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第164話 埋没した古代都市にて①
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明るく照らし出された地下都市。
ここに巣くっていた【混沌の根】はお婆様により無残に退治されてしまった。
あとに残されたのは召喚に使ったと思われる装置と輝く鉱脈となった美しい街だけとなった。
「古代都市、ですか。現代とどう違うんでしょうか」
お婆様たちと共に観光がてらに街を歩く。
あらゆる建物は鉱脈になってしまっているが、看板などの文字やお店の様子などを見ることは可能だった。
街自体は石造りで、所々に金属が使用されている、よくありそうな古代遺跡タイプだ。
地球でもこのような遺跡はいくつかあるのでわかりやすいと思う。
ただ違いといえば、所々に青い水晶が埋め込まれていることだろうか。
軽く調べてみた結果、この青い水晶はどこからか流れてくるエネルギーを受け取って生活に利用するためのもののようで、一種の電気ガス水道と同じような公共インフラのようなもののようだった。
「室内……は入れますね」
「この水晶は昔はよく使われておった。見てみい、あそこに電球のフィラメントのようなものが付いたランプがあるじゃろう?」
お婆様の指さす方向に視線を向ける。
そこには確かに電球の中の発熱する部分と同じようなものが付いたランプが存在していた。
ランプ自体は壁に設置されているため、エネルギーを受け取れるような場所は見当たらない。
「壁に直付けされてますね」
「うむ。建物外部の水晶、【マナクリスタル】というのじゃが、それが中央のマザークリスタルからエネルギーを受け取って建物全体にエネルギーを送り込んでおるのじゃ。今のこの世界ではこの手の技術は作ることが出来ぬゆえ、原始的な方法での灯りが利用されておる。まぁまだ魔術光のランプなどもあるから多少はマシかもしれぬがのぅ」
「ほえー」
確かにお婆様の言う通りかもしれない。
アルテの街はまだ新しいせいか街燈にも魔術光ランプが使用されているようだが、室内は蝋燭というところが多いようだ。
魔術光ランプが多く取り入れられている場所は大神殿関係ばかりなので、神殿地区では魔術光ランプをよく見ることが多い。
「魔術光ランプ自体の構造は単純じゃ。魔石ないしライトの魔法陣を使って常に光らせるだけじゃ。じゃが効率が悪いこともあって維持費がたくさん掛かる。ゆえに一般には浸透せぬ」
「一般市民は高額な維持費を払ってまで明かりを維持しようと思いませんからね」
「うむ。じゃがこのマナクリスタルネットワークは格安で、かつ長い時間使うことができる画期的なシステムでもあるのじゃ。使い方は簡単で地球でいうところの電気みたいな使い方と考えてよい」
お婆様がいつまでの日本を知っていたかはわからないけど、お婆様の言わんとしていることはわかる。
最近はボクのパソコンで色々と情報を調べて勉強しているようだしね。
しかし、このマナクリスタルネットワーク? とかいうやつ良さそうだ。
「古代人ってすごいですね」
ボクは古代の人の知恵に驚きを隠せなかった。
「応用は素晴らしいのぅ。基礎技術はすべて【教授】からじゃが」
「【研究所】ってここでも関わっているんですね。なのに【混沌の根】が発生したと」
「妙な話じゃろ? まぁ理由は想像つくがのぅ」
お婆様はそう言うと小さくため息を吐いた。
「【研究所】ってボクが初めて会った時もそうでしたけど、結構なりふり構わない研究をしている感じでしたよね」
瑞葉を見つけたときもそうだった。
ダンジョンコアに細工をして新しい世界を創造しようとしているほどはちゃめちゃなことをやっているのだ。
もしあのまま新世界が出来ていたらどうなっていただろうか。
