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6 溝口陽太 二十歳
48 迷いなく
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通話を切ると同時、謙人が腰を上げた。陽太が言うより早く、「車動かすか?」と訊ねてくれるので頷く。
すかさず室井が「僕も行きます」と立ち上がった。続いて時川も無言で腰を上げ、谷田も「幸平、なんかあったんすか」と不安そうにした。
事情を話すのは車の中だ。謙人が運転席へ回り、陽太は助手席に乗り込んだ。車内は広く、他三人が後部座席へ乗り込んでも充分にスペースはある。
車を走らせてから、陽太は語った。憶測の範囲ではあるが、確信に近い。
おそらく幸平の部屋に訪ねてきた人物がいて、それは父親だ。大して部屋も荒れていないのに、蛇口も止めずジャケットも残したまま部屋を去ったのは、幸平が抵抗なく、しかし問答無用で連れ去られたからだ。
それを出来るのは、あの父親に違いない。
「幸平くんは昔住んでたアパートに連れて行かれた可能性が高い、と溝口さんは考えてるんだな」
「ああ。ああいう男は自分のテリトリーに連れてく」
「でも、何で幸平は素直に従うんすか」
同い年だと言うのに谷田は陽太に対して敬語を使ってくる。こうした同級生たちは多くいて、今更なので、陽太も指摘せずに答えた。
「アンタらが帰って来ると思ったからだろ」
「……俺ら?」
「鉢合わせたら最悪だからな」
陽太は前を向いたまま素っ気なく答えた。
谷田は神妙な顔つきで黙り込んだ。その表情をバックミラー越しに眺めながら、そもそもとして考える。
なぜ幸平が父親を容易く拒めると思っているのだろう。誰も彼もが簡単に、自由に拒否できるわけではない。
謙人の携帯を使って中田とメッセージを繋ぐ。彼より先にアパートに着きそうだ。
コウちゃん……。
会いに行くと決めた途端に、こんなことが起きるなど。
昨晩、幸平は陽太にメッセージを送ったらしい。それが待ち合わせに関してだったのは確かとして、一体何を話したかったのか。
もしかして、この関係を終わりにしようと言いたかった? その可能性を思い浮かべてゾッと恐怖する一方で、『イチイチイチイチ』を思い出す。
今日は十一月十一日だ。幸平は昨日の晩に陽太を待ってくれていた。なら、今日の夜明けを一緒に過ごしたかった?
だとしたなら自分は一体何てことを。後悔で忽ち胸が一杯になり、全身が重くなる。そうだった、病み上がりなのだ。
けれど……、昨日の晩に幸平が陽太の部屋にやって来なくてよかったと、無事を心底思う気持ちも、確かだった。
と、考え込んでいるといきなり谷田が、
「……溝口さんは、もし幸平のメッセージを見てたとして、待ち合わせに来てたんですか」
と言った。
陽太は横顔で谷田に振り返り、運転していた謙人も視線で反応する。黙考している最中だったので、少し回答に遅れた。陽太は、答えた。
「行った」
「本当ですか」
「……」
芹澤のことがあったとしても、母と合流することになったとしても、何としてでも幸平には会いに行ったはず。
嘘偽りない本音だ。それなのに谷田は、疑うような目をしている。
「だって、溝口さん幸平のことどうでもいいじゃないですか」
「……は?」
何言ってんだ?
