婚約者を妹に奪われ、家出して薬師になった令嬢は王太子から溺愛される。

二位関りをん

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第6話 再会と診察

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「やはり侯爵家のご令嬢だわ。流石ね!」
「お肌も美しいわ!」

 移動中。薬師と医師からはシャワーのように、このような言葉がずっと降り掛かっていた。

(なんか身体がむずがゆい)

 これが褒め倒し、いや、褒め殺しなのかもしれない。ここまできゃっきゃと言われるのは初めてだ。

「まずは、国王陛下の診察。そして王妃様、王太子殿下、王太后様の順で診察していきます」

 ハイダからそう小声で説明を受けた。

(確か王妃様は……アダン様の継母だったか)
「では、国王陛下がおわします寝室に入ります」

 医師が部屋の扉を軽くノックすると、入れ。という低く響き渡る声が聞こえてきた。

「おはようございます。陛下。朝の診察に伺いました」

 私も周りに合わせて頭を下げた。目の前には、ベッドの上に寝間着姿で座る国王と王妃がいる。国王は中年だがしっかりとした身体つき、王妃アネーラは……ブロンドの美しい髪につやつやとした肌だ。少しだけ目つきが厳しく見える。

「頼んだ」

 すると、ハイダが国王にお話があります。と切り出す。

「新たに薬師が加わりました。ジャスミンさん、前に」

 挨拶を促されたので、少し慌てながらも前に進み出る。

「ジャスミン・ヨージスと申します。よろしくお願い致します」
「ほう、ヨージス家の者か。令嬢が薬師とはこれまた珍しいな。よろしく頼むぞ」
「よろしくお願いしますわね。ジャスミンさん」

 挨拶が終わると、診察が始まる。私は黙って他の薬師と共に様子を見つめる。医師は慣れた手つきで脈を取ったり問診を進め、無事に終了した。

「ありがとうございました。失礼いたします」

 次に伺うのがアダン様だ。私の中で緊張が更に増大していく。

(ドキドキする……)

 入室し、先程と同じようにハイダから挨拶をするように促された。ベッドから見ているアダン様の目が熱く感じてしまう。

「ジャスミン・ヨージス……です。よろしくお願い致します」
「……ジャスミンだね。「改めて」よろしく頼むよ」

 改めての部分で、薬師と医師が一斉に私を見た。

「実は昨日、挨拶は軽くしてまして……」

 ハイダが助け舟を出してくれた。私はその助け舟に捕まるようにして乗り、そうです。と返すのがやっとだ。

「では、診察していきます」
「分かった。その前に」
「アダン様?」

 アダンがニヤッと笑った。

「ジャスミン、せっかくだし隣においでよ。俺が診察受けてるとこ間近に見ておいた方が勉強になるしさ」
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