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第127話 遥の武具破壊テストとオタクなる聖職者
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さて、今後の面倒な問題はさておき、新規登録のほうは完了した。
ただ1つ問題があるとすれば……。
「酒呑童子様、結婚してください!」
なぜか女性たちが酒呑童子さんに求婚していることくらいだろうか。
「意味わかんねえし求めてねえよ! お前らは男と結婚しろ!」
酒呑童子さんは若干うんざりした様子で集まってくる女性たちに言い放った。
なぜ魅力的な強者となると男女関係なく求婚してくるのか。
「一度酒吞童子様のあのお姿を見たら、そこらの男たちではだめなんです」
「見てください、あの男たちの様を」
酒呑童子さんを取り巻いている女性たちの示す方向を見ると、隅っこで固まって集まっている男性陣の姿が見えた。
「かわいらしい外見に惹かれて下心で近寄ってきたくせに、自分より強いとわかるとああなんですよ」
「んなもんたまたまじゃねえのか? まぁよくあることだろ」
女性たちはそれが不満な様子だが、酒呑童子さんはそうでもない様子。
おそらく、そういうことが何度もあったんだろう。
「強かろうと弱かろうと、勇敢だろうと臆病だろうと別にいいじゃねえか。悪いことをしたり姑息な手段を用いる卑怯者でもなきゃな」
酒呑童子さんの考え方は結構単純なようだ。
あれはダメこれはダメというのがしっかり決まっているようなので、安心できるしその辺りは好感が持てる。
まぁ結局そんな話をしたところで、評価は簡単に覆るわけではないのだが……。
「まぁ~なんだ。ちょっとは男共も気合入れろとは思うけどな」
「酒呑童子さんからしたらそうでしょうけど、酷では?」
要するに酒呑童子さんは歯ごたえのある戦いを望んでいるわけだ。
「そうは言うけどよぉ。まぁ、遥と戦うならもっと熱い戦いができそうだけどな」
何を言っているんだろうか、この鬼は。
か弱いボクが敵うわけないじゃないか。
「絶対勝てないって顔してるだろうけどよ、遥と戦って短期で決めきれないと負けるのはオレなんだぞ?」
「?」
どうしたらボクが勝てるというのだろうか。
「遥。お前、相手の頑強さとか防御力無視できるよな?」
「はい、できますけど?」
今更ではあるが、ボクは相手の頑強さに関係なくダメージを与えることができる。
そういう特性があるといっても過言ではない。
「ん~、まずはやって見せたほうが早いか。おう、受付のお姉さん」
「はい、どうなさいましたか?」
酒呑童子さんが猟師ギルドの受付嬢に声をかけては何かを話し始めた。
そして、にこやかな笑顔で戻ってくる。
「非公開だけど、一番硬い鎧を装備した案山子用意してもらったぜ」
「は?」
突然そんなことを言い出す酒呑童子さん。
一体ボクに何をやらせようというのか。
酒呑童子さんに連れられ、訓練場に白銀の鎧を装備した案山子が立っていた。
「防御魔術や加護とかてんこ盛りにしたものを用意してもらったぜ。ドラゴンの攻撃すら何度か凌げるって代物らしいぞ」
「ど、ドラゴン……」
実際には見たことがないので一回くらいは見てみたい、ボクのあこがれの生き物だ。
いつか見られたらいいなぁ。
「てなわけで、あの案山子斬ってみろ」
「えぇ!?」
なんてことを言い出すんでしょうか、この鬼は。
ぴかぴか光っている上に硬そうな鎧を斬れとか……。
「大丈夫だ。誰も見てないからよ」
「そういう問題じゃないですよ……。まったく……」
文句を言いたくもなるけど、とりあえずやるだけやってみよう。
「失敗しても文句言わないでくださいね」
「おう」
