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第113話 妖都の街を行く
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通伸(みちのぶ)さんの馬車に二人増え、ボクの周囲はさらに狭くなった。
元々通伸さんの馬車は大きいのでボクたちくらい小柄ならある程度人数が乗れるようだ。
だめでもアキを膝の上に乗せればいいだけだしね。
「ほ、本当に酒呑童子様が……」
通伸さん、恐縮している様子である。
「酒吞童子さんってそんなに偉いんですか?」
なんとなく隣にいる酒吞童子さんに尋ねてみるが、返事は予想通りだった。
「しらねー。そもそも実務を取り仕切ってるのはオレじゃねぇからよ」
どうやら本人には偉いという感覚はないようだ。
「それじゃだめですよ? 偉いのか偉くないのかはっきりしてもらえないと、通伸さんも困るじゃないですか」
「は、遥さん? だ、大丈夫ですから」
通伸さんは動揺気味だ。
「あ? ん~。しゃあねえな。偉くないから普通に接してくれ。それでいいか?」
「はい、それで大丈夫です」
「す、素直だ……」
本人の口から普通に接してくれとの言質を得られたので大丈夫だろう。
問題が起きそうならボクが口添えしてあげるつもりだ。
馬車は相変わらずゆったりした速度で大通りを進んでいる。
この大通りは一番大きな通りらしく、城まで続いている。
道の両脇に様々な建物があるせいか、この大通りではどの馬車もゆっくり進んでいるとのことだ。
立ち並ぶ屋台からはいい匂いが立ち上っているし、道の脇ではちんどん太鼓などを鳴らしながら歩いている仮装行列のようなものもあった。
実ににぎやかな大通りだ。
「お父様、チンドン屋さんです」
「はは。彼らは本当にすごいね」
「はいです」
ミユキさんは通伸さんと一緒にチンドン屋を見ていた。
変わった格好をしているのになぜか妙に惹かれる音色を奏でる。
彼らの音楽は実に不可思議だ。
「ん~? あいつら化けてるけど烏天狗どもじゃねえか」
「え?」
酒吞童子さんに言われてじっくりとチンドン屋を見る。
すると、うっすらとだが羽根の輪郭が見えた。
たしかに化けているようだ。
「烏天狗さんってああいうこともやるんですか?」
ふと気になったので酒呑童子さんに確認する。
「興行がメインってわけじゃねえ。情報収集とかの目的でやってんじゃねえかな?」
「ふ~ん……」
どうやら彼らはああやって情報収集をしているようだ。
そんなことを考えていると、ふとチンドン屋と視線が合った。
「あっ」
「ん? どうしたんだ?」
「いえ、チンドン屋と目が合ったもので」
「ふぅん」
酒呑童子さんにそう説明すると、何やら考え事を始めてしまった。
ボクたちの馬車はチンドン屋を通り過ぎ、寺社仏閣が集まる区画の近くを通りかかる。
この場所は古い建物も多く、先ほどまでいた大通りとは違い厳かな雰囲気が漂っていた。
どこからともなく線香の匂いが漂ってくる。
「この先は寺社区画になっていてね、また違う法律が適用されているんだ」
「そうなんですか? あ、高い塔がありますね」
視線の先には五重塔のような建物があった。
「妖詠寺(ようえいじ)の五重塔だね。妖詠寺は面白いところでね、黄泉巡りというのができるんだ」
「黄泉巡りですか?」
なんだか怖そうな催しだ。
「あの五重塔の地下に降魔鏡という鏡があってね。それに触れると黄泉の国へ移動できるんだ。言うことを聞かない子供を持つ人間の両親が時々使うようだよ」
「うへぇ~……」
どうやら本当に怖いものだったらしい。
悪いことをしたら舌を抜かれるとかそういうレベルの話と同じらしい。
「降魔鏡は別世界の神に融通してもらってるんだぜ。だからその先にあるのは本当の死後の世界ってわけだ。人間なんか下手すりゃトラウマになりかねねえな」
「げげ……」
どうやら降魔鏡が移動させる世界は、作り物の世界ではなく本物の死後の世界らしい。
これは絶対トラウマになる……。
今回は寺社仏閣をみることが目的ではないので通りを進みながら見学するだけにとどめておく。
厳かな雰囲気の寺が多くある中、時折古く荒んだような寺社を見かけることがあった。
他とは違いあちこち壊れているように見えるのだ。
「通伸さん、時々ある古びたお寺はなんなんですか? 修理しない理由があるんでしょうか」
「あぁ。それはね、その寺社自体が付喪神になってしまった場所なんだ。そのせいか修理を嫌がる子も多くて荒れ放題になってしまっているんだよ」
「なんと……」
建物自体が付喪神になっているとは驚いた。
これは自然発生した神様と考えてもいいのだろうか?
「まぁ付喪神って言っても神聖はまだねえよ。精霊みたいなもんだと思っておけばいい」
酒呑童子さんは面倒臭そうにそう話す。
「ふぅん……」
ボクはその場を通り過ぎながら、古びた寺社たちのことを考えていた。
いつか彼らをきれいな形にしてあげたいな。
でもどうすればいいかわからないし、許可ももらっているわけではない。
あとでお母さんに聞いてみようかな。
「さて、いよいよお城のほうへ行くよ。まずは到着の挨拶をしなければいけないからね」
どうやら通伸さんたちの馬車はお城へと向かっているようだ。
日本でいう参勤交代みたいなものだったりするのだろうか?