谷田は続けた。
「この間だって、飲み会来ても溝口さん、幸平と離れて座ってたじゃないすか」
「……」
「覚えてますか? 一ヶ月前のやつ。女子侍らせて!」
「……アンタがコウちゃんを攫ってくからだろ」
谷田の言ってる飲み会は直ぐに分かった。あの時も陽太は、うまくいかなくて歯痒い思いをしたのだ。
思い出すだけで苛立ちが湧く。もう今は感情的になってしまって、陽太は本心を乱暴に吐き出した。
「俺はコウちゃんが、どんな奴らと過ごしてるのか……コウちゃんやアンタらと話したくて来たのに、アンタはあっという間にコウちゃんを攫ってビクビクしてこっち見てるし」
「……え?」
「そっちで勝手に楽しそうだし、こっちには知らねぇ子達が溜まってくるし。でもあの子達必死に他大の俺を気遣ってくれるから、女の子たち振り払ってアンタらんとこ行ったら、雰囲気悪くなって、コウちゃんに迷惑がかかる」
陽太はとっくにフロントガラスへと顔を向けていて、道の向こうを睨みつけている。だから後ろの三人がどんな表情かは分からない。
俺は、ただ。
「ただ、話したかっただけなのに」
「……」
三人がシンと静かになった。一ヶ月ほど前の飲み会のラストは、時川と幸平のやり取りの記憶で終わってる。
「しかも、時川って奴は意味わかんねぇし」
「あぁ。やっぱりあれ、嫉妬だったんだね」
思わず時川へ振り返る。時川は笑っているのかいないのか、曖昧に目を細めていた。
何なんだコイツ。舌打ちが漏れそうになるのを堪えるも、陽太が気になったのは隣の男たちだった。
室井は大人しく静観しているが、谷田は信じられないとばかりな目を向けてくる。何か言いたそうに見つめてくるので、陽太は短く「何?」と言った。
谷田は、ビクッと肩を震わせて、恐々と問いかけてくる。
「溝口さん、幸平のことで嫉妬するんすか」
「……するけど」
「幸平をどうでもいいと思ってるんじゃないんですか?」
「思ってない」
陽太の声はしかし、落ち着いた声色に戻っていた。向こうから見えている横顔も無表情のはず。気を抜くと、こうして表情がなくなってしまって、スミレの言葉を何となく思い出した。
谷田は更に続けた。
「だって、幸平は六番目だって……」
「六番目?」
眉間に皺が寄る。谷田はすると、陽太の顔を見て息を呑んだ。
「違うんですか?」
「何が六番目?」
「幸平は六番目のセフレでしょ」
「……」
反応したのは隣の謙人だった。苦笑混じりの「いや……」と声が漏れている。その短い響きだけでも若干、謙人が苛立っているのが分かった。
陽太が「六人もセフレはいないし、関係があるのはコウちゃんしかいない」と直ぐに答えたのは、謙人が今にも怒り出しそうだったからだ。数ヶ月前に、数人で集まった際の光景が頭に浮かんだ。あの時も『溝口さんって相当遊んでんだろ。女紹介して』と高校時代の噂を聞いたのか、誰かが言い出して、陽太は否定したけど遂に謙人がキレたのだ。
『ふざけた噂ばっか信じてんじゃねぇよ』と。
謙人は真顔で運転している。怒りの気配を察した陽太は、薄く笑みを添えて答えた。
「そういうの、ないから。セフレとか」
言いながら、谷田がこうして言及するということは幸平もそう思っているのか? と考えた。
普段、かなり限定的な人間以外は陽太に関してその話題で踏み込んでくる者はいない。その限定的な人間というのも、陽太の噂や見かけをあてにして『セフレにしてよ』『女紹介して』『セフレどんな感じ?』と興味本位で持ちかけてくる奴らで、わざわざ面と向かって切り込んでくる連中とは距離を置いている。
幸平からその件に関して触れられたことは一度もない。
でも、幸平はそう思っていたのか……。
「え、じゃあ、何なんですか」
すると谷田がぼやいた。
再度、彼に視線を遣る。
「溝口さん、全然何もやってないじゃないですか」
「……」
陽太は谷田を見つめる一方で、謙人の雰囲気もうかがった。険悪な気配が漂う。
「幸平はあんな頑張ってんのに……全部、溝口さんのせいじゃないですか」
「……」
「とんだヘタレじゃないすか。溝口さんが全く何もしないで、曖昧でいるから幸平が傷付いてる」
「……」
