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4 溝口陽太 12年前
25 タトゥー
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「畑?」
「はい。猫がいましたよ。野良猫です!」
「そうなんだ。知らなかった」
「係の人たちで、餌とかあげようって話してるんです。先生に相談したらご飯用意してくれるって」
幸平はにこやかに「いいね」と相槌を打つ。それから不意にバス停の方へ向けた。
話している最中なのにタタっと走り出す。何事かと思えば、お婆さんがバスに乗り上がるのに四苦八苦していて、それを助けに行ったらしい。
「幸平先輩って優しいですよね」
ふと、隣の室井が呟いた。
彼は幸平を眩しそうに見つめている。
「あ、うん」と返すと、室井はようやくこちらを見上げた。
「幸平先輩って……幸平って、やさしい名前ですよね。名が体を表してますよね」
「そうかも」
「溝口先輩、本当にいつも幸平先輩と一緒にいません? なんでですか?」
「なんでって?」
室井は、幸平や陽太が所属する美化委員の後輩だ。主に花壇や畑を担当している。生物委員がない代わりに、美化委員の仕事は多い。
陽太へ話しかけてきたかと思えば、お目当ては近くにいる幸平であるのが彼の通常だ。むしろ、室井は幸平一人だけに話しかけることはせず、陽太が傍にいる間を見計らう。
一度だけ、一人でいる幸平に室井が近づいて、その後引き返すのを見たことがある。
幸平と話している最中は早口になるが、こうして陽太と話している時には気を抜いたように落ち着いている。
「タイプが違いませんか? なんで仲良いんだろうって」
「幼馴染だから」
素っ気なく答えると、室井は笑みを消して、何だか寂しそうに呟いた。
「幸平先輩と? いいなぁ」
室井は切なげな目をして幸平を眺めている。
独り言みたいに言った。
「溝口先輩と、幸平先輩って、喋り方似てますよね」
「そう?」
「ずっといるから、幸平先輩みたいになるんですかね」
「……」
「幸平先輩は、溝口先輩みたいな人といるのが落ち着くのかなぁ」
何だろう、これ。
やけに胸がモヤモヤして焦る。
帰ってきた幸平に室井が「今なら猫まだいますよ。見に戻りません?」と真っ先に持ち掛けた。幸平は明るく「いいね」と頷き、
「陽太くんも見に行こう」
と何の疑いもなく笑顔を向けてくる。
陽太は少しの沈黙の後、「二人で行ってきて。俺、用事あるから」とにこやかに告げる。
不思議そうに首を傾げた幸平だが、すかさず室井が「わかりました」と反応した。それから一呼吸おいて、「幸平先輩、行きましょう」と笑顔を浮かべる。
その妙な間に気付かない幸平は、まだ不思議そうな顔をしていたが、やがて、
「じゃあ、また明日」
と陽太へ手を振り、学校へ戻っていった。
陽太はその場に立ち尽くしている。何だろう、これ、とかすかに口にした。
何だろう。最近、室井と幸平が話しているとやけに焦って、心が重くなる。あの二人が共にいるのを見たくない……。と、遅れて、幸平を学校へ向かわせるのではなく、理由を付けて一緒に帰らせればよかったのだと気付いた。
なんかな。俺は『コウちゃん』なのに、あいつは『幸平』と呼んでるし……。
モヤモヤ、うずうず。気になって仕方なくなり、陽太も学校へ戻ろうか考えたが、やめた。後ろ髪を引かれる思いで通学路を歩く。
たった今し方までの会話を思い出してみる。幸平は、修学旅行を迷っていた。
笑って言っていたけれど、きっと身体の傷は幸平にとってかなりの負担で、制約を齎している。陽太が初めてきちんと、彼の体に残る夥しい傷跡を見たのは、以前に幸平と進が風邪を引いて陽太の家にやってきた時だ。
眠る幸平が寝苦しそうなので、体を拭いてやろうとしただけ。でも陽太は怯んでやめてしまった。
あの体は、衝撃的だった。
