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第6話 回想・2回目の逢瀬と違和感
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当時、わくわくしていた私はそこまで気がつかなかったけど、今思い出してみたらこの時のしゅうさんはローテンションだった気がする。
黒いカーディガンから見える白いTシャツに、スキニー風の黒いズボンと全身モノトーンな服装を着こなしている姿は至ってしゅうさんにしか見えない。ネックレスもハイブランドっぽかった。
「こんにちは。今日はよろしくお願いします」
「ああ、よろしく」
黒いマスクをしているので表情は見えづらい。とりあえず先にご飯食べます? とこちらから誘ってみた所、彼はうん。と静かな声で了承してくれた。
「えっと……こないだと同じファミレスでもいいですか?」
「ああ、いいよ。ぜひ」
ここでしゅうさんの目がほんの少しだけ笑ったのに気がついた。目を細めている姿を見て私は無意識に彼の手を握る。
「あっ……」
ちょっとだけ手先が震えていた。当時の記憶を細かく辿ると、第一関節から先が小刻みにぶるっぶるっと震えていたはず。
緊張しているのかそれとも体調が悪いのか気になったので、本人に尋ねてみると、体調は悪くはないと小さな声で返された。
「そうなんですね。でも無理はしないでください。しんどくなったらいつでも言ってくれて構わないので」
「カレコさん……」
彼はじっと黒い眼で私を見つめると、行こうか。とぎこちなさがある足取りで前へと踏み出した。今思えばこの時点でちょっとした違和感があったかもしれない。
こないだしゅうさんと食事を交わしたファミレスに入ると、奥のソファ席に2人同時で腰かけた。するとしゅうさんがパネルを手渡してくる。
「カレコさん。よかったら先に注文どうぞ」
「いいですか?」
「はい」
「じゃあ、お先に失礼します」
パネルをぽちぽちとタップして若鶏の黒酢あんかけ定食とバニラアイスつきガトーショコラを注文すると、しゅうさんに両手でパネルを手渡した。
「ん~~」
この時しゅうさんが注文したのは、トマトガーリックソースと溶けたチーズが乗ったグリルチキンセットでライスは大盛り。そしてバニラアイスがかかった熱々のワッフルだった。
前回ここに訪れた際とは違うメニューだ。しかもハンバーグとパンケーキが好きじゃなかったっけ?
「しゅうさん、パンケーキじゃなくていいんですか?」
ちらっと彼の視線を伺ってみた。するとしゅうさんは目を伏せ、ああ……と小さく声を出す。
「たまには別のものも食べてみたいかなって」
「そう言う事だったんですね。なんかすみません」
「いえ、気にしないでください」
今、思い出せば確かに違和感がありまくりな場面だった。だってあれだけ美味しそうにパンケーキを頬張っていたしゅうさんが、ワッフルを注文していたのだから。
注文していたメニューが届き各々食事にありつく。途中、しゅうさんは大盛りのご飯をぺろりと平らげお代わりしていた。
そしてワッフルが届くと、パンケーキを食べていた時と同じように、幸福感に包まれた表情を浮かべながら堪能していたのだった。
「ああ、ワッフル美味しかった……」
「そうですね。ここのデザートとっても美味しいです」
「今度また……家族とも行ってみようかな」
「ぜひぜひ! 私も友達と行ってみようかな」
なんてのんきに言っていると、しゅうさんの目から一瞬光が消えた。
「友達、いるの? ……男?」
黒いカーディガンから見える白いTシャツに、スキニー風の黒いズボンと全身モノトーンな服装を着こなしている姿は至ってしゅうさんにしか見えない。ネックレスもハイブランドっぽかった。
「こんにちは。今日はよろしくお願いします」
「ああ、よろしく」
黒いマスクをしているので表情は見えづらい。とりあえず先にご飯食べます? とこちらから誘ってみた所、彼はうん。と静かな声で了承してくれた。
「えっと……こないだと同じファミレスでもいいですか?」
「ああ、いいよ。ぜひ」
ここでしゅうさんの目がほんの少しだけ笑ったのに気がついた。目を細めている姿を見て私は無意識に彼の手を握る。
「あっ……」
ちょっとだけ手先が震えていた。当時の記憶を細かく辿ると、第一関節から先が小刻みにぶるっぶるっと震えていたはず。
緊張しているのかそれとも体調が悪いのか気になったので、本人に尋ねてみると、体調は悪くはないと小さな声で返された。
「そうなんですね。でも無理はしないでください。しんどくなったらいつでも言ってくれて構わないので」
「カレコさん……」
彼はじっと黒い眼で私を見つめると、行こうか。とぎこちなさがある足取りで前へと踏み出した。今思えばこの時点でちょっとした違和感があったかもしれない。
こないだしゅうさんと食事を交わしたファミレスに入ると、奥のソファ席に2人同時で腰かけた。するとしゅうさんがパネルを手渡してくる。
「カレコさん。よかったら先に注文どうぞ」
「いいですか?」
「はい」
「じゃあ、お先に失礼します」
パネルをぽちぽちとタップして若鶏の黒酢あんかけ定食とバニラアイスつきガトーショコラを注文すると、しゅうさんに両手でパネルを手渡した。
「ん~~」
この時しゅうさんが注文したのは、トマトガーリックソースと溶けたチーズが乗ったグリルチキンセットでライスは大盛り。そしてバニラアイスがかかった熱々のワッフルだった。
前回ここに訪れた際とは違うメニューだ。しかもハンバーグとパンケーキが好きじゃなかったっけ?
「しゅうさん、パンケーキじゃなくていいんですか?」
ちらっと彼の視線を伺ってみた。するとしゅうさんは目を伏せ、ああ……と小さく声を出す。
「たまには別のものも食べてみたいかなって」
「そう言う事だったんですね。なんかすみません」
「いえ、気にしないでください」
今、思い出せば確かに違和感がありまくりな場面だった。だってあれだけ美味しそうにパンケーキを頬張っていたしゅうさんが、ワッフルを注文していたのだから。
注文していたメニューが届き各々食事にありつく。途中、しゅうさんは大盛りのご飯をぺろりと平らげお代わりしていた。
そしてワッフルが届くと、パンケーキを食べていた時と同じように、幸福感に包まれた表情を浮かべながら堪能していたのだった。
「ああ、ワッフル美味しかった……」
「そうですね。ここのデザートとっても美味しいです」
「今度また……家族とも行ってみようかな」
「ぜひぜひ! 私も友達と行ってみようかな」
なんてのんきに言っていると、しゅうさんの目から一瞬光が消えた。
「友達、いるの? ……男?」
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