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脅迫はお願い2
しおりを挟む痛がってばかりで話が全く進まない。なので、慈愛の精神で腕を治してあげた。
リリーの魔法でニョキッと生えた腕を驚いた顔でまじまじと見ている。治って良かったね。
「それでは王子様、改めて俺達からのお願いを聞いてもらえますか?」
「お、お願いだと?こんな仕打ちをして貴様らただで済むと」
「貴様、主君の命に逆らうつもりか?また腕を飛ばしてほしいか?」
主思いのシルヴィアは俺ほど甘くない。腕を飛ばすと言いつつ首に槍先を当てている。
いくら愚かな王子様でも冗談ではないと感じ取ったのか素直に従う。
「ぐっ………分かった。お願いとは何だ?」
「はい、今後勧誘とかまたされるのは面倒くさいのでもう止めて下さい。俺達に関わっても来ないで下さい、とても鬱陶しいのでお願いします。貴方のお父さんにもそれをしっかり伝えて下さいね。」
「ふん、それを伝えたところで我々が大人しく引き下がると思っているのか?」
「はぁー…。」
全くなにこの理解不能な馬鹿は。
いい加減付き合いきれない。
「あのね、別にあんたらがまた勧誘なり殺しに来るなりしようが正直どうでも良いんですよ。ただね、毎回こうやって相手するのがすこぶる面倒くさい訳ですよ。」
「なっ…。」
「なっじゃないです。そっちが何もして来なければ余計な事をしなければ俺達は気にもしません。でも、次また面倒事を連れてくるなら今度は本当にその首を頂きます。」
首を指差す。
ちゃんとこちらが本気と理解して俺にも聴こえるほどの生唾を飲み込んだ。
「い、言いだろう。父上に伝えておこう。だが、あまり自分の力を過信しない方がいいぞ。所詮少数精鋭であろうと大軍の前では蟻に等しいからな。」
そう捨て台詞を吐いて逃げて行く。
死体達はここに放置ですか。
背中をこちらに向けた瞬間、リリー達が確実に殺せる威力の攻撃を加えようとしていたけど手で制しておいた。
『旦那、いいんすか?絶対またろくな事しやせんぜ、あのクソ野郎は。』
「クロの言う通り。主まだ間に合う。殺す?」
二人共可愛い姿で恐ろしい事を口にする。
でも、彼は期待していないけど伝達係に任命したんだから一度っきりのチャンスはあげないと。
「まあまあ皆落ち着いて、彼はちゃんと伝えてくれるよ。それにもしかしたらずっと様子を見ていたそこに居る女の子がどうにかしてくれるかもしれないしね。」
俺達は一斉に左向かいの家の屋根に隠れている人物に視線を送る、ずっと気付いていましたよ。
何もして来ないから敵意は無いと判断して放置してた。
でも、毎回シルヴィア達が王子に殺意を放つ度に動くべきか悩む素振りをしていたから恐らく王様関連でしょう。
視線を送っても一向に姿を見せない。
人を木にしたり顔と胴体を分断するような集団においそれと姿なんて出せないか。
でも、そろそろ配下達のしびれを切らしちゃうぞ。
「おーい!そこに居るのは分かっているから出ておいでー。じゃないとこの子達が何するか分からないよー。」
あ、ビクッとした。
あの光景を見てたなら怖いよね。
ほら、おいでおいで。
ようやく屋根の上から姿をぴょこんと現した。
俺は衝撃を受けてしまった。
クロコと出会った時並の衝撃だ。
現した正体は、忍者のコスプレをした犬耳の女の子。
めちゃくちゃあの耳をモフモフしたい。
うちの配下達にもケモ耳を装備した者はクロコ以外にも居るけどまだ解放していない。
そんな中でのケモ耳、しかも美少女。
生まれた衝動は止められず、スキル『転移』を使って一気に距離を詰める。
もう目の前。
「ひぃっ…。」
めちゃめちゃビビられている。
でも、怯えてケモ耳をペタリさせている姿も可愛らしい。
どうにかお近づきになりたいと思いました。
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