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第1章
11話
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スイが飽きたように足をぶらつかせている。
「スイ」
シオンは小声でスイを嗜めた。すると村長は優しい笑顔をスイに向けた。
「スイ様には退屈な話でしたな。長々とお話して申し訳ない」
「いや、こちらこそすまない」
ガーラがスイを静かに睨めつける。
「スイ、大人しくしなさい」
「でも飽きたんだもん。スイ、難しいお話分かんない!」
村長が笑った。
「スイ様、良ければ街を見てってください」
「え!いいの?」
「ええ、もちろん。自慢の商店街が近くにありますので、是非」
スイは「やったぁ」と言いながら部屋を出ようとする。シオンは慌ててそれを追いかけた。
「あ、待ってスイ!ひとりじゃ駄目!すみません、私も抜けてもいいですか?」
「ええ。行ってあげてください」
心の広い人でよかったとシオンは頭を下げて、部屋を出た。
街中でスイを探すシオン。
「スイー?どこ行ったの?お願い1人で行かないで!」
焦るシオンだったが、探し人は意外と早く見つかった。
「シオンお姉ちゃん!ここ!」
「スイ!」
駆け寄ってくるスイをシオンは思い切り抱きとめた。
「スイ、お願いだから1人でどこかに行かないで」
「どうして?」
「私が心配するの。スイがいなくなったら私悲しいよ」
スイはよく分からないというふうに首を傾げて、それでも大きく頷いてくれた。
「分かった!」
「約束よ」
「うん!ねえシオンお姉ちゃん、綺麗なの見つけたの!一緒に来て!こっち!」
スイに強く手を引かれ、シオンはつんのめるように駆け出した。
待ってと言っても聞かないスイに大人しくついて行くと、そこは大きな花屋だった。
だが花屋にしては雰囲気がある。なかでカフェでもやっているのだろうか。
錆びたシャンデリアが店内をほのかに照らしている。よく見るとドライフラワーも置いているようだ。店頭には生花しか置いてないが、ウィンドウから見える店内にはハーブやコットンなんかも置いてある。
「素敵なお店ね」
「あらありがとう」
突然後ろから返事がして、シオンは振り返る。そこには空のプランターをいくつも重ねて持っている女性が立っていた。
「あ、ごめんなさいね突然。私、この店のオーナーよ。リモっていうの。よろしくね。今ちょうどプランターを買い足しに行ってて、さ、入って。中も見てってちょうだい」
リモはそう言ってシオン達を中に入れてくれた。
店の名前は『レーヴ』というらしい。カフェは無く、生花やドライフラワーなど植物全般を取り扱う店だとリモが教えてくれた。
彼女さこの店の落ち着いた雰囲気を壊さない出で立ちだった。
白いブラウスに黒いフレアのスカート、黒革のブーツを履いている。茶色の髪は長く、顔の横で三つ編みにされていた。
「何か探しているの?」
「あ、いいえ、そういう訳では無いのですが、お店の雰囲気がとても良くて見入ってしまって。お花も、とても良い香りで綺麗ですし、なんだか勝手に笑顔になってしまいますね」
「ふふ、嬉しいわ。ここね、私の自慢のお店なの。全部私の趣味なんだけど、中々いいでしょ」
「はい、とても」
ふと視線をずらすと、スイが長細い白い花をじっと見つめている。リモがスイに近付いてしゃがんだ。
「このお花はね、カラーっていうのよ。スラーっとしてて綺麗でしょ?」
「うん!あのね!これ1本ちょうだい」
「え?スイ、ちょっと待って」
シオンは慌ててスイの口を手で塞いだ。
「スイ」
シオンは小声でスイを嗜めた。すると村長は優しい笑顔をスイに向けた。
「スイ様には退屈な話でしたな。長々とお話して申し訳ない」
「いや、こちらこそすまない」
ガーラがスイを静かに睨めつける。
「スイ、大人しくしなさい」
「でも飽きたんだもん。スイ、難しいお話分かんない!」
村長が笑った。
「スイ様、良ければ街を見てってください」
「え!いいの?」
「ええ、もちろん。自慢の商店街が近くにありますので、是非」
スイは「やったぁ」と言いながら部屋を出ようとする。シオンは慌ててそれを追いかけた。
「あ、待ってスイ!ひとりじゃ駄目!すみません、私も抜けてもいいですか?」
「ええ。行ってあげてください」
心の広い人でよかったとシオンは頭を下げて、部屋を出た。
街中でスイを探すシオン。
「スイー?どこ行ったの?お願い1人で行かないで!」
焦るシオンだったが、探し人は意外と早く見つかった。
「シオンお姉ちゃん!ここ!」
「スイ!」
駆け寄ってくるスイをシオンは思い切り抱きとめた。
「スイ、お願いだから1人でどこかに行かないで」
「どうして?」
「私が心配するの。スイがいなくなったら私悲しいよ」
スイはよく分からないというふうに首を傾げて、それでも大きく頷いてくれた。
「分かった!」
「約束よ」
「うん!ねえシオンお姉ちゃん、綺麗なの見つけたの!一緒に来て!こっち!」
スイに強く手を引かれ、シオンはつんのめるように駆け出した。
待ってと言っても聞かないスイに大人しくついて行くと、そこは大きな花屋だった。
だが花屋にしては雰囲気がある。なかでカフェでもやっているのだろうか。
錆びたシャンデリアが店内をほのかに照らしている。よく見るとドライフラワーも置いているようだ。店頭には生花しか置いてないが、ウィンドウから見える店内にはハーブやコットンなんかも置いてある。
「素敵なお店ね」
「あらありがとう」
突然後ろから返事がして、シオンは振り返る。そこには空のプランターをいくつも重ねて持っている女性が立っていた。
「あ、ごめんなさいね突然。私、この店のオーナーよ。リモっていうの。よろしくね。今ちょうどプランターを買い足しに行ってて、さ、入って。中も見てってちょうだい」
リモはそう言ってシオン達を中に入れてくれた。
店の名前は『レーヴ』というらしい。カフェは無く、生花やドライフラワーなど植物全般を取り扱う店だとリモが教えてくれた。
彼女さこの店の落ち着いた雰囲気を壊さない出で立ちだった。
白いブラウスに黒いフレアのスカート、黒革のブーツを履いている。茶色の髪は長く、顔の横で三つ編みにされていた。
「何か探しているの?」
「あ、いいえ、そういう訳では無いのですが、お店の雰囲気がとても良くて見入ってしまって。お花も、とても良い香りで綺麗ですし、なんだか勝手に笑顔になってしまいますね」
「ふふ、嬉しいわ。ここね、私の自慢のお店なの。全部私の趣味なんだけど、中々いいでしょ」
「はい、とても」
ふと視線をずらすと、スイが長細い白い花をじっと見つめている。リモがスイに近付いてしゃがんだ。
「このお花はね、カラーっていうのよ。スラーっとしてて綺麗でしょ?」
「うん!あのね!これ1本ちょうだい」
「え?スイ、ちょっと待って」
シオンは慌ててスイの口を手で塞いだ。
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