——「なんでスミレは彫り師になったわけ?」
不意に、脳裏を過ぎるのはついこの間の会話だ。
スミレは近頃、頻繁に我が家へやってくる。母の体調が日に日に悪くなっているからだ。陽太もまた、中学に上がったあたりから彼女の世話をするため度々学校を休んでいる。
「そんなことを真剣に聞いてくる年になったとはな」
スミレは目を細めて言った。
それから、少しだけ教えてくれる。
「俺が初めてタトゥーを見たのは、日本じゃない」
優しい目をしていた。
「かなりの爺さんだった。戦地でな、捕虜の証として入れられていた。その上に新しい絵を描いたんだとよ」
車の塗料でイタズラみたいに刻まれた刺青を隠すように、新しい絵を彫ったらしい。
「俺が初めて彫りを入れた男は、ここんとこにでっかい手術痕があった」
スミレは次に、己の足を指差した。
「十八の男だった。あれからアイツは真っ直ぐ立つようになった。背筋がピンと張ってさ。ファッションで入れるやつもいる。日本じゃ偏見はあるけど、偏見だってたまにはいいもんだぜ。アミが入れたのだってそのためだ」
アミは陽太の母のことだ。確かに腕には、タトゥーが入っている。
「触られなくなったからな」
スミレは暗い顔をしていた。
どうやら母は、弱い自分を危険な人間に見せるため、わざと入れたらしい。
もちろん弊害はある。その一つが、銭湯などだ。陽太としては不思議でならない。曰く、周りに威圧を与えるかららしいが、陽太がタトゥーを入れている人間を恐れたことはないし、人は見かけによらないと知っている。
でも、その見かけが及ぼす影響を求めてタトゥーを入れる人間もいる。でも、何もしていないのに銭湯やプールを楽しめない子もいる。
幸平は多分、一生人前で自分の体を晒さないのだと思う。そしてそれは、幸平だけだ。幸平の周りに仲間はいない。幸平にとっての仲間はむしろ、サウナに入れない人たち。
考えれば考えるほど、怒りみたいなものが湧いてくる。
どうして幸平だけいつも、違うのか?
少しでも同じになりたい。
今日も繰り返し自問自答しつつ、自宅付近まで帰ってくる。ぼうっとしていて、初めは気づくのに遅れた。
そして、ソレを見た瞬間、心臓が止まる思いになった。
「……あ」
幸平のアパート。階段の傍に、あいつがいる。
あいつ。あいつだ。幸平の、父親。
啞然と硬直すると、向こうが陽太に気付いた。最初は睨みつけてきたが、何か閃いた目をして、こちらに近寄ってくる。
初めて、目の前からその男を見た気がする——……
あ、だめだ。と思った。
違う。全然違う。普通じゃない。これが本物だ。タトゥーを入れただけでは取り繕えない、やばい人間の空気。
目つきが違う。歩き方が変だ。「おい」と呼びかけられると頭が真っ白になった。空洞みたいな黒い目が陽太を見つめている。恐怖で硬直して、動けない。
これを幸平は見てきたのか。
これを見上げてきたか。
――「何してんだよ」
後ろから怒鳴り声がした。
聞き慣れた声で、呪いが解けるように体が動く。
振り返ると、大男が立っている。
「スミレ……」
「陽太に何の用だ」
スミレは短く言って、幸平の父親を睨みつける。
そいつはスミレを見ると、明らかに怯んだ目をした。スミレの腕や首を見たのがわかる。
たった一瞬、見ただけだ。
それからグッと何か飲み込む顔をして、一歩後ずさり、「別に」と吐き捨てた。
「別に? は? さっきからこの辺うろうろしてっけどさ」
と、そこまで言ったところで、男は背を向けた。「ウルセェよ」とか何とかぼやきながらあっという間に去って行ってしまう。
隣のスミレが「何だあいつ」と舌打ちした。足元を見ると、我が家のサンダルだ。突然現れたと思ったけれど、元から陽太の家にいたらしい。スミレが片眉を上げた。
「あいつさ、もしかしてお前の親友の——……」
「俺にも入れて」
陽太は自然と口にしていた。
スミレは少しだけ目を丸くして、陽太を見下ろした。
陽太は繰り返した