「簡単じゃないですか。溝口さんがもっと素直になれば良かったんだ。そしたら全部解決でしょ。何だよ畜生」
「……谷田」
谷田の指摘は耳に痛いものだった。大前提として幸平が陽太を好きなのかはあの告白から一年と数ヶ月がたった今では自信がないけれど、きっと谷田は何か聞いていたのだろう。
陽太の曖昧な態度を批判する声量が段々強くなっていく。陽太は息苦しさを覚えながらも、今にも謙人が怒り出しそうな気配も察したので、言葉を捻り出そうとする。
が、谷田の勢いは止まらない。
「溝口さんが悪いじゃないですか。もっと素直になればいいだけなのに、溝口さんが腰抜けでヘタレだから幸平が——……」
「ヘタレって言わないでください」
しかし、谷田を遮ったのは陽太でも謙人でもなかった。
声の主へ目を向ける。
室井は、厳しい顔で谷田を睨みつけていた。
「谷田さん、アンタどんだけ偉い奴なんすか」
谷田の勢いが止まり、驚いたように室井を見つめている。
陽太も同様に口を閉ざした。室井は淡々と、しかし感情のこもったような口調で、
「谷田さんはじゃあ、本当にずっと好きな人に自分の思いを言えましたか」
と呟いた。
車内がシンと水を打ったように静まる。室井はその空間に「何の迷いもなく」と声を滲ませた。
「恋ができるならいいけど」
すかさず室井が「僕も行きます」と立ち上がった。続いて時川も無言で腰を上げ、谷田も「幸平、なんかあったんすか」と不安そうにした。
事情を話すのは車の中だ。謙人が運転席へ回り、陽太は助手席に乗り込んだ。車内は広く、他三人が後部座席へ乗り込んでも充分にスペースはある。
車を走らせてから、陽太は語った。憶測の範囲ではあるが、確信に近い。
おそらく幸平の部屋に訪ねてきた人物がいて、それは父親だ。大して部屋も荒れていないのに、蛇口も止めずジャケットも残したまま部屋を去ったのは、幸平が抵抗なく、しかし問答無用で連れ去られたからだ。
それを出来るのは、あの父親に違いない。
「幸平くんは昔住んでたアパートに連れて行かれた可能性が高い、と溝口さんは考えてるんだな」
「ああ。ああいう男は自分のテリトリーに連れてく」
「でも、何で幸平は素直に従うんすか」
同い年だと言うのに谷田は陽太に対して敬語を使ってくる。こうした同級生たちは多くいて、今更なので、陽太も指摘せずに答えた。
「アンタらが帰って来ると思ったからだろ」
「……俺ら?」
「鉢合わせたら最悪だからな」
陽太は前を向いたまま素っ気なく答えた。
谷田は神妙な顔つきで黙り込んだ。その表情をバックミラー越しに眺めながら、そもそもとして考える。
なぜ幸平が父親を容易く拒めると思っているのだろう。誰も彼もが簡単に、自由に拒否できるわけではない。
謙人の携帯を使って中田とメッセージを繋ぐ。彼より先にアパートに着きそうだ。
コウちゃん……。
会いに行くと決めた途端に、こんなことが起きるなど。
昨晩、幸平は陽太にメッセージを送ったらしい。それが待ち合わせに関してだったのは確かとして、一体何を話したかったのか。
もしかして、この関係を終わりにしようと言いたかった? その可能性を思い浮かべてゾッと恐怖する一方で、『イチイチイチイチ』を思い出す。
今日は十一月十一日だ。幸平は昨日の晩に陽太を待ってくれていた。なら、今日の夜明けを一緒に過ごしたかった?
だとしたなら自分は一体何てことを。後悔で忽ち胸が一杯になり、全身が重くなる。そうだった、病み上がりなのだ。
けれど……、昨日の晩に幸平が陽太の部屋にやって来なくてよかったと、無事を心底思う気持ちも、確かだった。
と、考え込んでいるといきなり谷田が、
「……溝口さんは、もし幸平のメッセージを見てたとして、待ち合わせに来てたんですか」
と言った。
陽太は横顔で谷田に振り返り、運転していた謙人も視線で反応する。黙考している最中だったので、少し回答に遅れた。陽太は、答えた。
「行った」
「本当ですか」
「……」
芹澤のことがあったとしても、母と合流することになったとしても、何としてでも幸平には会いに行ったはず。
嘘偽りない本音だ。それなのに谷田は、疑うような目をしている。
「だって、溝口さん幸平のことどうでもいいじゃないですか」
「……は?」
何言ってんだ?
