婚約者を妹に奪われ、家出して薬師になった令嬢は王太子から溺愛される。

二位関りをん

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第7話 アダンの身体と私の意志

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「へ」

 私の口から思わず変な声が出た。アダン様の隣に座る?
 そう考えたら胸の鼓動が勢いよく速まっていく。

「ジャスミンさん、どうぞ」

 ハイダに促され、私はアダン様の右隣に座る。薬師の女性からはわっと黄色い声が湧いた。

「ジャスミン、服脱がしてくれない?」
「え」

 更なる注文に、私の顔は紅く染まる。だがこれも仕事。断る事は出来ない。震える指で、アダン様の上半身部分の服を脱がせた。服を脱がせた所で彼の引き締まった筋肉が露わになる。

(すごい……)
「ジャスミンありがと。じゃあ、診察よろしく」
「はっ」

 医師がアダン様の左横に近づき、診察が始まった。アダン様は私に背中を向けるような格好になっている。
 彼の引き締まった背筋が間近で見えているのは、今の私にとって目に毒かもしれない。

(ドキドキする……)

 こんな身体で、また抱かれたらどうしよう……などと考えている間に診察は終了した。
 
「ジャスミン」
「はっはい!」
「お疲れ様。もう戻っていいよ」

 するとアダン様はぽんぽんと、私の頭を2度撫でた。

「あ、ありがとうございます!」
「ふふっ」

 顔から火が吹きそうだ。部屋から退出し王族全ての診察が終わった後、医務室にでハイダ除く薬師達とメラニーはきゃっきゃと興奮状態に入る。

「ジャスミンさん、すごいわ~」
「ひゅーひゅー」
(目の前であんな事されるなんて……!)

 まだ、ドキドキは収まらない。興奮状態の薬師はハイダによって窘められたが、何だか気まずい。

「もしかして、薬師からお妃になんて……」
「ありうるかもしれない?」
「大丈夫です。ありませんのでご心配なく」

 こう言う時ははっきりと、自分の意志を示しておく必要がある。

「私はこの宮廷で、薬師として頑張ると決めました。なので精一杯頑張ります」

 その言葉に、ハイダは拍手で返してくれた。

「素晴らしいわ、ジャスミンさん。皆さん、この決意、素晴らしいと思わない?」

 ハイダの言葉に、異を唱える者はいなかった。

「確かに……!」
「ジャスミンさん、さっきはごめんなさいね。一緒に頑張りましょう!」
「わからない事があったら、どんどん聞いていいからね」

 そして、メラニーからも言葉を受けた。

「一緒に頑張りましょう!」
「はい!」
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