酒呑童子さんの返事を聞いてから、ボクは案山子に向き合った。
「うう~ん、てえええい!」
気の抜けるような気合の入れ方だが、力を先に集めてから袈裟斬りの要領で案山子に振り下ろす。
ボクと案山子の距離はかなり離れていて、その場から動いていないボクの斬撃は届かないはずだ。
しかし、キンッという音と共に案山子の体は手を振り下ろした個所から斬れて地面へと落ちていった。
ふむ。
「斬れちゃいましたね」
「わかっちゃいたけど、こりゃやべーな」
何が起きたかというと、どうやらボクは距離関係なく空間ごと斬ったようだ。
その証拠に、ボクの目の前の空間はかすかに揺らいでいる。
酒呑童子さんはそのままゆっくりと案山子に近づくと、鎧の断面の様子などを観察し始めた。
持ったりひっくり返したり、回したりして色々と確認している様子が見える。
「うん。色々付与されていたみたいだけど、全部の効果が無効化されて消失してるな」
酒呑童子さんが出した結論はそれだけだった。
つまり、どんな加護もどんな魔術もどんな防御力も意味をなさないということのようだ。
「この世界に来た当初はこうじゃなかったんですけどね……」
思えば最初のころはゴブリンにすら苦戦していた。
まぁその後はミレによって無事復讐を果たすことができたわけだけど。
「遥お姉様は葛葉お姉様の力を見事にものにしていますわね。遥お姉様には自覚はないでしょうけど、やろうと思えば葛葉お姉様のように空間ごと分断できますわよ」
なにそれ、初耳なんですけど!?
お婆様そんなに危ないことしていたんですか?
「それはもう、何度も切り刻まれましたもの。思えばあの時に調教されたのですわね」
思い出を語る瑞歌さんの表情は若干だが恍惚としていた。
一体どんなことが起きたんだろうか。
「遥お姉様には同じことをしてほしいなどとは言いませんわ。葛葉お姉様とはまた違った凄味がありそうですもの」
どんどん話の方向性がずれていく。
そろそろ打ち止めにしないと大変なことになりそうだ。
「おう、もう戻るぞ」
「あ、はーい」
いいところで酒吞童子さんが声をかけてきてくれたので、ボクも一緒に戻ることにした。
「ところであの鎧一式ってどうするんですか? 相当高価なものですよね?」
なんとなく気になったので酒吞童子さんに確認する。
すると、予想外の答えが返ってきたのだ。
「あれはここのギルドマスターが大神殿勤務していた時に使っていた鎧だそうだぜ?」
「へ、へぇ~……」
それは壊したらダメな奴では?
「あぁ、酒呑童子様。どうでしたか?」
そんな話をしていると、ヒンメスさんが現れた。
何やら心なしかそわそわしているようだが……。
「おう、一撃だったぜ」
「本当ですか!?」
嬉しそうに語る酒吞童子さんと壊れたことを意に介さないヒンメスさん。
なにこれ?
「では、壊れたものを受け取りますね」
「おう」
酒吞童子さんはそう言って壊れた一式をヒンメスさんに渡す。
「おぉ。これはこれは……。しかもほのかに残滓を感じる!? これは一級品ですね」
壊れた鎧一式を愛おしそうに頬ずりするヒンメスさんがいた。
なんだかちょっと怖いんですけど。
「これ、どういうことなんですか?」
なんとなく気になったので質問してみることにした。
するとーー。
「遥様が直接壊されたもの、これに勝る宝がありましょうか。いや、ありません」
ヒンメスさんは力強くそう語る。
もしかしてこれは……。
「ヒンメスさん。それ、もしかしてコレクションしようとしてません?」
「よくおわかりで。これは大神官様も持っていない非常に貴重なお宝なのですよ。悔しがる顔が目に浮かぶようです」
そう話すヒンメスさんの顔はとてもいい笑顔をしていた。
もしかして、大神殿の人は神様オタクなんじゃないだろうか?
