知らない世界はお供にナビを

こう7

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街までの道のり

やれば出来る子

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主人想いのナビゲーターのお陰で私は無事いきなりの危機から脱出することが出来ました。
でも、一時の危機を脱しただけであってここは未だに魔物がうろちょろする森。交渉が何度も成功するとは思えない。今回のは奇跡に近いことなのだ。

「なっちゃん、今度はもっと真剣にやるよ。私は心の何処かでなんとかなるさ精神がわっしょいしてたと思う。でも、もう大丈夫。私はやれば出来る子頑張る子!」

『ご、ご主人様…。そうです、その意気です。ギリギリまでやる気を出さない聡明さ、そして前向きで明るく単細胞なところ素晴らしく思います。せいぜい頑張って下さい。応援しています。』

「ん?……うん、頑張るよ!」

捲し立てるように声援を送られて聞き取れない部分もあった。けれど、応援をしてくれてるみたいだから本当の本当に頑張るぞ。


ここからのカエデは本気のカエデ。
最初に教えてもらった自分の体内にある魔力を感じる練習。褒められて伸びるタイプが集中すればすぐに感じることが出来る。

カエデもその一人。
隣でなっちゃんにどうか逐一褒めるようお願いしたら経ったの1,2時間で感覚を掴むことが出来た。

これはこの世界で魔力を持つ8歳の子供と同じ取得速度。カエデがどれほど優秀かご理解出来たでしょう。


次の段階へと進む。
そう、いよいよ魔法を発動させる段階。ここからはなっちゃんの説明を聞かなければ。

『ご主人様おめでとうございます。それでは、次はいよいよ魔法です。生活の為に急いで必要な火と水の魔法を覚えましょう。ここからこそご主人様の妄想力の見せ所です。頑張ってください。』

なっちゃんが期待してくれてる。ここで応えなきゃご主人様として失格だね。
私のかっこいい背中を黙って見ててね。

『まずは魔力を指先に集中させてご主人様が考える火をイメージして下さい。イメージが変換されて指先に現れるはずです。』

「ふふん、ここからが私の本領発揮ってやつだよ。任せて!」

もう自分の中でポカポカとする魔力が分かる。それをゆっくりと人差し指へと集約させていく。


流れは来ている。
凄いのが出せる気がする。もう火どころか炎もしかしたらマグマぐらい出すかもしれない。

いやー私の本気見せちゃうかー見せちゃうのかー参ったね本気出しちゃって。

はい、もうかなり指先に溜まりました溜まっちゃいました。はい、出します3,2,1はい。


はい。


はい?


火魔法は出せた。初見一発初体験のしかも無詠唱で火は出せた。
無詠唱なんてなかなか出来るもんじゃない。
だけどどうだろう。このなんとも可愛らしく細々と揺れる火。蝋燭よりも頼りないその出で立ち。鼻息一つで簡単に吹き消せそうあ、消えた。


とりあえず、なっちゃんの方を向く。何も言ってこない。


試しに次は水魔法をやってみる。もちろんこちらも発動はした。葉っぱの先から零れるように指からポタポタと水滴が垂れている。喉を潤すにはしばらく掛かりそう。

もう一度、なっちゃんの方を向く。
またしても、何も言ってこない。


さっきよりも一段と縮こまった背中をなっちゃんに向けて練習。

目から水魔法が溢れて、その都度指でゆらゆらと揺れる灯火が消されていく。
へへ、これじゃあ練習にならないやグスン。


涙の特訓数時間のお陰でどうにかピンポン玉サイズの火の玉と百均の小さなジョウロから出る水くらいの出力の放水が出来るようになった。

改めてなっちゃんの方を向く。

『………ご主人様よく頑張りましたね。』

たった一言。
けれど、ずっと聞きたかったその言葉で彼女の瞳は崩落した。

「うぅ…な、なっぢゃん、ああだし頑張ったよ。見放ざれだかと思っで…うぐっ、頑張っだよ。」

『私がご主人様を見放す訳がありません。ご主人様ならやれる、出来る子だと信じておりましたよ。』

「な、な、なっぢゃあぁぁん!!!」


見捨てられてなかったそう思ったら動いてた。
感極まって涙と鼻水だらけで光球に抱き着こうとした。

『汚いです。』

スルリと躱されて空を切る。
なっちゃんのデレ期はあっさりと通り過ぎたようだ。
そして、泣き声が泣き叫び声と進化した。


ようやく泣き終えた頃には、もう朝は終わりお昼も過ぎて地球ならおやつの時間へと差し掛かっていた。


まだまだ問題は山積み。
食料を探したり今晩の寝場所を確保したりと考えだしたらきりがない。

でも、そんな事をつゆ程も考えに至ってない少女。
終始泣きまくってすっきりしたのかその表情は何処か満足げ。
危機感は何処かに捨ててきたのかな?


どこまでも能天気な少女、次は食料を見つけに行きます。


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