「俺にも入れて。それ。タトゥー、俺にも必要だから」
「はい。猫がいましたよ。野良猫です!」
「そうなんだ。知らなかった」
「係の人たちで、餌とかあげようって話してるんです。先生に相談したらご飯用意してくれるって」
幸平はにこやかに「いいね」と相槌を打つ。それから不意にバス停の方へ向けた。
話している最中なのにタタっと走り出す。何事かと思えば、お婆さんがバスに乗り上がるのに四苦八苦していて、それを助けに行ったらしい。
「幸平先輩って優しいですよね」
ふと、隣の室井が呟いた。
彼は幸平を眩しそうに見つめている。
「あ、うん」と返すと、室井はようやくこちらを見上げた。
「幸平先輩って……幸平って、やさしい名前ですよね。名が体を表してますよね」
「そうかも」
「溝口先輩、本当にいつも幸平先輩と一緒にいません? なんでですか?」
「なんでって?」
室井は、幸平や陽太が所属する美化委員の後輩だ。主に花壇や畑を担当している。生物委員がない代わりに、美化委員の仕事は多い。
陽太へ話しかけてきたかと思えば、お目当ては近くにいる幸平であるのが彼の通常だ。むしろ、室井は幸平一人だけに話しかけることはせず、陽太が傍にいる間を見計らう。
一度だけ、一人でいる幸平に室井が近づいて、その後引き返すのを見たことがある。
幸平と話している最中は早口になるが、こうして陽太と話している時には気を抜いたように落ち着いている。
「タイプが違いませんか? なんで仲良いんだろうって」
「幼馴染だから」
素っ気なく答えると、室井は笑みを消して、何だか寂しそうに呟いた。
「幸平先輩と? いいなぁ」
室井は切なげな目をして幸平を眺めている。
独り言みたいに言った。
「溝口先輩と、幸平先輩って、喋り方似てますよね」
「そう?」
「ずっといるから、幸平先輩みたいになるんですかね」
「……」
「幸平先輩は、溝口先輩みたいな人といるのが落ち着くのかなぁ」
何だろう、これ。
やけに胸がモヤモヤして焦る。
帰ってきた幸平に室井が「今なら猫まだいますよ。見に戻りません?」と真っ先に持ち掛けた。幸平は明るく「いいね」と頷き、
「陽太くんも見に行こう」
と何の疑いもなく笑顔を向けてくる。
陽太は少しの沈黙の後、「二人で行ってきて。俺、用事あるから」とにこやかに告げる。
不思議そうに首を傾げた幸平だが、すかさず室井が「わかりました」と反応した。それから一呼吸おいて、「幸平先輩、行きましょう」と笑顔を浮かべる。
その妙な間に気付かない幸平は、まだ不思議そうな顔をしていたが、やがて、
「じゃあ、また明日」
と陽太へ手を振り、学校へ戻っていった。
陽太はその場に立ち尽くしている。何だろう、これ、とかすかに口にした。
何だろう。最近、室井と幸平が話しているとやけに焦って、心が重くなる。あの二人が共にいるのを見たくない……。と、遅れて、幸平を学校へ向かわせるのではなく、理由を付けて一緒に帰らせればよかったのだと気付いた。
なんかな。俺は『コウちゃん』なのに、あいつは『幸平』と呼んでるし……。
モヤモヤ、うずうず。気になって仕方なくなり、陽太も学校へ戻ろうか考えたが、やめた。後ろ髪を引かれる思いで通学路を歩く。
たった今し方までの会話を思い出してみる。幸平は、修学旅行を迷っていた。
笑って言っていたけれど、きっと身体の傷は幸平にとってかなりの負担で、制約を齎している。陽太が初めてきちんと、彼の体に残る夥しい傷跡を見たのは、以前に幸平と進が風邪を引いて陽太の家にやってきた時だ。
眠る幸平が寝苦しそうなので、体を拭いてやろうとしただけ。でも陽太は怯んでやめてしまった。
あの体は、衝撃的だった。
——「なんでスミレは彫り師になったわけ?」
不意に、脳裏を過ぎるのはついこの間の会話だ。
スミレは近頃、頻繁に我が家へやってくる。母の体調が日に日に悪くなっているからだ。陽太もまた、中学に上がったあたりから彼女の世話をするため度々学校を休んでいる。
