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第1章
17話
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ガーラがふっと顔をあげた。それと同時、彼の背後に無数の短剣が現れる。
スイの三叉槍は周りのユウムを追いかけながら確実にガーラへと誘導している。
その間にも、シオンはウェストが連れてきた村の人間から、ユウムを引き離す。
「逃ゲロ逃ゲロ逃ゲロ!!」
ユウムが言いながらヒュンヒュンと風をきって文字通り逃げまわる。背後の三叉槍を振り返りながら逃げまどい、しかし彼らが逃げついた先はガーラの眼前だった。
ユウムがその事実に気づいた時には、もう遅い。
ガーラは真っ直ぐユウムの群れを見据え、静かに右手を上げると彼の背後で浮遊していた短剣の刃が一気にユウムに向いた。
「ヒッ」
「消えなさい」
ガーラの指先が前方に向けて動いた。それに連動するように、短剣がユウムに向かって飛んでいく。
飛んでいった短剣は次々にユウムを襲った。短剣が刺さる度に、ユウム達は悲痛な叫びを上げて消えていく。
「ガーラさん!あと一体──」
シオンが取り憑かれた男の村人から最後のユウムを引き離しガーラを振り返る。その一体がシオンに向かって威嚇した時、そのこめかみに短剣が刺さった。ユウムはシオンの目の前で霧のように消えた。
一瞬のことに驚いて、声も出ない間にすべてが終わっていた。森の中に再び静寂が訪れる。ユウムは、一掃された。村人も全員ユウムから引き離した。今は気を失っているが、きっと数日以内には目を覚ますだろう。
シオンは辺りを見回し目を閉じる。ユウムの気配は、感じられない。
終わったのだ。
「ガーラさん。スイ、ウェストさん、終わったようです」
ウェストが鼻をひくつかせてから、にっとその大きな口で笑った。
「辺りにユウムの匂いも無いし、本当にこれで終わったようだな」
ガーラが頷く。スイの三叉槍はいつの間にか無くなっていた。自由に出したり消したり出来る物なのだろうか。シオンには分からない。
「帰ろう」
ガーラが一言そう言うと、スイもそれに続いて、来た道を歩き出す。ウェストは特に具合の悪そうな村人を2人脇に抱えてガーラ達の後に付いていった。
「え、ちょ、ちょっと!」
シオンは慌てて3人の後を追いかけた。
ガーラが向かったのは村長の家だった。ガーラからユウムの討伐が済んだことを聞いた村長は驚いた様子だったが、ウェストが連れてきた村人を見て、嘘ではないことを確信せざるを得なかった。
「残りの者たちは森にいる。早めに迎えに行ってあげた方がいいだろう」
「分かりました」
村長は若者を何人か集め、森に行かせた。
ウェストが連れて帰った村人の顔色はかなり悪かった。今にも口から何かを吐き出しそうだ。2人を介抱していた女性の一人がシオンに訊ねた。
「あの、大丈夫なんでしょうか。かなり具合が悪そうなのですが……」
「それなら大丈夫です。数日も眠れば回復するでしょう」
「そ、そうですか。あともう一つ……聞きたいことがあって」
「はい」
シオンが愛想よく頷くと、女性は、横になり苦しそうに呻く男性を見やって言った。
「ユウムって確か取り憑かれたらもう、ユウムと一緒に退治されるって聞いて。だから……」
「それも心配ありません。取りつかれた村の方々は全員ユウムを彼らから引き離してから、ユウムだけを退治しましたから」
女性は驚いたように目を見開いた。
「そのようなこと、出来るのですか?聞いたことないです」
「それは……」
どう伝えようか迷っていた時、後ろからはっきりと返答が降ってきた。
「出来る。彼女なら」
答えたのは、ガーラだ。シオンの横に立って、彼女の肩に優しく手を回した。
その反対側に、スイとウェストもやってくる。
「シオンは特別。だからシオンにしか出来ない」
「俺たちの自慢の仲間だ」
それを黙って聞いていたシオンの胸に温かな感情が湧いてくる。シオンは髪に挿したカラーの花を触った。
3人に出会ってから、胸のあたりがどんどん熱を帯びていくのを感じる。まるで、城に仕えていた時には、心が何も感じていなかったのかと思うほどに、3人はシオンに沢山の知らない感情を与えてくれる。
(これを、なんて言い表したらいいのか分からない)
でも、嫌ではない。
女性は、目を伏せて頬をほころばせるシオンを見て、優しく微笑んだ。
「本当に、ありがとうございました」
「いいえ。私に出来ることでしたら、またお力になります」
