知らない世界はお供にナビを

こう7

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プロローグ

衝撃的事実に電撃が走る

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しばらく拗ねていた土下座はエスちゃんさんの献身的な説得でようやく復活をしてくれた。
この二人が神様だと言うことはエスちゃんさんを見て理解出来ました。

「あの、神様なのは分かりました。凄く神様でした。」

「ふふ、ありがとうございます。」

「それでどうして私は神様達の前にいるのでしょうか?」

楓の質問に二人の神様はすっと目を逸らした。それに気づかない楓ちゃんではない。

「あの、どうして目を逸らすのですか?特に用がなければお家に帰りたいのですが…。」

「それはですね…。」

チラリと横の土下座を見るエスちゃんさん。
そして、私も同じように土下座を見る。

2つの視線に耐え切れなくなった土下座がまたしっかりとした土下座で話し始めた。

「まっことにすみませんでした!一ノ瀬楓さんはもうお家には帰れません。私のミスです、ごめんなさい!」

「え…。」

すぐには理解出来ない。
これまでの神様宣言ですらようやく処理し終えたところなのに、これ以上の新たな情報は受け入れづらい。
動揺が手元にも伝わっていたらしい。ついスイッチオンして土下座の首筋に当てていた。


「あ、あぁ、ガエデしゃんんんん、スイッチぎって、ぎっでえぇぇ!!!」

「……………。」

「ああぁぁ○✕△!?」

「カエデさん、突然の受け入れ難い宣告。大変お辛いと思います。身内として本当に申し訳ございません。こうなってしまった経緯を改めて説明致しますので、どうか一旦お止めになって頂けませんか?」

「………は、私はどうしてスタンガンを…。」

しばらく放心していたみたい。
エスちゃんさんに声を掛けて貰わなかったら、ずっと意識を手放してた。

「すみません、いきなりのことでなんだかボーッとしてしまいました。」

「いえ、そもそもこちらの不手際で起きた事態です。あれのミスに巻き込んでしまったのです。謝ることはございません。ほら、早く続きを再開しなさいお兄様。」

お手製だけあって威力の調整に不備があったようだ。土下座の身体がこんがりに焦げて、良い具合に煙が立っている。
けれど、土下座はやっぱり神様なんだ。みっちゃんお手製の威力を受けてもエスちゃんさんの踏みつけですぐに復活した。

良かった無事で。
土下座の安否確認を終え、ホッとしたら舌打ちを鳴らしちゃった。

何故かビクビクと怯えた土下座は様子を伺うように慎重に慎重に続きを話す。

「はい楓様、申し訳ございません。愚かで醜い私が管理の際に誤って調整の歪みを発現してしまい、貴方様を巻き込んでしまいました。」

「そ、そんな…。」

「ま、待ってまだそれを押し付けないでお願いします!つ、続きが続きがありますので!」

「は、はい…続けて下さい。」

「あ、ありがとうございます。それででして、歪みに巻き込まれた時に貴方様の肉体は消滅してしまいました。そして、地球に元の姿で戻すことは出来ません。貴方様はあの巻き込まれた時点でその世界では死亡扱いになりました。なぜそんな危険な武器だけ残ったのかは不思議ですが…。」

「そ、そんな…。」

まだやりたい事がいっぱいあった。
一人暮らししたらお母さんの目を気にせず一日中だらだらしたりとか初めてのバイトをして高級ベッドを買ってゴロゴロするとか沢山あった。

隣で黙って立っていたエスちゃんさんに目配せして許可を頂く。
こくりと首を縦に振ってくれた。

よし、当てます。

この空間での時間経過はどんなものか分からないけど、実感にしておよそ小一時間。しっかりと土下座を反省させるに至りました。
神様にダメージがあるのか?
肉体には無くとも精神的にはしっかりと来るようです。

己の過ちをきっちりと直接反省させられた土下座は、ブルブルと土下座体勢でひたすら謝罪の言葉を呟いていた。

辛く絶望に染まっていた心が結構すっきりと軽くなった気がする。

楓の表情を見たエスちゃんさんは、労るような慈愛に満ちた微笑みで声を掛けて来ました。

「少しでもカエデさんの心を癒やすことは出来ましたでしょうか?もし物足りなければ私が愚兄への折檻引き継ぎ致しましょう。」

「はい、おかげさまで落ち着くことが出来ました。ありがとうございます。引き継ぎお願い致します。」

土下座の悲痛と絶望に染まる顔は楓には映らない。

「ふふ、お任せくださいませ。では、愚兄への罰のお話はこれくらいにして今後のカエデさんについてお話ししましょうか。」

「私の……今後ですか?天国に行くか地獄に行くかですか?」

「ふふ、ちょっと違います。私達の不手際へのお詫びに他の死者と同じことをしてはつまら……こほん申し訳ないです。ですので、私からご提案がございます。」

ちょっと不穏な言葉が紛れかけてた気がするけど、エスちゃんさんの神様オーラで霞んでいく。

「提案ですか?」

「はい、ご提案です。それは私の管理する世界エスティア。そこで暮らしてみませんか?」

エスちゃんさんの世界で暮らす?

「そうです。カエデさんの従姉妹のみっちゃんさんのお言葉を借りるなら異世界転移ってやつですね。」

従姉妹のみっちゃん。
異世界にいつか行けることを信じて鍛錬と準備を怠らなかったみっちゃん。家に世界樹を育てるといって朝顔を育て始めたみっちゃん。いつか魔物と戦う為、欠かさない筋トレや武器を作っていたみっちゃん。このスタンガンもその時の名残。

「で、でも私の肉体は無くなったのですよね?」

「安心して下さい。新たに私が器をお作り致します。もちろん、記憶はそのまま残せますよ。」

みっちゃんが記憶は残しておいた方が良いって言ってたから残るのは助かる。

「どうでしょうか、私の提案?もしこのまま生を終えたいのであれば無理には止めません。いかがいたしますか?」


私の気持ちはすでに決まっていた。


「私、異世界に行きます!」



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