知らない世界はお供にナビを

こう7

文字の大きさ
30 / 75
サルサでのんびり

今日のワンコ

しおりを挟む

薬草探しの為、町から森へと移動したカエデ。
この森は盗賊団から金品を掻っ攫って以来で久しぶりだ。地球ではなかなか味わえない自然の香りでリフレッシュしちゃう。

「よし、なっちゃん薬草を探そうか。私だとどれが薬草か判別出来ないから頼りにしてるよ!」

『お任せ下さいませ。この森に生える全ての薬草を刈り取ってしまいましょう。』

「いや、ほどほどにね…。」

前から思うけど、なっちゃんって若干強盗寄りの思考している。全く誰に似てしまったんだろう、私がしっかりしないといけないね。

さて森中の薬草という薬草をほどほどに奪い尽くそう。


なっちゃんの案内で始まった採取。何の障害もなく見つかって行く。見つかっては根本を残して刈るの繰り返し。
こんなに簡単な冒険者活動で良いのだろうか。多分なっちゃんの案内のお陰で魔物ともなるべく出会わないようにしてくれているみたいだし。
ちょっと他の冒険者に申し訳ない。

でも、自分の生活がかかっているから許してほしい。申し訳ない溜息を吐いて目の前の群生した薬草を根こそぎ採取していった。


鼻歌をロック調に刻みながら歩いているとなっちゃんの制止が入った。

「どうしたの?」

『前方から生体反応がございます。今のところ敵意は感じませんか。ご注意下さいませ。』

そう言うや否や前方の草むらがガサゴソと蠢く。

ゴクリと生唾を飲み込み、前方を懸命に注視する。




「わん!」

白銀毛のワンちゃん。
へっへっへっと舌を出しながらクリっとした愛くるしい瞳でこちらを見上げている。見つめる瞳には敵意も警戒心すらもない。

『ご主人様この犬は…。』

「か…。」

『ご、ご主人様?』

「か、か…。」

『あの、ご主人…。』

「可愛いいぃぃ!!!」

『ご主人様!?』

猛進に次ぐ猛進。
ペット禁止のマンションで苦行を強いられていたカエデにとって目の前のわんこは正に禁じられた果実。
だらしなく緩みきった笑みを保持したまま抱き着くようにヘッドダイビング。

「きゃん!?」

「ふぅおおぉう、もふもふじゃ…もふもふじゃあ!!」

これでもかとじゃれつく。
抱擁直後は驚いていたワンちゃんも全く嫌がる素振りなし、なら遠慮は要らない。
生を貰って18年。これほどモフれる日が来るとは…温かくて気持ちいい。少しだけ獣臭いけど構わない。
溺れる快楽とはまた別の快感だ。


『ご主人様、その子は魔物ですよ。』

「そないなこと関係あらへん。このモフモフの前では魔物も何も些事な事やで。」

『なんでエセ関西弁?』

薬草採取のノルマは十分に達成している。
だから、宿に戻るまでひたすらモフりまくる。毛に鼻を埋めるようにしてくんかくんかのスーハスーハ。



結局、森が茜色に染まるまでひたすら幸せに堕ちていました。
なっちゃんが声を掛けてくれなかったら全く気付かなかったよ。

嫌嫌渋々ワンちゃんから離れる。

「うぅ、嫌だぁ…離れたくない。」

『ご主人様諦めて下さい。この子にもこの子の生活がございます。親だって居るかもしれません。今日はこれくらいにして諦めて帰りましょう。』

「ぐす……分かった。バイバイわんちゃんまたね。」

「わん!」

涙と鼻水だらけでお別れ。
名残惜しいけどこの子にも家族がいる。
また森に来れば会えることを信じて帰ります。


帰還した涙と鼻水まみれの少女を見た衛兵が引いていたのはまた別の話。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...