シオンが笑顔で伝えると、女性は深々と頭を下げて男性のもとに戻っていった。
スイの三叉槍は周りのユウムを追いかけながら確実にガーラへと誘導している。
その間にも、シオンはウェストが連れてきた村の人間から、ユウムを引き離す。
「逃ゲロ逃ゲロ逃ゲロ!!」
ユウムが言いながらヒュンヒュンと風をきって文字通り逃げまわる。背後の三叉槍を振り返りながら逃げまどい、しかし彼らが逃げついた先はガーラの眼前だった。
ユウムがその事実に気づいた時には、もう遅い。
ガーラは真っ直ぐユウムの群れを見据え、静かに右手を上げると彼の背後で浮遊していた短剣の刃が一気にユウムに向いた。
「ヒッ」
「消えなさい」
ガーラの指先が前方に向けて動いた。それに連動するように、短剣がユウムに向かって飛んでいく。
飛んでいった短剣は次々にユウムを襲った。短剣が刺さる度に、ユウム達は悲痛な叫びを上げて消えていく。
「ガーラさん!あと一体──」
シオンが取り憑かれた男の村人から最後のユウムを引き離しガーラを振り返る。その一体がシオンに向かって威嚇した時、そのこめかみに短剣が刺さった。ユウムはシオンの目の前で霧のように消えた。
一瞬のことに驚いて、声も出ない間にすべてが終わっていた。森の中に再び静寂が訪れる。ユウムは、一掃された。村人も全員ユウムから引き離した。今は気を失っているが、きっと数日以内には目を覚ますだろう。
シオンは辺りを見回し目を閉じる。ユウムの気配は、感じられない。
終わったのだ。
「ガーラさん。スイ、ウェストさん、終わったようです」
ウェストが鼻をひくつかせてから、にっとその大きな口で笑った。
「辺りにユウムの匂いも無いし、本当にこれで終わったようだな」
ガーラが頷く。スイの三叉槍はいつの間にか無くなっていた。自由に出したり消したり出来る物なのだろうか。シオンには分からない。
「帰ろう」
ガーラが一言そう言うと、スイもそれに続いて、来た道を歩き出す。ウェストは特に具合の悪そうな村人を2人脇に抱えてガーラ達の後に付いていった。
「え、ちょ、ちょっと!」
シオンは慌てて3人の後を追いかけた。
ガーラが向かったのは村長の家だった。ガーラからユウムの討伐が済んだことを聞いた村長は驚いた様子だったが、ウェストが連れてきた村人を見て、嘘ではないことを確信せざるを得なかった。
「残りの者たちは森にいる。早めに迎えに行ってあげた方がいいだろう」
「分かりました」
村長は若者を何人か集め、森に行かせた。
ウェストが連れて帰った村人の顔色はかなり悪かった。今にも口から何かを吐き出しそうだ。2人を介抱していた女性の一人がシオンに訊ねた。
「あの、大丈夫なんでしょうか。かなり具合が悪そうなのですが……」
「それなら大丈夫です。数日も眠れば回復するでしょう」
「そ、そうですか。あともう一つ……聞きたいことがあって」
「はい」
シオンが愛想よく頷くと、女性は、横になり苦しそうに呻く男性を見やって言った。
「ユウムって確か取り憑かれたらもう、ユウムと一緒に退治されるって聞いて。だから……」
「それも心配ありません。取りつかれた村の方々は全員ユウムを彼らから引き離してから、ユウムだけを退治しましたから」
女性は驚いたように目を見開いた。
「そのようなこと、出来るのですか?聞いたことないです」
「それは……」
どう伝えようか迷っていた時、後ろからはっきりと返答が降ってきた。
「出来る。彼女なら」
答えたのは、ガーラだ。シオンの横に立って、彼女の肩に優しく手を回した。
その反対側に、スイとウェストもやってくる。
「シオンは特別。だからシオンにしか出来ない」
「俺たちの自慢の仲間だ」
それを黙って聞いていたシオンの胸に温かな感情が湧いてくる。シオンは髪に挿したカラーの花を触った。
3人に出会ってから、胸のあたりがどんどん熱を帯びていくのを感じる。まるで、城に仕えていた時には、心が何も感じていなかったのかと思うほどに、3人はシオンに沢山の知らない感情を与えてくれる。
(これを、なんて言い表したらいいのか分からない)
でも、嫌ではない。
女性は、目を伏せて頬をほころばせるシオンを見て、優しく微笑んだ。
「本当に、ありがとうございました」
「いいえ。私に出来ることでしたら、またお力になります」
シオンが笑顔で伝えると、女性は深々と頭を下げて男性のもとに戻っていった。
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