聖女ですが追放されたので、怪しい3人衆と旅をすることにしました。

蒼依月

文字の大きさ
10 / 19
第1章

10話

しおりを挟む
 黒霧館はシオンが倒れた森の中にあった。そしてカタリ村はその森をシオンの国とは反対方向に抜けたあ先にある、とガーラは言った。
村には魔法で行くという。ガーラは一度行ったことがあるらしく、そういった場所には瞬間移動の魔法で一瞬で行けるらしい。想像すれば何でもありなんだ、とガーラは言っていたが、それはかなり高度な魔法なのではとシオンは思う。

(なんだか、ガーラさんの国の国王様がガーラさんを恐れる気持ちがわかるような気がする)

 とはいえやり方に賛同は出来ないが。
 シオンは簡単な旅支度をして館の玄関に向かう。元々持たされた荷物も少なかったことから、特に大荷物になることはなかった。
 玄関にはもう3人が揃っていた。

「すみません、お待たせしました」
「いや。荷物はそれだけか」

 ガーラがシオンの肩掛けカバンを一瞥して言った。

「はい。元からあまり持っていませんから」
「村で何か必要なものがあれば買うといい。金は持っているか?」
「え?あ、聖女として働いていた時にかなり頂きましたので、そこは大丈夫です。必要だったら自分で買えます」

 お金を渡されそうな雰囲気になり、シオンは慌てて断る。ガーラは「そうか」とだけ言った。

「では、行こう」

 刹那、4人の足元に魔法陣が顕現した。
 顔を上げると、ガーラの前に半透明の文字盤が浮かんでいる。
 そこには、『行き先』と書かれていて、その下に地図が開かれていた。

「行き先はカタリ村」
『カタリ村を行き先に設定しました』

 どこからともなくロボットのような声が聞こえて、直後魔法陣に呪文が書き記された。
 その光がまぷしくてシオンは思わず目を閉じる。

「……」

 どれくらいそうしていただろう。
 自分を囲む空気が変わったことに、シオンはようやく気付いた。

「着いた」

 ガーラの声に、弾かれたように顔を上げるシオン。そこはもう、館の玄関ではなかった。

「カタリ村だ」

 木で作られた家が並列している。
 見たところ商店街付近に移動したようだ。活気のある人の声が右から左から聞こえてくる。
 村と言うには少々規模も大きく、繁栄しているような印象を受ける。

「これから村長に会って、詳しい話を聞こう」

 ガーラは1人でどんどん進んでいってしまう。
 集団行動があまりにも取れないガーラに、思わずウェストを見やった。
 彼はふぅ、とため息をひとつして、シオンに向けて肩をすがめてみせる。
 シオンは仕方なしにガーラを追いかけた。

 村長の話によると、魔物はここ1ヶ月で劇的に増え続けているという。村の討伐隊が何とか村への侵入を食い止めているが、負傷者は増えるばかりでもう限界が近い。そこで討伐の依頼を申請したらしい。
 
(よくある話ね。聖女の時もそういう人たちを見てきたわ。でも、魔物が増えた理由は分からないのね。それを調べることから始めないと)

 シオンが思案している間、ガーラも同じことを考えていた。
 ガーラが初老の村長に向かって言う。

「まずは魔物がよく出る場所を教えてください。それからその周辺を調査し、原因を突き止めます」
「お願いします」

 その後も、ガーラを中心に話を聞いて言った4人。街に着いたのは朝だったが、話を聞き終わる頃には昼をまわっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最強お嬢様、王族転生!面倒事は即回避!自由気ままに爆走しますけど何か?

幸之丞
ファンタジー
転生したら――まさかの王族。 豪華な生活は大歓迎だが、政治?儀式?婚約? そんな面倒事、わたしには無理! 「自由に生きるわ。何が悪いの!」 そう考えた主人公エリーゼは、王家の常識を軽々とぶっ壊しながら、 好きなことだけを全力で楽しむ“自由至上主義”の王族ライフを爆走する。 だが、面倒事から逃げているはずなのに、 なぜか家族は勝手に主人公を「天才」「救世主」と勘違いし始め―― 気づけば女神も巻き込む大騒動に発展していく。 面倒は回避、自由は死守。 そんな主人公の“予測不能な王族生活”が今、幕を開ける。

聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。 そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来? エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

王女様は聖女様?おてんば姫の大冒険~ペットのドラゴンが迷子なので冒険者になって探しに行きます!~

しましまにゃんこ
ファンタジー
アリシア王国の第3王女ティアラ姫には誰にも言えない秘密があった。 それは自分が全属性の魔力を持ち、最強のチート能力を持っていた「建国の賢者アリシア」の生まれ変わりであること! 8才の誕生日を境に前世の記憶を取り戻したものの、500年後に転生したことを知って慌てる。なぜなら死の直前、パートナーのドラゴンに必ず生まれ変わって会いにいくと約束したから。 どこにいてもきっとわかる!と豪語したものの、肝心のドラゴンの気配を感じることができない。全属性の魔力は受け継いだものの、かつての力に比べて圧倒的に弱くなっていたのだ! 「500年……長い。いや、でも、ドラゴンだし。きっと生きてる、よね?待ってて。約束通りきっと会いにいくから!」  かつての力を取り戻しつつ、チートな魔法で大活躍!愛する家族と優しい婚約者候補、可愛い獣人たちに囲まれた穏やかで平和な日々。 しかし、かつての母国が各国に向けて宣戦布告したことにより、少しずつ世界の平和が脅かされていく。 「今度こそ、私が世界を救って見せる!」 失われたドラゴンと世界の破滅を防ぐため、ティアラ姫の冒険の旅が今、始まる!   剣と魔法が織りなすファンタジーの世界で、アリシア王国第3王女として生まれ変わったかつての賢者が巻き起こす、愛と成長と冒険の物語です。 イケメン王子たちとの甘い恋の行方もお見逃しなく。 小説家になろう、カクヨムさま他サイトでも投稿しています。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

追放された聖女は旅をする

織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。 その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。 国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。

処理中です...