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第59話 新たな仲間と共に
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マーティス家。確か男爵家だった覚えがある。会った事は無いのでそんなに記憶には無いが、名前と家格はうっすら覚えていたようだ。
「マーティス家って、男爵家でしたっけ?」
「はい、医薬師長。私が言うのもなんですが、私はかつて男爵家の令嬢でした」
ウィリアは自身の生い立ちについて、私達にゆっくりと時折声を震わせながらも説明してくれた。
ウィリアはマーティス男爵家出身だが、母親はマーティス男爵家に仕えるメイド。マーティス男爵がメイドに手を出した結果、生まれた令嬢だった。当然ながら、家の立場は低い方で、マーティス男爵が留守にしている間を狙ってマーティス夫人や彼女の産んだ異母姉や異母妹からはいつもいじめられていたそうだ。
「いつもいつも、本を隠されたり、平手打ちを受けたり鞭で叩かれたりされていました」
そう語る、ウィリアの今にも泣き出しそうな顔が目に焼き付いて離れない。
ある日。異母姉に婚約者が出来た。隣国の伯爵家の令息と申し分ない婚約話だった。しかし、婚約者は異母姉ではなくウィリアを見初めてしまったのだという。
「あの方は私を大事にしてくださいました。それは嬉しかったのですが……それではお姉様はお怒りになってしまう。私は思い悩んでいました」
だが、その事がウィリアの異母姉にバレた。異母姉は包丁でウィリアを刺し殺そうとしたが、それを伯爵家の令息がかばい、彼は瀕死の重傷を追ってしまう。その事にショックを受けた異母姉は自ら首を吊って死んでしまった。
「もはやここにはいられない。私は家を出ていきました」
ウィリアが家を出た事と異母姉の死はすぐに、当時長らく留守にしていたマーティス男爵に知れ渡ったようで、ついでにウィリアがいじめられていたのも知ったようだ。
マーティス男爵によりマーティス男爵夫人と異母妹は家から追い出され、その後どうなったのかは不明のようだ。
「噂では親子共々娼婦をしているという話は聞いた事があります」
という事らしい。
家を出たウィリアはそのまま国境を越えてしばらくあちらで生活するも、王国の兵に国境を無許可で越えた事を問われ囚われたのだった。
「以上が私の身の上話です。長くなってしまいまして申し分ありません」
「いえ、話してくれてありがとうございます」
「い、医薬師長……」
「私達がいますから大丈夫です。そうですよね?」
ハイダらがウィリアに向けて穏やかな笑顔を浮かべ、力強く頷いた。
「皆様……よろしくお願いします!」
「マーティス家って、男爵家でしたっけ?」
「はい、医薬師長。私が言うのもなんですが、私はかつて男爵家の令嬢でした」
ウィリアは自身の生い立ちについて、私達にゆっくりと時折声を震わせながらも説明してくれた。
ウィリアはマーティス男爵家出身だが、母親はマーティス男爵家に仕えるメイド。マーティス男爵がメイドに手を出した結果、生まれた令嬢だった。当然ながら、家の立場は低い方で、マーティス男爵が留守にしている間を狙ってマーティス夫人や彼女の産んだ異母姉や異母妹からはいつもいじめられていたそうだ。
「いつもいつも、本を隠されたり、平手打ちを受けたり鞭で叩かれたりされていました」
そう語る、ウィリアの今にも泣き出しそうな顔が目に焼き付いて離れない。
ある日。異母姉に婚約者が出来た。隣国の伯爵家の令息と申し分ない婚約話だった。しかし、婚約者は異母姉ではなくウィリアを見初めてしまったのだという。
「あの方は私を大事にしてくださいました。それは嬉しかったのですが……それではお姉様はお怒りになってしまう。私は思い悩んでいました」
だが、その事がウィリアの異母姉にバレた。異母姉は包丁でウィリアを刺し殺そうとしたが、それを伯爵家の令息がかばい、彼は瀕死の重傷を追ってしまう。その事にショックを受けた異母姉は自ら首を吊って死んでしまった。
「もはやここにはいられない。私は家を出ていきました」
ウィリアが家を出た事と異母姉の死はすぐに、当時長らく留守にしていたマーティス男爵に知れ渡ったようで、ついでにウィリアがいじめられていたのも知ったようだ。
マーティス男爵によりマーティス男爵夫人と異母妹は家から追い出され、その後どうなったのかは不明のようだ。
「噂では親子共々娼婦をしているという話は聞いた事があります」
という事らしい。
家を出たウィリアはそのまま国境を越えてしばらくあちらで生活するも、王国の兵に国境を無許可で越えた事を問われ囚われたのだった。
「以上が私の身の上話です。長くなってしまいまして申し分ありません」
「いえ、話してくれてありがとうございます」
「い、医薬師長……」
「私達がいますから大丈夫です。そうですよね?」
ハイダらがウィリアに向けて穏やかな笑顔を浮かべ、力強く頷いた。
「皆様……よろしくお願いします!」
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