対人恐怖症は異世界でも下を向きがち

こう7

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魔法国家ミストリア

長生きな女王様

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やや閑散気味のギルド。
高難度以外は護衛ばかりなら仕方ない。
僕らは多少難易度高くても問題ないけど新人の冒険者達には厳しい環境だ。
僕のカードに驚いていた受付さんにびくびく聞いてみる。

「あ、あのどうして依頼がご護衛以外難しいのしか無いんですか?」

恐る恐る聞いた質問に受付さんは大きくため息を吐く。
聞いたら不味いことかな?

「この国の魔法師団が優秀なんです。あの女王様の指揮下でこの王都周辺の魔物を掃討するので、魔物がほとんど現れないのです。」

「じょ、女王様?」

「ああ別の地からの方でしたね。この国の女王様は生ける伝説と呼ばれるくらい凄い御方ですよ。ただ謎の多い人ですけどね。何百年も生きてるとか、いつ見ても容貌が変わらないとか。一つの魔法で街を壊滅出来るなど数え出したらきりが無いです。」


それは本当に人間?

「そその人はエルフさんですか?」

「いいえ、見た目は人間ですよ。でも、吸血鬼かもって噂はありますね。」

どんな人なんだろう?
遠くからで良いからチラッとだけ見てみたいな、がっつり会いたくはないけど。

「その女王様の名前はな何て言うんですか?」

「イザベラ様です。気高くて
強い同じ女性として尊敬致しております。」

へぇ、イザベラさんかぁ。
すると、僕の頭がガクガクと震えた。ヴァルさんが小刻みに震え怯えている。

様子がおかしい。
僕は説明してくれた受付さんにお礼を言って急いで一旦宿屋に戻る。
ちゃんと依頼は忘れず受けてきたよ。


宿屋に戻り、ずっと怯え続けるヴァルさんをベッドの上にそっと置く。
心配するチビうささんと一緒に落ち着いてくれるまで撫で続ける。


およそ30分後、まだブルブルするものの焦点が合ってきたヴァルさんに話し掛ける。


「ヴァルさん、どうしたの?体調悪いの?何かあったの?」

「す、すまぬ…。我輩の知り合いの名に似てて怖くなったのである。」

「イザベラ?」

「ひぃっ!そ、そうである。偶然だと思うが、彼奴はしつこかったのである。」

ヴァルさんが言うには何年何十年としつこく迫ってきた雌ドラゴンの名前と一緒らしい。
それでトラウマが蘇ったとのこと。

「ヴァルさん、でもこの国の女王様は人間の姿だよ。だ、大丈夫だよ。」

「ドラゴンは人化も出来る。じゃが、悲観してばかりはおれん。き、気のせいと思い込むのである!」

「そ、そうその意気だよ!」

「「はっはっは……はぁ。」」

偶然と信じたい気持ちと裏腹にため息が漏れる。
もし万が一仮に女王様がヴァルさんを狙ってた雌ドラゴンさんでもそうそう会うことはないはず。
相手は女王、こっちはしがない冒険者。


そうそう会うことは無いはず。……そうであれ。


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