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第2章
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ルネが起きてきたのは、ミカエルが街から帰って来て30分も経たないくらいの時間だった。
「おはようございます。ミカエル様」
「おはよう、ルネ」
ルネに顔を洗うよう勧め、ミカエルは先程買ってきたサンドイッチとフルーツジュースを低いテーブルに置いた。
ルネが戻ってきて、まぁ美味しそう、と花にも負けない笑顔で言ったので、ミカエルは目を細める。
「ここから1番近い街に行ってきたが、まだ君が攫われたというような情報が流れている様子は無かった。ここはイリス国ではないから、まあ暫くは心配しなくても大丈夫だろう」
「その街というのは、イリスですか?」
「いや、隣国だ」
それを聞いて、ルネは大事なことを聞いていなかったことに気が付く。
「そういえば、ここはどこなのですか?ミカエル様の家だということは昨日教えていただきましたが、詳しい場所を聞いていません」
「ここはどこの国にも属していない、不可侵の森だ。君も名前くらいは聞いているんじゃないか?」
「あまり深くは知りませんが、イリス国と隣国の間にある、どこの領地にも属していない森だと、家庭教師が言っていましたわ。たしか、詳しい広さは不明で、魔物や凶暴な動物が多く生息していて、ほぼ人が入り込む事はないと、皆が恐れている場所だと聞いております」
ルネは少し心配になって、サンドイッチを食べる手を止めた。
そんな所で寝ていたとは。何も知らなかったとはいえ、無防備すぎる自分に寒気がする。分かりやすく怯え始めるルネに、ミカエルは、大丈夫だと東側の窓に目を向けた。ルネからすると斜め後ろだ。
「ここには誰も入れないように結界魔法が張ってある。私が死なない限り、ここに君が今考えているようなものは入れない」
「そう、なのですね」
ルネもつられてそちらを見やるが、大きな木々以外何も見えない。もう一度ミカエルに視線を戻して見ると、ミカエルはじっと同じ窓を見ていたが、木々ではないその向こうの何かを見つめているようだった。
「ミカエル様?」
「ん?なんだ?」
「あ、いいえ、なんでも」
ルネはかぶりを振ってまたサンドイッチを口に運んだ。ルネが選んだのはレタスとハムが挟まれたお腹に優しそうなものだった。ミカエルは、卵とレタスが挟まれたものだ。どちらも脂分が少なく、脂っぽいものが苦手なルネの事を考えて選んだのだろうなということが、手に取るようにわかる。ルネは少し嬉しくなって、目を伏せた。
朝食を食べ終えてしばらく、ミカエルはさて、と不意にルネを見つめた。
「ルネ、昨日君に言ったことだが、私は君に魔法を覚えてもらいたいと思っている。私が教えよう」
「ミカエル様、昨日も言いましたが、私は魔法が本当に使えないのです。家庭教師もお手上げの問題児なんです」
「今日の世界に、魔力があり魔法が使えない者は居ない。それは、君が無意識に魔力を制限しているからだと私は思っている。君は昨日、自分には膨大な魔力量があるといっていたな。そしたら、魔法が使えないはずはないんだ」
「でも実際に使えないのです。1度見ていただければ信じていただけるはずです」
ミカエルは挑むような姿勢でにやりと笑った。
「では、見せてもらおうか」
「え…」
(まさか、これを狙ってたのかしら。まんまとミカエル様に誘導されてしまったみたいだわ)
「おはようございます。ミカエル様」
「おはよう、ルネ」
ルネに顔を洗うよう勧め、ミカエルは先程買ってきたサンドイッチとフルーツジュースを低いテーブルに置いた。
ルネが戻ってきて、まぁ美味しそう、と花にも負けない笑顔で言ったので、ミカエルは目を細める。
「ここから1番近い街に行ってきたが、まだ君が攫われたというような情報が流れている様子は無かった。ここはイリス国ではないから、まあ暫くは心配しなくても大丈夫だろう」
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「いや、隣国だ」
それを聞いて、ルネは大事なことを聞いていなかったことに気が付く。
「そういえば、ここはどこなのですか?ミカエル様の家だということは昨日教えていただきましたが、詳しい場所を聞いていません」
「ここはどこの国にも属していない、不可侵の森だ。君も名前くらいは聞いているんじゃないか?」
「あまり深くは知りませんが、イリス国と隣国の間にある、どこの領地にも属していない森だと、家庭教師が言っていましたわ。たしか、詳しい広さは不明で、魔物や凶暴な動物が多く生息していて、ほぼ人が入り込む事はないと、皆が恐れている場所だと聞いております」
ルネは少し心配になって、サンドイッチを食べる手を止めた。
そんな所で寝ていたとは。何も知らなかったとはいえ、無防備すぎる自分に寒気がする。分かりやすく怯え始めるルネに、ミカエルは、大丈夫だと東側の窓に目を向けた。ルネからすると斜め後ろだ。
「ここには誰も入れないように結界魔法が張ってある。私が死なない限り、ここに君が今考えているようなものは入れない」
「そう、なのですね」
ルネもつられてそちらを見やるが、大きな木々以外何も見えない。もう一度ミカエルに視線を戻して見ると、ミカエルはじっと同じ窓を見ていたが、木々ではないその向こうの何かを見つめているようだった。
「ミカエル様?」
「ん?なんだ?」
「あ、いいえ、なんでも」
ルネはかぶりを振ってまたサンドイッチを口に運んだ。ルネが選んだのはレタスとハムが挟まれたお腹に優しそうなものだった。ミカエルは、卵とレタスが挟まれたものだ。どちらも脂分が少なく、脂っぽいものが苦手なルネの事を考えて選んだのだろうなということが、手に取るようにわかる。ルネは少し嬉しくなって、目を伏せた。
朝食を食べ終えてしばらく、ミカエルはさて、と不意にルネを見つめた。
「ルネ、昨日君に言ったことだが、私は君に魔法を覚えてもらいたいと思っている。私が教えよう」
「ミカエル様、昨日も言いましたが、私は魔法が本当に使えないのです。家庭教師もお手上げの問題児なんです」
「今日の世界に、魔力があり魔法が使えない者は居ない。それは、君が無意識に魔力を制限しているからだと私は思っている。君は昨日、自分には膨大な魔力量があるといっていたな。そしたら、魔法が使えないはずはないんだ」
「でも実際に使えないのです。1度見ていただければ信じていただけるはずです」
ミカエルは挑むような姿勢でにやりと笑った。
「では、見せてもらおうか」
「え…」
(まさか、これを狙ってたのかしら。まんまとミカエル様に誘導されてしまったみたいだわ)
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