「まぁそんな【教授】も遥の眷属となったことで悲願が叶ったようじゃからのぅ。ずいぶん大人しくなったわい」
「そうですね。なんだかいいお爺ちゃんって感じがします。何でも協力してくれますし」
ボクから見た【教授】は今やいいお爺ちゃんだった。
前に訪れた【教授】たちの研究世界を見る限り、自分たちで作ったものやそこに参加してくれる人々には優しさがあるように感じる。
その反面、敵や研究材料には容赦ないイメージもあるのだけど……。
「ともあれ、このマナクリスタルネットワークは利用できるものじゃぞ。そこらに車みたいなのも転がっておるじゃろ?」
お婆様の言葉を聞いて周囲を見てみる。
するとそこには古い形の車のような物体がいくつも存在していた。
まぁ見た目は妖精銀の塊なんだけど……。
「これは所謂【魔力車】じゃ。利用申請することでマザークリスタルからエネルギーを無限に受け取ることができるのじゃよ。EV車みたいなものと考えてよいぞ」
「大昔はこれで街を移動していたわけですわ。そもそもこの場所もこんなに深い森林だったわけじゃありませんでしたから」
瑞歌さんも昔を知っているようで、ボクにそのことを教えてくれた。
「便利ですね。うちにもこのシステム導入しようかなぁ……」
新世界にある現代的な設備はソーラー発電機くらいだしね。
めっちゃ便利ですけど。
「そういえば教授に発電設備について頼んでたんでしたっけ。どうなったかなぁ」
ふとこの前発電所関係について頼んでいたことを思い出した。
さて……。
「まぁいいようになるじゃろ。今更太陽光発電とか教授は使わぬしのぅ。それにこの街と新世界を比べるのは意味がないのじゃ。ここは多量のエネルギーを得るのに理外を使うしか選択肢はなかったが新世界はどうにでもなる。そこが大きな違いじゃ」
「へぇ~。そうなんですね? あれ? ということは、この街が滅びた最大の理由って……」
ボクはこの街が滅びた理由がわかったかもしれない。
「最初から言っておるじゃろう。理外からの召喚じゃ。エネルギーのな」
ここに巣くっていた【混沌の根】はお婆様により無残に退治されてしまった。
あとに残されたのは召喚に使ったと思われる装置と輝く鉱脈となった美しい街だけとなった。
「古代都市、ですか。現代とどう違うんでしょうか」
お婆様たちと共に観光がてらに街を歩く。
あらゆる建物は鉱脈になってしまっているが、看板などの文字やお店の様子などを見ることは可能だった。
街自体は石造りで、所々に金属が使用されている、よくありそうな古代遺跡タイプだ。
地球でもこのような遺跡はいくつかあるのでわかりやすいと思う。
ただ違いといえば、所々に青い水晶が埋め込まれていることだろうか。
軽く調べてみた結果、この青い水晶はどこからか流れてくるエネルギーを受け取って生活に利用するためのもののようで、一種の電気ガス水道と同じような公共インフラのようなもののようだった。
「室内……は入れますね」
「この水晶は昔はよく使われておった。見てみい、あそこに電球のフィラメントのようなものが付いたランプがあるじゃろう?」
お婆様の指さす方向に視線を向ける。
そこには確かに電球の中の発熱する部分と同じようなものが付いたランプが存在していた。
ランプ自体は壁に設置されているため、エネルギーを受け取れるような場所は見当たらない。
「壁に直付けされてますね」
「うむ。建物外部の水晶、【マナクリスタル】というのじゃが、それが中央のマザークリスタルからエネルギーを受け取って建物全体にエネルギーを送り込んでおるのじゃ。今のこの世界ではこの手の技術は作ることが出来ぬゆえ、原始的な方法での灯りが利用されておる。まぁまだ魔術光のランプなどもあるから多少はマシかもしれぬがのぅ」
「ほえー」
確かにお婆様の言う通りかもしれない。
アルテの街はまだ新しいせいか街燈にも魔術光ランプが使用されているようだが、室内は蝋燭というところが多いようだ。
