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不思議な少年
しおりを挟む私はコロック。
自分でも結構頑張ったと思えるくらい大きめの商会の会長を務めている。
現在は帰路の途中。
2つ隣の街に住む親しい友人に迷宮で手に入ったお酒を自慢しに行っていました。
もちろん、自慢した後は一緒に二日酔いする程度には飲み明かしましたよ。
そんな帰り道。
ほろ酔い気分が丁度スッキリしてきた頃に事態は急変しました。
馬車の中でシュトールに到着後の予定を練っている際に、馬と御者の悲鳴そして護衛として長期契約しているジン殿達の大声が危険を知らせてくれる。
恐る恐る窓から外にいるジン殿に声を掛ける。
「ど、どうしましたか?」
「かなりの数の魔物だ!コロックさん、あんたはそのまま中に隠れていろ!」
「は、はい。分かりました!」
外で怯えて動けない御者も馬車の中へ入れて戦況を見守る。
あれは、デススコープ。
Cランク相当の冒険者パーティーでやっと倒せる魔物。ジン殿達なら一度に数匹は相手出来る。
しかし、今回ばかりは数が桁違い。
数十匹なんていくつものパーティーでどうにか対応出来るかどうかです。
いくら腕利きのジン殿達でも無理だ。
私の運も尽きてしまったのかもしれません。
死の香りが諦めろと誘ってくる。
そんな時でした。
私には何が起きたのか分かりませんでした。
ただ理解が追い付かぬ内に、あれほど私達を殺さんとしていたデススコープ共はバラバラと崩れ死んでいました。
そして、その死骸達に最も近い位置にいつの間にやら一人の少年が立っていました。
その少年はまるでさっきまでの戦闘なんて無かったかのように穏やかな表情を浮かべている。
ジン殿達も突然の出来事に呆然としている。
それでもジン殿を皮切りに私を含む全員が少年に助けられた理解出来ました。
少年の名前はユウ。
遠い所からやって来たそうな。
こんなまだ幼さの残る子供があのデススコープを全滅させたなんて到底思えない。しかし、現場は彼が倒したのだと証明している。
実はエルフで私達より年上ってことはないですよね。
そう思った方が納得出来るくらいの強さ。
少年が去ってからジン殿は仰っていましたが、あの場にいた誰もあの子が何をしたのか全く知覚出来なかったらしい。
ジン殿達も彼の強さに色々と聞き出そうとしていましたが笑ってはぐらかされていました。
これほどの強さです、並々ならぬ過去を乗り越えて今があるのでしょう。
ここで深く追及しようなんて思いません。
私は一商人。
商人としての勘がユウ殿と不仲になることを恐れています。
長年信じてきた勘を信じない訳がありません。
この方との縁をどうにか今後にも繋げたい。
そう思い一緒に街まで行かないか誘いましたが駄目でした。
街の情報を聞いたらすぐに行ってしまわれました。
けれど、目的地は同じなのでまた会えるでしょう。
一つ懸念があるとすればシュトールの冒険者ギルド。
ユウ殿は冒険者になるつもりのようでしたが、登録する場所が悪い。
あれに目を付けられれば禄な事しか起きない。
どうかまた再会する日まで無事であって欲しいものです。
ところで、あんなにあったデススコープの死骸がかなり減っています。まさかユウ殿はアイテムボックス持ちなのでしょうか?
早くお会いしたいですね。
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