いつか君に伝えたい。

ゆこ

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番外編

番外編③最終回。彗ちゃんの恋~

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私は、中野 彗。パティシエの中野ハルと春川ななみの娘。

この話は、私の初恋の話。
私が5歳の頃、島に引っ越してきた。年が近い、せとか、せいに出会った。
でも私が恋した相手は、年上。
轟ファームに居た、柚希くんの弟さんの理音(りおん)お兄ちゃん。
私の日本に住んで困ったときの相談役だった。
でもね、理音お兄ちゃんには‥‥。


「理音お兄ちゃん!!」
今日もカッコいい。

「彗~!どうしたの?」
「牛さんに会いに来たの。ママとパパが大変そうだったから来ちゃった。」
「そっか。牛も彗が来てくれて喜んでるぞ。」
牛を見ると私に寄ってくる。相変わらず可愛いなぁ‥‥。
「おい!理音!」
「んだよ!あ‥‥ごめんちょっと兄貴に呼ばれた。ごめんな。彗。多分もうじきにせと、せいが保育園から帰ってくるから、座って待ってな?」

理音お兄ちゃん、行っちゃった‥‥。もう少し話したかったなぁ。
って思って牛を見ながら座っていたら、せとかとせいを連れた、華ちゃんが居た。

「ありゃま‥‥彗ちゃん!ママかパパは?」
「ママとパパはね、忙しそうだったから牛さん、ひとりで見に来たよ!」
「まぁ仕方ないね!ママに電話しとくね?せと、お部屋に連れていってあげて?」
「うん‥‥。」

こども部屋に連れてきてくれた。せとかの部屋は、動物のポスターとか本が沢山だった。
「せとか。動物多くない‥‥?ゲームとかじゃないのね‥‥。」
せとかは目を合わせないで話す。きっと人見知りだから。
「僕、ゲームより動物の方が好き。」
「そっか‥‥。」話が終わってしまった。
そんなときに華ちゃんがおやつを持ってきてくれた。

「華ちゃん、ありがとう!私、轟牛乳大好きなんだ!!」
轟牛乳は、他の物より濃厚だから大好き。

「理音お兄ちゃん‥‥。お仕事忙しいの?」
「理音くんはね、明日大事な人が帰国するから明日休むために沢山仕事してるんだよ~。」
「そっか‥‥。」そう言ってしょぼんってなってた。
大事な人ってお友だちかな‥‥?

「彗ちゃんは、理音くんが好きなんだね?」
「うん‥‥好き。結婚したいの。」
「そっか‥‥。」
きっと華ちゃんはなにか言おうとしたけど言わないんだ‥‥。

でもひとり空気を読まない人が居た‥‥。
「え?理音おにいたん、桃子(とうこ)おねえたんと結婚するんでしょ?ママなに行ってるの?」
きっと華ちゃんは言わないようにしてたのに、せいが言った。
桃子ちゃん‥‥。パパの妹。私の大好きなお友だちな存在‥‥。私知らなかったよ‥‥。

きいてたよ。桃子ちゃんが帰ってくること‥‥。
辛い‥‥。私の初恋‥‥。

「華ちゃん‥‥ありがとう。私帰るね!お邪魔しました。」
そう言って、ひとりで帰ろうと道路に飛び出した瞬間、車が出てきた。

く・る・ま‥‥?ママごめんなさい‥‥。

引かれると思った瞬間、誰かが助けてくれた。
「彗ちゃん!すい‥‥‥‥!!!」ここで意識が無くなってしまった。


気づいたら、病院だった。
「彗?彗?彗!?やっと起きた!」
「ママ‥‥?怖かったぁぁぁーうぅ‥‥うわぁぁんー。」
涙が止まらなかった。でも身体は少し痛かっただけだった‥‥。
泣き止んだ頃にママに超怒られた。
聞いた話、助けてくれたのは1日早く帰国した、桃子ちゃん。
早く避けたから桃子ちゃんにも怪我はなし。私は気絶しただけ‥‥。
私がママに怒られた後にママが華ちゃんに怒られてた‥‥。
「ななみ。彗ちゃんを目を離した私が悪い。ごめん。けどお店が忙しいのはわかるけど彗ちゃんの話も聞きなよ?わかった?あと、桃子ちゃんの話もしなさい!っも!」
桃子ちゃんは、お見舞い来てくれた。
「桃子ちゃん‥‥。ありがとう。」
「ビックリしたよー彗ちゃんが出てきたから。でも聞いた。理音カッコいいよね!」
「桃子ちゃん!怒らないの?桃子ちゃんも理音お兄ちゃんが好きになったんだよ?」
「別に怒ってない!理音カッコいいもんね!優しいし!今日から彗ちゃんはライバルだね?」

そう話した後、桃子ちゃんは私と沢山理音お兄ちゃんの話をしてくれた。
高校の時に第一ボタン争奪戦で女子に追っかけ回されたとか‥‥。

でも失恋する時は、そんなに遅くなかった。
「お兄ちゃん、結婚する事になった。」
お兄ちゃんに会う度に好きっていってたからもう、好きなことは伝わっていた。
私は頭が真っ白になった‥‥。

そっか‥‥。ひとりになった瞬間、涙が止まらなかった。

結婚式‥‥本当は行きたくなかった。でも
「桃子ちゃん、理音お兄ちゃん、おめでとう。」
きっと桃子ちゃんは幸せになれる。そう思った‥‥。

~彗の恋   FIN~




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