけから始まったコミュニケーションは、徐々に通話でゲームをすると言った具合にまで発展。気がつけば彼と会う約束を結んでいた。

 この約束を結んだ後は、もう漠然とそういうコトをするんだなとは感じ取っていた。なのでしゅうさんとリアルで会うのが決まってからは姉と共にショッピングモールで流行の服を買ったり、化粧品を買い替えたりとあわただしく時間が過ぎていった気がする。
 めんどくさくなかったと言えばうそになるけど男の人と会うのだから、それくらいしないとダメだと、強く言い聞かせてきた。

 この時点で未だ処女だった私に、怖さが全くなかったかと言えば違う。学生時代に1個上の先輩を好きになったりした記憶はあるけど、いずれも淡い片思いで終わっていた為にキスとかハグとか、異性と肌を触れあう体験は無かったからだ。
 一線を越えたい気持ちはあるけど、ドラマや漫画のようにまぐわう私の姿なんて、とても突飛すぎて想像できなかったのもある。

 しかし、このタイミングを逃せば私は死ぬまで処女で……男を知らずに生きていくのではないか。そう考えたら女の枠組みから捨てられそうな気分になってしまって恐ろしいのだ。
 セックスへの怖さよりも、そちらの方が勝っていたせいか、早めに覚悟は出来たと思う。

 初対面となった場所は大学病院の近くにあるバスターミナル駅の中。ソファの左隅に座って待っていた所に、彼は静かに現れた。

「カレコさんですか? しゅうです。初めまして」

 金髪マッシュルームカットに目鼻立ちの整った爽やかな顔つきの美青年に、一瞬で心を奪われた。いや、意地悪そうで不細工な男性じゃなくて良かったと安堵したのが正解か。
 だぼだぼな白いフードチュニックとスキニーのような細さの黒いパンツを余裕たっぷりに着こなし、左手にはブランドもののキラキラ輝く腕時計を身に着けていたのもはっきりと覚えている。

「カレコです……! はじめましてっ、今日は、よっ、よろしくお願いします……!」

 あんなにカミカミな挨拶をしたのは後にも先にもこれだけだと思う。頭の中ではしまった! と己の失敗を責める言葉と、どうしようどうしようとてんぱっている自分の2人がせめぎあっていた。

「緊張してる?」

 視界一杯にしゅうさんの美しい顔立ちが広がる。コンマ一秒見ただけで、卒倒しそうになった。

「は、はい……」
「大丈夫。俺もちょっと緊張してるから」

 そうにっこりと笑うしゅうさん。涼やかな顔には緊張のきの字も感じられない。おそらくこの人は経験豊富なんだろうと、ぼんやりと感じていた所、左手をぱっと掴まれ握られた。

「ひゃっ」

 しゅうさんの指は硬くて弾力性はあまりない。骨ばった手だ。だが温かさは確かにあった。夏の日差しや炎のような強烈なものではないが、しんしんと奥まで染みわたっていくような、そんなぬくもりのような温度だった。
 逆に言い換えれば、このぬくもりが無いと生きていけない。ある種の依存性があるような温かさとも言える。

「ふふっ」

 悪戯っぽく笑うしゅうさんを見上げていると、ぐいっと引っ張られ歩き出す。バスターミナルから街へと繰り出すと、エフェクトがかかったかのように何もかもが煌めいて見えた。
 その後はしゅうさんが教えてくれた、魚だけを展示している水族館へ訪れた。ビルの中にある水族館では、小さなガラスの中で泳ぐ熱帯魚はどれも忙しそうに泳いでいて、正直今思い出しても目が回りそうになる。
 ただしゅうさんからすれば、水草が織りなす景色と住人全てが揃った世界がガラスの水槽の中に閉じ込められているのが良いらしかった。

「そうなんですね。しゅうさんは何か飼ってたりしてるんです?」
「今はしてないかな。前は金魚とか鯉とか飼ってたけど」
「私も飼ってました! 屋台で金魚すくいしたのでそれで……!」
「そっか。おそろいだね」

 おそろいという言葉が胸の奥に落ちては、どきんと大きく弾ませる。とにかくこの時点でしゅうさんから視線を逸らそうにも逸らせないし、直視しようとしたら顔が熱くなっていく、矛盾した感覚を覚えていた。
 