谷田は続けた。
「この間だって、飲み会来ても溝口さん、幸平と離れて座ってたじゃないすか」
「……」
「覚えてますか? 一ヶ月前のやつ。女子侍らせて!」
「……アンタがコウちゃんを攫ってくからだろ」
谷田の言ってる飲み会は直ぐに分かった。あの時も陽太は、うまくいかなくて歯痒い思いをしたのだ。
思い出すだけで苛立ちが湧く。もう今は感情的になってしまって、陽太は本心を乱暴に吐き出した。
「俺はコウちゃんが、どんな奴らと過ごしてるのか……コウちゃんやアンタらと話したくて来たのに、アンタはあっという間にコウちゃんを攫ってビクビクしてこっち見てるし」
「……え?」
「そっちで勝手に楽しそうだし、こっちには知らねぇ子達が溜まってくるし。でもあの子達必死に他大の俺を気遣ってくれるから、女の子たち振り払ってアンタらんとこ行ったら、雰囲気悪くなって、コウちゃんに迷惑がかかる」
陽太はとっくにフロントガラスへと顔を向けていて、道の向こうを睨みつけている。だから後ろの三人がどんな表情かは分からない。
俺は、ただ。
「ただ、話したかっただけなのに」
「……」
三人がシンと静かになった。一ヶ月ほど前の飲み会のラストは、時川と幸平のやり取りの記憶で終わってる。
「しかも、時川って奴は意味わかんねぇし」
「あぁ。やっぱりあれ、嫉妬だったんだね」
思わず時川へ振り返る。時川は笑っているのかいないのか、曖昧に目を細めていた。
何なんだコイツ。舌打ちが漏れそうになるのを堪えるも、陽太が気になったのは隣の男たちだった。
室井は大人しく静観しているが、谷田は信じられないとばかりな目を向けてくる。何か言いたそうに見つめてくるので、陽太は短く「何?」と言った。
谷田は、ビクッと肩を震わせて、恐々と問いかけてくる。
「溝口さん、幸平のことで嫉妬するんすか」
「……するけど」
「幸平をどうでもいいと思ってるんじゃないんですか?」
「思ってない」
陽太の声はしかし、落ち着いた声色に戻っていた。向こうから見えている横顔も無表情のはず。気を抜くと、こうして表情がなくなってしまって、スミレの言葉を何となく思い出した。
谷田は更に続けた。
「だって、幸平は六番目だって……」
「六番目?」
眉間に皺が寄る。谷田はすると、陽太の顔を見て息を呑んだ。
「違うんですか?」
「何が六番目?」
「幸平は六番目のセフレでしょ」
「……」
反応したのは隣の謙人だった。苦笑混じりの「いや……」と声が漏れている。その短い響きだけでも若干、謙人が苛立っているのが分かった。
陽太が「六人もセフレはいないし、関係があるのはコウちゃんしかいない」と直ぐに答えたのは、謙人が今にも怒り出しそうだったからだ。数ヶ月前に、数人で集まった際の光景が頭に浮かんだ。あの時も『溝口さんって相当遊んでんだろ。女紹介して』と高校時代の噂を聞いたのか、誰かが言い出して、陽太は否定したけど遂に謙人がキレたのだ。
『ふざけた噂ばっか信じてんじゃねぇよ』と。
謙人は真顔で運転している。怒りの気配を察した陽太は、薄く笑みを添えて答えた。
「そういうの、ないから。セフレとか」
言いながら、谷田がこうして言及するということは幸平もそう思っているのか? と考えた。
普段、かなり限定的な人間以外は陽太に関してその話題で踏み込んでくる者はいない。その限定的な人間というのも、陽太の噂や見かけをあてにして『セフレにしてよ』『女紹介して』『セフレどんな感じ?』と興味本位で持ちかけてくる奴らで、わざわざ面と向かって切り込んでくる連中とは距離を置いている。
幸平からその件に関して触れられたことは一度もない。
でも、幸平はそう思っていたのか……。
「え、じゃあ、何なんですか」
すると谷田がぼやいた。
再度、彼に視線を遣る。
「溝口さん、全然何もやってないじゃないですか」
「……」
陽太は谷田を見つめる一方で、謙人の雰囲気もうかがった。険悪な気配が漂う。
「幸平はあんな頑張ってんのに……全部、溝口さんのせいじゃないですか」
「……」
「とんだヘタレじゃないすか。溝口さんが全く何もしないで、曖昧でいるから幸平が傷付いてる」
「……」
「簡単じゃないですか。溝口さんがもっと素直になれば良かったんだ。そしたら全部解決でしょ。何だよ畜生」
「……谷田」
谷田の指摘は耳に痛いものだった。大前提として幸平が陽太を好きなのかはあの告白から一年と数ヶ月がたった今では自信がないけれど、きっと谷田は何か聞いていたのだろう。
陽太の曖昧な態度を批判する声量が段々強くなっていく。陽太は息苦しさを覚えながらも、今にも謙人が怒り出しそうな気配も察したので、言葉を捻り出そうとする。
が、谷田の勢いは止まらない。
「溝口さんが悪いじゃないですか。もっと素直になればいいだけなのに、溝口さんが腰抜けでヘタレだから幸平が——……」
「ヘタレって言わないでください」
しかし、谷田を遮ったのは陽太でも謙人でもなかった。
声の主へ目を向ける。
室井は、厳しい顔で谷田を睨みつけていた。
「谷田さん、アンタどんだけ偉い奴なんすか」
谷田の勢いが止まり、驚いたように室井を見つめている。
陽太も同様に口を閉ざした。室井は淡々と、しかし感情のこもったような口調で、
「谷田さんはじゃあ、本当にずっと好きな人に自分の思いを言えましたか」
と呟いた。
車内がシンと水を打ったように静まる。室井はその空間に「何の迷いもなく」と声を滲ませた。
「恋ができるならいいけど」
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