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プロローグ
土下座土下座土下座
しおりを挟む瞼が重い。
私はいつの間に眠ってしまったのだろう。この年でお酒なんて飲まない。正月に飲んだ甘酒以来酒断ちはしている。
路上で眠りこけてたら嫌だなと思いつつ、恐る恐る状況確認の為に目を開けた。
迫りくる睡眠欲求を抑えて、真っ先に目についたのは土下座。
何もない空間でただそこに土下座がいる。
あぁ、何を言っているか私も自分で言ってて分からないけど確かに目の前で土下座している。
しかも、金髪サラサラで体格的に男性かな。そこから導き出されるイケメン指数はかなりの高さだと想像出来る。
その隣には同じく金髪でサラサラのロングヘアーを携えた美少女。同性の私が襲い……もとい撫でくり回したいくらいの可愛らしさを持っている。
でも、私は襲撃欲求をどうにか抑えることが出来ていた。
それはその金髪美少女が隣でずっと土下座している男性に侮蔑の篭った視線を送っていたからだ。一部の趣味趣向の人には好まれそうな目つきだけど、私は残念ながら専門外。ただただ現在進行形で起きているこの訳分からん状況に拍車を掛けているだけ。
「心の底からすみませんでした!!」
「ひぃっ!?」
土下座から突然の謝罪。
困惑する私は身体を大きくビクッとさせてしまう。
私の反応を見た金髪美少女が侮蔑を込めた赤い瞳はそのままに土下座へ声を掛けた。
「お兄様、いきなり理由も分からないまま土下座や謝罪をされても困惑するだけかと思いますよ。ねぇ、カエデさんもそう思うでしょう?」
「へ、へいそのようで。」
やばい、美少女の放つ高貴さに私の庶民心が産声を上げちゃう。
「む、では一度顔を上げぐふぅ!」
「誰が顔を上げていいと言いましたか。自分の存在にしっかりと反省してください。」
「妹よ、兄に対して余りにもな態度じゃないくはぁっ!」
「うるさいです。」
凄い。
一度上げようとした顔に躊躇いなく踏みつけた。更に減らず口に対して追撃を怠らないなんて、この美少女は私の見立てでは調教のプロと見たね。あの容赦のなさは急場で仕上がるものじゃない。
「ふふ、カエデさんそんなに褒めないで下さい。愚兄で少々鍛えただけですから。」
一つ一つの所作に気品と優雅さに溢れ、先程の行為を忘れてしまいそう。
「妹よ、発言の許可を頂きたい。今度はちゃんと説明もするから。ちゃんとするから。」
頭を踏みつけられたままでよく器用に話している。
「………ふぅ良いでしょう。許可致します。慈悲深いカエデさんに感謝しなさい。」
「ありがとうございます。」
金髪美少女様は、ゆっくりと名残惜しそうに頭から足を離した。
解放された土下座は、ようやくその顔を上げることが出来た。
あらやっぱりイケメンさん。瞳の色は赤。会話の流れからしてご兄弟かな。
「そうですね、まず私達の自己紹介から入ろうと思います。私は地球の神様を始めて20億とちょっと。父から引き継いで真摯に務めてきました。気軽に地球の神様だからチーさんとでも呼んで下さい。で、隣でいつでも頭を踏む準備をしている子が私の妹で別次元にあるエスティアという世界を管理している。」
「どうぞ、気軽にエスちゃんと呼んで下さい。信仰心の高い信者に聞かれたら殺されるかもしれませんが、ここではそう呼んで構いません。」
「え、あはい…。」
地球の神様?
世界を管理?
チーさんとエスちゃん?
困惑ワードばかりでどうしたらいいの。
しかも、私の名前を知っていた。
危ない人達だと不審者判定した方が良いのだろうか。手に持ったままのスタンガンについ力が入る。
「か、神様ですか?」
「随分と困惑しているようだ、無理もない。だが、神様だと信じてほしい。なんなら神様っぽいことをしてみせよう。まずはそうだな、私を見た印象を頭の中で思い浮かべてみてくれないか。」
「は、はい。」
土下座の言葉を素直に従う。
土下座ヘタレ残念イケメン土下座足場危ない人。
土下座が突然ガクリと両手を地面につけた。
「私の印象酷すぎないか?土下座が2回もあった…。ヘタレじゃないやい。」
「えっ!?どうして土下座が被ったのが分かったんですか?」
「ふふ、私達が貴方の心の中を読んだからですよ。お兄様が落ち込んだままなので次は私が神様っぽいところをお見せしましょう。」
膝を抱えて人差し指でのの字を書き始めた土下座を放置して、妹のエスちゃんさんが私の前に出た。
そして、エスちゃんさんが女神になった。
色々省いてごめんなさい。
だって急にエスちゃんさんの背景が神々しい光を放ち始めて、しまいにはその光が幾重にも重なり光の翼と昇華した。
それに加えて左手を頬に添えて微笑するその姿はまさに女神。マジ女神。
「どうです?これで神様と信じて下さいますか?」
「は、はい喜んで!」
「ふふ信じて貰えて良かったです。続きはあれがまた説明しますので、気になる点がございましたら随時質問して下さいませ。」
「へ、へい喜んで!」
「ほらお兄様、いつまでいじけているのですか。とっとと説明を再開しやがりなさい。」
いじける土下座の頭を優しく踏みつけ復活を促す。
何度か踏みおろした後、観念したのかようやく私の方へ向き直った。
ちょっと目の端がキラリと光っていたのは見てみぬふりをしておこう。
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誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
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