 水族館の後はファミレスでランチとデザートを頂く。米粉が使用されたパンケーキを食べるしゅうさんは子供のように純粋な笑顔を浮かべていた。パンケーキはふわふわで分厚く、てっぺんにはソフトクリームとマスカルポーネのクリーム、チョコソースがかかっているもので、甘みも強くなくほどほどで優しいもの。あまりのクオリティの高さ驚きが止まらなかった。
 ファミレス自体、就職してからは全く行ってなかったので、その進化っぷりや凄まじい。

「カレコちゃん。この後はどうしたい?」

 パンケーキを食べ終わった直後。ふいにしゅうさんから尋ねられて、私は飲んでいたピーチティーをのどに詰まらせそうになるのをぐっとこらえる。

「えっと……」
「俺ばっかりだから、カレコちゃんの行きたい所も行かないと」

 私に気を使っているのがしっかりと伝わってきてありがたかった。
 とはいえ行きたい所と聞かれても、ぱっと思いつかない。

「私は大丈夫です。しゅうさんのやりたい事優先してください」

 結局、当たり障りのない反応になってしまった。

「わかった。じゃあ、せっかくだしマッサージしてあげよっか? なんちゃって」

 この瞬間、私のお腹の奥がぞくりと疼いた。初めての感覚に、私はごくりと唾を飲み込むしかできない。

「どうしたの? 緊張してる? 大丈夫だよ、痛くなんてしないから」

 けらけらと笑うしゅうさんを見て、この時は勝手に期待していただけかなんて思っていた。
 そんな甘い考えは、すぐに変わる事になる。
 しゅうさんに連れられてやって来たのはそこそこランクの高そうなビジネスホテルだった。黒を基調としたシックなエントランスホールには自動で受付が行える機械が左側に3つ並んでいる。天井を見上げると巨大なシャンデリアがぶら下がっていて、幾重にも織りなす光の数々からはエレガントさもうかがえる。

 慣れた手つきで機械での受付を済ませてくれた後は、フロントで中年くらいの背の高い男性スタッフから鍵を受け取りエレベーターへ乗り込む。ここまでの間は静かだったが、しゅうさんの口元は緩やかに笑っていた。
 302号室のドアを開くと、ビジネスホテルにしては豪華な家具が配置された部屋が露わとなる。大きめのベッドに、黒いドレッサー。電子レンジやケトル、その他アメニティはどれも最新式のもの。一体この部屋の金額はどれくらいになるのか。しゅうさんが「俺が払うから」と事前にメッセージで教えてくれていなかったら、多分入れなかっただろう。

「入って。ベッドに座っていいよ」
「あっ……失礼します」

 ちょこんと腰かけてみると、ベッドはとてもふかふかで弾力性もある。自宅のベッドとは全然座り心地も快適さも違っていた。
 すると私の右横にしゅうさんが音を立てずに座る。

「しゅうさん」
「カレコちゃんてさ、これまで男の人と2人きりの状態になった事……ある?」
「いや、ないです……」
「そっか。じゃあゆっくりでいいから慣れていこうね」

 触れてもいい? と彼からの問いかけに私はスローモーションのように首を縦に振った。ふふっと軽やかな笑みが聞こえたと思うと、私の右肩をしゅうさんの手がそっと触れ、抱き寄せられた。
 温かいけど、心臓は落ち着かない。それに様々な文字の羅列が脳内でぐるぐるに回りだしている。こんなの慣れていけるのかと心配になるくらい。
 それからは再び手を握られて、ちょっとだけ落ち着いたのもつかの間。彼の整った顔立ちが視界一杯に広がったと思えば、唇の上に柔らかな何かがのっかってきた。
 これがファーストキスなんだと理解するのに数秒かかった後、心臓の鼓動が一段と速まっている最中よく漫画で見るファーストキスは何の味? なんて文言を思い出してしまった。
 ……くらくらする甘い味だったのは、間違いない。

「……ぷはっ……」

 唇が離れていったので、私はいつの間にか止まっていた呼吸を再び思い出した。新鮮な空気が肺一杯に満ち溢れたのと同時に再び唇がふさがれる。だが前とは違い、私の唇の割れ目を何かがこじ開けてきた。

「んっ……!」

 しゅうさんの舌が、私の口内に侵入してきたのだ。蛇のようにぬるりとはい出てきては私の舌の先端に当たって絡みつく。喉元がきゅっと締め付けられるような心地を感じた後は、舌の裏筋を舐め上げられた。

「んんっ……?!」

 骨盤の下から背中、そして首と頭の付け根にかけて一直線に震えが駆け巡る。当時は、この震えが一体何なのか全くわからなかったが、今ならはっきりと名称を唱えられる。
 これが、快楽というやつなのだと。


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