後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜

二位関りをん

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第45話 終息後の夢世界

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「あれ? またここに来ちゃいました?」

 深夜。美華は鶴龍殿の自室にて眠っているのだがどうやらまたも夢の世界に招かれたようだ。

「あなたの無茶ぶりを見ていましたからね」
「あっ、御仏様。またお会い出来て良かったです」

 以前と同じように、祠が黄金色に光り輝いている。そこから御仏の言葉が放たれていた。

「えぇと。結論から言いますとあなたの力の強さを元に戻します」
「えっ」
「今のあなたには危険すぎるからです」

 よくわかっていない様子の美華に、御仏は後宮や街の庶民の流行病を治した時の事を思い出してみてください。と告げる。

「ああ、たしか……」
「地面に手をかざして、一気に力を放ちましたよね?」
「はい、そうです」
「それを無くす。という事です。今まで通りひとりひとり手かざしで治すようにします」

 美華はそれだと正直効率悪くないですか? と返した。実際美華の考えは理にかなっている。

「確かにあなたの言う通り。しかし今のあなたには力に耐えきれていない」

 過去2回とも美華は力を放出した後、体力を使い果たしている。御仏はそれを危険視しているのだ。

「力の使いすぎであなたが死んだら、多くの人が悲しむでしょう。皇帝をはじめ」
「うっ……それを言われたら言い返せないですね」
「という事で、波動の力の出力を元に戻します。他に何かありませんか?」
「どうしたら、また出力あげてくれます?」

 美華の真っ直ぐな言葉に御仏はそうですねぇ……。と言ってしばらく沈黙してしまった。

「あっ、これ以上望むのは強欲ですね。失礼しました」
「いや、あなたの気持ちに免じてある方法をお教えします」
「方法……何かあるですか?」
「邪龍の鱗を取ってきて食べてください」

 邪龍の鱗は、龍の国の各所に封印または沈んでいる代物で、邪龍が倒される際に身体から一部の鱗が剥がれてあちこちに飛んでいったらしい。

「龍族の住まう村・海龍ハイロン村の海の底に鱗があります。それを取って食べるのです」
「龍族、ですか」
「百年に一度の秘祭が今度あるみたいですね、皇帝が公務で行かれるとか」

 龍族は龍の国の南側に住まう少数民族で、海上に家を建ててそこで住んでいる。建国にも携わった民族でもあるので、少数民族でありながら皇帝に従順な姿勢を取り続けてきた。
 だが、美華の顔は明らかに難色を示している。

「えっ? 私泳げないですよ?」
「何とかなるでしょう」
「いやいや、何とか……いや御仏様が仰るのでしたら何とかなるのですかね?」

 まあ、何とかなるでしょう。と感じた美華はそのまま夢の世界から現実の世界へと戻ったのだった
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