魔術光ランプが多く取り入れられている場所は大神殿関係ばかりなので、神殿地区では魔術光ランプをよく見ることが多い。
「魔術光ランプ自体の構造は単純じゃ。魔石ないしライトの魔法陣を使って常に光らせるだけじゃ。じゃが効率が悪いこともあって維持費がたくさん掛かる。ゆえに一般には浸透せぬ」
「一般市民は高額な維持費を払ってまで明かりを維持しようと思いませんからね」
「うむ。じゃがこのマナクリスタルネットワークは格安で、かつ長い時間使うことができる画期的なシステムでもあるのじゃ。使い方は簡単で地球でいうところの電気みたいな使い方と考えてよい」
お婆様がいつまでの日本を知っていたかはわからないけど、お婆様の言わんとしていることはわかる。
最近はボクのパソコンで色々と情報を調べて勉強しているようだしね。
しかし、このマナクリスタルネットワーク? とかいうやつ良さそうだ。
「古代人ってすごいですね」
ボクは古代の人の知恵に驚きを隠せなかった。
「応用は素晴らしいのぅ。基礎技術はすべて【教授】からじゃが」
「【研究所】ってここでも関わっているんですね。なのに【混沌の根】が発生したと」
「妙な話じゃろ? まぁ理由は想像つくがのぅ」
お婆様はそう言うと小さくため息を吐いた。
「【研究所】ってボクが初めて会った時もそうでしたけど、結構なりふり構わない研究をしている感じでしたよね」
瑞葉を見つけたときもそうだった。
ダンジョンコアに細工をして新しい世界を創造しようとしているほどはちゃめちゃなことをやっているのだ。
もしあのまま新世界が出来ていたらどうなっていただろうか。
「まぁそんな【教授】も遥の眷属となったことで悲願が叶ったようじゃからのぅ。ずいぶん大人しくなったわい」
「そうですね。なんだかいいお爺ちゃんって感じがします。何でも協力してくれますし」
ボクから見た【教授】は今やいいお爺ちゃんだった。
前に訪れた【教授】たちの研究世界を見る限り、自分たちで作ったものやそこに参加してくれる人々には優しさがあるように感じる。
その反面、敵や研究材料には容赦ないイメージもあるのだけど……。
「ともあれ、このマナクリスタルネットワークは利用できるものじゃぞ。そこらに車みたいなのも転がっておるじゃろ?」
お婆様の言葉を聞いて周囲を見てみる。
するとそこには古い形の車のような物体がいくつも存在していた。
まぁ見た目は妖精銀の塊なんだけど……。
「これは所謂【魔力車】じゃ。利用申請することでマザークリスタルからエネルギーを無限に受け取ることができるのじゃよ。EV車みたいなものと考えてよいぞ」
「大昔はこれで街を移動していたわけですわ。そもそもこの場所もこんなに深い森林だったわけじゃありませんでしたから」
瑞歌さんも昔を知っているようで、ボクにそのことを教えてくれた。
「便利ですね。うちにもこのシステム導入しようかなぁ……」
新世界にある現代的な設備はソーラー発電機くらいだしね。
めっちゃ便利ですけど。
「そういえば教授に発電設備について頼んでたんでしたっけ。どうなったかなぁ」
ふとこの前発電所関係について頼んでいたことを思い出した。
さて……。
「まぁいいようになるじゃろ。今更太陽光発電とか教授は使わぬしのぅ。それにこの街と新世界を比べるのは意味がないのじゃ。ここは多量のエネルギーを得るのに理外を使うしか選択肢はなかったが新世界はどうにでもなる。そこが大きな違いじゃ」
「へぇ~。そうなんですね? あれ? ということは、この街が滅びた最大の理由って……」
ボクはこの街が滅びた理由がわかったかもしれない。
「最初から言っておるじゃろう。理外からの召喚じゃ。エネルギーのな」
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