「そんなことを真剣に聞いてくる年になったとはな」
スミレは目を細めて言った。
それから、少しだけ教えてくれる。
「俺が初めてタトゥーを見たのは、日本じゃない」
優しい目をしていた。
「かなりの爺さんだった。戦地でな、捕虜の証として入れられていた。その上に新しい絵を描いたんだとよ」
車の塗料でイタズラみたいに刻まれた刺青を隠すように、新しい絵を彫ったらしい。
「俺が初めて彫りを入れた男は、ここんとこにでっかい手術痕があった」
スミレは次に、己の足を指差した。
「十八の男だった。あれからアイツは真っ直ぐ立つようになった。背筋がピンと張ってさ。ファッションで入れるやつもいる。日本じゃ偏見はあるけど、偏見だってたまにはいいもんだぜ。アミが入れたのだってそのためだ」
アミは陽太の母のことだ。確かに腕には、タトゥーが入っている。
「触られなくなったからな」
スミレは暗い顔をしていた。
どうやら母は、弱い自分を危険な人間に見せるため、わざと入れたらしい。
もちろん弊害はある。その一つが、銭湯などだ。陽太としては不思議でならない。曰く、周りに威圧を与えるかららしいが、陽太がタトゥーを入れている人間を恐れたことはないし、人は見かけによらないと知っている。
でも、その見かけが及ぼす影響を求めてタトゥーを入れる人間もいる。でも、何もしていないのに銭湯やプールを楽しめない子もいる。
幸平は多分、一生人前で自分の体を晒さないのだと思う。そしてそれは、幸平だけだ。幸平の周りに仲間はいない。幸平にとっての仲間はむしろ、サウナに入れない人たち。
考えれば考えるほど、怒りみたいなものが湧いてくる。
どうして幸平だけいつも、違うのか?
少しでも同じになりたい。
今日も繰り返し自問自答しつつ、自宅付近まで帰ってくる。ぼうっとしていて、初めは気づくのに遅れた。
そして、ソレを見た瞬間、心臓が止まる思いになった。
「……あ」
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あいつ。あいつだ。幸平の、父親。
啞然と硬直すると、向こうが陽太に気付いた。最初は睨みつけてきたが、何か閃いた目をして、こちらに近寄ってくる。
初めて、目の前からその男を見た気がする——……
あ、だめだ。と思った。
違う。全然違う。普通じゃない。これが本物だ。タトゥーを入れただけでは取り繕えない、やばい人間の空気。
目つきが違う。歩き方が変だ。「おい」と呼びかけられると頭が真っ白になった。空洞みたいな黒い目が陽太を見つめている。恐怖で硬直して、動けない。
これを幸平は見てきたのか。
これを見上げてきたか。
――「何してんだよ」
後ろから怒鳴り声がした。
聞き慣れた声で、呪いが解けるように体が動く。
振り返ると、大男が立っている。
「スミレ……」
「陽太に何の用だ」
スミレは短く言って、幸平の父親を睨みつける。
そいつはスミレを見ると、明らかに怯んだ目をした。スミレの腕や首を見たのがわかる。
たった一瞬、見ただけだ。
それからグッと何か飲み込む顔をして、一歩後ずさり、「別に」と吐き捨てた。
「別に? は? さっきからこの辺うろうろしてっけどさ」
と、そこまで言ったところで、男は背を向けた。「ウルセェよ」とか何とかぼやきながらあっという間に去って行ってしまう。
隣のスミレが「何だあいつ」と舌打ちした。足元を見ると、我が家のサンダルだ。突然現れたと思ったけれど、元から陽太の家にいたらしい。スミレが片眉を上げた。
「あいつさ、もしかしてお前の親友の——……」
「俺にも入れて」
陽太は自然と口にしていた。
スミレは少しだけ目を丸くして、陽太を見下ろした。
陽太は繰り返した
「俺にも入れて。それ。タトゥー、俺にも必要だから」
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