そういえば、ミレイさんもそんな気配があったっけ……。
「オタクってのは業が深いな」
酒吞童子さんはわかっていたようで、からからと笑ってその光景を見守っていた。
「なんというか、うん。変わった人だなぁ……」
これはボクの素直な感想だった。
ただ1つ問題があるとすれば……。
「酒呑童子様、結婚してください!」
なぜか女性たちが酒呑童子さんに求婚していることくらいだろうか。
「意味わかんねえし求めてねえよ! お前らは男と結婚しろ!」
酒呑童子さんは若干うんざりした様子で集まってくる女性たちに言い放った。
なぜ魅力的な強者となると男女関係なく求婚してくるのか。
「一度酒吞童子様のあのお姿を見たら、そこらの男たちではだめなんです」
「見てください、あの男たちの様を」
酒呑童子さんを取り巻いている女性たちの示す方向を見ると、隅っこで固まって集まっている男性陣の姿が見えた。
「かわいらしい外見に惹かれて下心で近寄ってきたくせに、自分より強いとわかるとああなんですよ」
「んなもんたまたまじゃねえのか? まぁよくあることだろ」
女性たちはそれが不満な様子だが、酒呑童子さんはそうでもない様子。
おそらく、そういうことが何度もあったんだろう。
「強かろうと弱かろうと、勇敢だろうと臆病だろうと別にいいじゃねえか。悪いことをしたり姑息な手段を用いる卑怯者でもなきゃな」
酒呑童子さんの考え方は結構単純なようだ。
あれはダメこれはダメというのがしっかり決まっているようなので、安心できるしその辺りは好感が持てる。
まぁ結局そんな話をしたところで、評価は簡単に覆るわけではないのだが……。
「まぁ~なんだ。ちょっとは男共も気合入れろとは思うけどな」
「酒呑童子さんからしたらそうでしょうけど、酷では?」
要するに酒呑童子さんは歯ごたえのある戦いを望んでいるわけだ。
「そうは言うけどよぉ。まぁ、遥と戦うならもっと熱い戦いができそうだけどな」
何を言っているんだろうか、この鬼は。
か弱いボクが敵うわけないじゃないか。
「絶対勝てないって顔してるだろうけどよ、遥と戦って短期で決めきれないと負けるのはオレなんだぞ?」
「?」
どうしたらボクが勝てるというのだろうか。
「遥。お前、相手の頑強さとか防御力無視できるよな?」
「はい、できますけど?」
今更ではあるが、ボクは相手の頑強さに関係なくダメージを与えることができる。
そういう特性があるといっても過言ではない。
「ん~、まずはやって見せたほうが早いか。おう、受付のお姉さん」
「はい、どうなさいましたか?」
酒呑童子さんが猟師ギルドの受付嬢に声をかけては何かを話し始めた。
そして、にこやかな笑顔で戻ってくる。
「非公開だけど、一番硬い鎧を装備した案山子用意してもらったぜ」
「は?」
突然そんなことを言い出す酒呑童子さん。
一体ボクに何をやらせようというのか。
酒呑童子さんに連れられ、訓練場に白銀の鎧を装備した案山子が立っていた。
「防御魔術や加護とかてんこ盛りにしたものを用意してもらったぜ。ドラゴンの攻撃すら何度か凌げるって代物らしいぞ」
「ど、ドラゴン……」
実際には見たことがないので一回くらいは見てみたい、ボクのあこがれの生き物だ。
いつか見られたらいいなぁ。
「てなわけで、あの案山子斬ってみろ」
「えぇ!?」
なんてことを言い出すんでしょうか、この鬼は。
ぴかぴか光っている上に硬そうな鎧を斬れとか……。
「大丈夫だ。誰も見てないからよ」
「そういう問題じゃないですよ……。まったく……」
文句を言いたくもなるけど、とりあえずやるだけやってみよう。
「失敗しても文句言わないでくださいね」
「おう」
酒呑童子さんの返事を聞いてから、ボクは案山子に向き合った。
「うう~ん、てえええい!」