「わかりました。ボクはどうすればいいでしょうか」
「あ、そうだね。遥さんにしても酒呑童子様にしても、どうしたものか……。まぁ到着までに考えておくよ」
「はい」
「おう」
こうしてボクたちは実近さんの待つであろう城へと進むのであった。
元々通伸さんの馬車は大きいのでボクたちくらい小柄ならある程度人数が乗れるようだ。
だめでもアキを膝の上に乗せればいいだけだしね。
「ほ、本当に酒呑童子様が……」
通伸さん、恐縮している様子である。
「酒吞童子さんってそんなに偉いんですか?」
なんとなく隣にいる酒吞童子さんに尋ねてみるが、返事は予想通りだった。
「しらねー。そもそも実務を取り仕切ってるのはオレじゃねぇからよ」
どうやら本人には偉いという感覚はないようだ。
「それじゃだめですよ? 偉いのか偉くないのかはっきりしてもらえないと、通伸さんも困るじゃないですか」
「は、遥さん? だ、大丈夫ですから」
通伸さんは動揺気味だ。
「あ? ん~。しゃあねえな。偉くないから普通に接してくれ。それでいいか?」
「はい、それで大丈夫です」
「す、素直だ……」
本人の口から普通に接してくれとの言質を得られたので大丈夫だろう。
問題が起きそうならボクが口添えしてあげるつもりだ。
馬車は相変わらずゆったりした速度で大通りを進んでいる。
この大通りは一番大きな通りらしく、城まで続いている。
道の両脇に様々な建物があるせいか、この大通りではどの馬車もゆっくり進んでいるとのことだ。
立ち並ぶ屋台からはいい匂いが立ち上っているし、道の脇ではちんどん太鼓などを鳴らしながら歩いている仮装行列のようなものもあった。
実ににぎやかな大通りだ。
「お父様、チンドン屋さんです」
「はは。彼らは本当にすごいね」
「はいです」
ミユキさんは通伸さんと一緒にチンドン屋を見ていた。
変わった格好をしているのになぜか妙に惹かれる音色を奏でる。
彼らの音楽は実に不可思議だ。
「ん~? あいつら化けてるけど烏天狗どもじゃねえか」
「え?」
酒吞童子さんに言われてじっくりとチンドン屋を見る。
すると、うっすらとだが羽根の輪郭が見えた。
たしかに化けているようだ。
「烏天狗さんってああいうこともやるんですか?」
ふと気になったので酒呑童子さんに確認する。
「興行がメインってわけじゃねえ。情報収集とかの目的でやってんじゃねえかな?」
「ふ~ん……」
どうやら彼らはああやって情報収集をしているようだ。
そんなことを考えていると、ふとチンドン屋と視線が合った。
「あっ」
「ん? どうしたんだ?」
「いえ、チンドン屋と目が合ったもので」
「ふぅん」
酒呑童子さんにそう説明すると、何やら考え事を始めてしまった。
ボクたちの馬車はチンドン屋を通り過ぎ、寺社仏閣が集まる区画の近くを通りかかる。
この場所は古い建物も多く、先ほどまでいた大通りとは違い厳かな雰囲気が漂っていた。
どこからともなく線香の匂いが漂ってくる。
「この先は寺社区画になっていてね、また違う法律が適用されているんだ」
「そうなんですか? あ、高い塔がありますね」
視線の先には五重塔のような建物があった。
「妖詠寺(ようえいじ)の五重塔だね。妖詠寺は面白いところでね、黄泉巡りというのができるんだ」
「黄泉巡りですか?」
なんだか怖そうな催しだ。
「あの五重塔の地下に降魔鏡という鏡があってね。それに触れると黄泉の国へ移動できるんだ。言うことを聞かない子供を持つ人間の両親が時々使うようだよ」
「うへぇ~……」
どうやら本当に怖いものだったらしい。
悪いことをしたら舌を抜かれるとかそういうレベルの話と同じらしい。
「降魔鏡は別世界の神に融通してもらってるんだぜ。だからその先にあるのは本当の死後の世界ってわけだ。人間なんか下手すりゃトラウマになりかねねえな」
「げげ……」
どうやら降魔鏡が移動させる世界は、作り物の世界ではなく本物の死後の世界らしい。
これは絶対トラウマになる……。
今回は寺社仏閣をみることが目的ではないので通りを進みながら見学するだけにとどめておく。
厳かな雰囲気の寺が多くある中、時折古く荒んだような寺社を見かけることがあった。
他とは違いあちこち壊れているように見えるのだ。
「通伸さん、時々ある古びたお寺はなんなんですか? 修理しない理由があるんでしょうか」
「あぁ。それはね、その寺社自体が付喪神になってしまった場所なんだ。そのせいか修理を嫌がる子も多くて荒れ放題になってしまっているんだよ」
「なんと……」
建物自体が付喪神になっているとは驚いた。
これは自然発生した神様と考えてもいいのだろうか?
「まぁ付喪神って言っても神聖はまだねえよ。精霊みたいなもんだと思っておけばいい」
酒呑童子さんは面倒臭そうにそう話す。
「ふぅん……」
ボクはその場を通り過ぎながら、古びた寺社たちのことを考えていた。
いつか彼らをきれいな形にしてあげたいな。
でもどうすればいいかわからないし、許可ももらっているわけではない。
あとでお母さんに聞いてみようかな。
「さて、いよいよお城のほうへ行くよ。まずは到着の挨拶をしなければいけないからね」
どうやら通伸さんたちの馬車はお城へと向かっているようだ。
日本でいう参勤交代みたいなものだったりするのだろうか?
「わかりました。ボクはどうすればいいでしょうか」
「あ、そうだね。遥さんにしても酒呑童子様にしても、どうしたものか……。まぁ到着までに考えておくよ」
「はい」
「おう」
こうしてボクたちは実近さんの待つであろう城へと進むのであった。
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