知らない世界はお供にナビを

こう7

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街までの道のり

ご飯を求めて

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ついに魔法を取得して大はしゃぎのカエデ。地球では夢物語だったことが自らの手で起こせた、それが例え小さくてショボくても嬉しい事この上ない。

自衛目的で始めたのに全く魔物とは戦えないレベルだけれど気にしない。このまま感傷に浸らせてください。


そんなカエデに待ったをかけるのがナビゲーターのなっちゃん。

『ご主人様、そろそろ喜びの舞は終わりにしましょう。まだ森の中、使える魔法は日常レベル以下で魔物とまともに戦えません。そして、現在地球の日本時間で言えば午後3時過ぎ。この世界に来てからおよそ6時間ほど経過しております。そろそろお腹の鳴く頃ではございませんか?』

「え、もうそんなに経ってるの!?やだ、私の集中が怖い。」

『はは、ご主人様は集中力だけ凄いです。よ、集中の天才。集中力だけの女。』

機械的な口調がクールに心へ突き刺さってくる。
でも私は知っているからね、なっちゃんはちゃんと心の奥ではご主人様想いってことがね。

光球に向かってパチリと分かってますよウィンクをかましたけど、お腹がグルルルと可愛らしく鳴って上手く決められなかった。
ちょっと恥ずかしい。

「そういえば朝食も昼食も摂ってないからお腹ベッコベコだよ。なっちゃん、ご飯探ししよう。このままじゃ餓死しちゃう。ここ周辺に何か食べ物あるかな?」

こういう時こそもナビのなっちゃんの出番。
なんでも知っているなっちゃんなら食べ物の居場所が分かるはず。

『はい、ここら一帯の木々にいくつかの果実が実っております。毒がないものばかりなので安心して下さいませ。』

「おぉ、流石はなっちゃん。ではでは、その果物達が実っている木まで案内お願いしやす!」

主従関係であっても感謝の心は忘れない。餓死の危険に比べれば頭を下げるなんてお安い御用。幾らでも下げてしまいますとも。

なっちゃんの指示で進み実がなっている木の元までやって来ました。
確かにリンゴのように赤い実がなっていた。
なっていたけど、果実のある位置が非常に高い。

「………なっちゃん、あれ取りに行ける?」

『申し訳ございませんご主人様。私は触ることが出来ません。そのまま触れることなく通過してしまうでしょう。』

なっちゃんはあくまでも案内人か。
お腹は無情にも鳴き続けている。
どうしたもんか……。

ふと足元に落ちている石を見た。
これはカエデちゃんの本気をまたしても見せなきゃいけないか。

カエデは石を拾う。
そして、果実を今一度見る。

この世界で何度目かの本気。小学生の時にソフトボールクラブで鍛えられたこの豪腕を奮う時が来ちゃったようだ。もう自分の才能が怖くてしかたない。


石を構えて狙いを定める。
心は散髪屋で読んだ漫画に出て来る13がトレードマークの殺し屋気分。

目標をセンターに入れてといやっ!

石は勢い良く飛び出し綺麗な放物線を描いていく。
それはまるで虹のようだ、一色分しかないけど。 


果実へと確実に近づいていき、そして素通りしていった。

『…………。』

「いや、なっちゃん違うよ。久々だったから肩慣らし。」

もう一度、石を拾って狙いを定めて思いっきり投げた。


やっぱり果実の横を素通りしていく。

『………。』

「いやいや違うよ。今までは練習。石の調子を確かめてただけだからいや本当よ。これから本気だからね。」


そして一時間後。
約100投を越える熱投が終わりを告げた。何回もの延長戦を繰り返したけど、もう私の周りに石はいなくなっていた。あんなに触れ合ってたのにもうその温もりを感じることはない。

「…………なっちゃん、今日は肩の調子が良くないみたいだから別の案ある?出来れば低い位置にあるものでお願いします。」

本当に肩の調子が悪い。
さっきまでは無かった謎の痛みがズキズキとやって来ている。この世界に湿布ってある?

『……はぁ、では別の場所へ案内致しましょう。そこなら手は届くので大丈夫でしょう。』

なっちゃん呆れてる?
気のせいと思いたい。


私はズキズキする両肩に手を添えて先導してくれる光球についていく。
移動の間で魔物と遭遇するかと思ったけど全く出逢うことは無かった。

「意外に魔物って現れないね。これなら急いで魔法を覚える必要無かったかもね。」

またしてもなっちゃんから溜息が。

『……はぁ、両肩を負傷させたご主人様を想い、魔物とかち合うルートは避けて移動しております。』

「な、なっちゃん…。」

『食料確保などある程度万端となりましたら幾らでも会わせて差し上げましょう。お任せください。』

なっちゃんツンデレ説が濃厚になってきた。


ふざけたやり取りに区切りをつけるように木々を抜けた先に川が姿を現した。


レッツ、フィッシング!

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