気の抜けるような気合の入れ方だが、力を先に集めてから袈裟斬りの要領で案山子に振り下ろす。
ボクと案山子の距離はかなり離れていて、その場から動いていないボクの斬撃は届かないはずだ。
しかし、キンッという音と共に案山子の体は手を振り下ろした個所から斬れて地面へと落ちていった。
ふむ。
「斬れちゃいましたね」
「わかっちゃいたけど、こりゃやべーな」
何が起きたかというと、どうやらボクは距離関係なく空間ごと斬ったようだ。
その証拠に、ボクの目の前の空間はかすかに揺らいでいる。
酒呑童子さんはそのままゆっくりと案山子に近づくと、鎧の断面の様子などを観察し始めた。
持ったりひっくり返したり、回したりして色々と確認している様子が見える。
「うん。色々付与されていたみたいだけど、全部の効果が無効化されて消失してるな」
酒呑童子さんが出した結論はそれだけだった。
つまり、どんな加護もどんな魔術もどんな防御力も意味をなさないということのようだ。
「この世界に来た当初はこうじゃなかったんですけどね……」
思えば最初のころはゴブリンにすら苦戦していた。
まぁその後はミレによって無事復讐を果たすことができたわけだけど。
「遥お姉様は葛葉お姉様の力を見事にものにしていますわね。遥お姉様には自覚はないでしょうけど、やろうと思えば葛葉お姉様のように空間ごと分断できますわよ」
なにそれ、初耳なんですけど!?
お婆様そんなに危ないことしていたんですか?
「それはもう、何度も切り刻まれましたもの。思えばあの時に調教されたのですわね」
思い出を語る瑞歌さんの表情は若干だが恍惚としていた。
一体どんなことが起きたんだろうか。
「遥お姉様には同じことをしてほしいなどとは言いませんわ。葛葉お姉様とはまた違った凄味がありそうですもの」
どんどん話の方向性がずれていく。
そろそろ打ち止めにしないと大変なことになりそうだ。
「おう、もう戻るぞ」
「あ、はーい」
いいところで酒吞童子さんが声をかけてきてくれたので、ボクも一緒に戻ることにした。
「ところであの鎧一式ってどうするんですか? 相当高価なものですよね?」
なんとなく気になったので酒吞童子さんに確認する。
すると、予想外の答えが返ってきたのだ。
「あれはここのギルドマスターが大神殿勤務していた時に使っていた鎧だそうだぜ?」
「へ、へぇ~……」
それは壊したらダメな奴では?
「あぁ、酒呑童子様。どうでしたか?」
そんな話をしていると、ヒンメスさんが現れた。
何やら心なしかそわそわしているようだが……。
「おう、一撃だったぜ」
「本当ですか!?」
嬉しそうに語る酒吞童子さんと壊れたことを意に介さないヒンメスさん。
なにこれ?
「では、壊れたものを受け取りますね」
「おう」
酒吞童子さんはそう言って壊れた一式をヒンメスさんに渡す。
「おぉ。これはこれは……。しかもほのかに残滓を感じる!? これは一級品ですね」
壊れた鎧一式を愛おしそうに頬ずりするヒンメスさんがいた。
なんだかちょっと怖いんですけど。
「これ、どういうことなんですか?」
なんとなく気になったので質問してみることにした。
するとーー。
「遥様が直接壊されたもの、これに勝る宝がありましょうか。いや、ありません」
ヒンメスさんは力強くそう語る。
もしかしてこれは……。
「ヒンメスさん。それ、もしかしてコレクションしようとしてません?」
「よくおわかりで。これは大神官様も持っていない非常に貴重なお宝なのですよ。悔しがる顔が目に浮かぶようです」
そう話すヒンメスさんの顔はとてもいい笑顔をしていた。
もしかして、大神殿の人は神様オタクなんじゃないだろうか?
そういえば、ミレイさんもそんな気配があったっけ……。
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