6番目のセフレだけど一生分の思い出ができたからもう充分

SKYTRICK

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1巻

1-2

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 先ほどのキスで動揺した心は落ち着いてきていたけれど、まだ細やかに揺れている。陽太といるとドキドキする。それなのに心地好くて、胸が温かくなって安心する。
 陽太はどうだろう。自分といて安心するだろうか。幸平は陽太を視界の端で見るが、当の本人は「朝、小雨だから傘なしで歩いてたらすげぇ髪うねった」と、昔からの癖毛をいじっている。紺色のカーテンが閉まっていて外の様子は見えないし、雨の音も聞こえてこない。ここには二人だけがいる。

「陽太君の髪、パーマみたいで良いよね」
「コウちゃん、それ昔から言うよな」

 目元にかかる黒い前髪の向こうで薄茶の目が細まった。
 今のは、幼馴染おさななじみっぽかったんじゃないか。

『なぁ、幼馴染おさななじみって本当なのか?』

 脳裏をよぎる言葉に突き動かされて、幸平は口を開いた。

「お、お母さん元気?」
「は?」

 陽太はいぶかしんで目尻を痙攣けいれんさせた。「なんで母さん?」と若干声のトーンが低くなる。
 二人で過ごす時、互いの家族に関しては話題にしない。
 陽太とまた会話するようになったのはここ最近……たった一年半の間だけだ。大学も学部も違うので勉強を共にすることもないし、幸平はバイトもしている。陽太がどうかは分からないが、幸平はこのせわしない生活で、必死に彼と会える時間を捻出していた。そのわずかな時間の中で、家族に関して語らうほどの余裕はなかったが、むしろそれを話題に上げないのは、自分達の暗黙の了解でさえあった。

「昔はよく、陽太君のお母さんとご飯食べてたのを思い出して。もう随分会ってないなぁ」
「会わなくていいよ」

 陽太は素っ気なく返した。この話題を続ける気が一切ない。そこに暗澹あんたんたる気配はなく、焦燥がにじんでいる気がして、幸平は何も言えなくなった。関わりがなかった四年間で陽太にも変化があったのだろうか。確かに陽太はその期間、生徒達に恐れられるくらいには荒れていたようだけど……
 すると幸平の携帯が震え出した。取り出して見ると同時に、着信は切れてしまう。

「……電話?」

 片膝を立てて座る陽太は、立てた膝の上に片腕を置いて頭を乗せていた。覗き込むような視線で、そこから動かずに幸平を見遣る。

「うん、でも切れた」
「谷田?」
「え? 違うよ……」

 言ってから、そうだ、と思い立つ。電話は時川からだった。ならば。

「時川って言うんだけど、陽太君、覚えてる? 俺が高校の時働いていたバイト先にいた人で、いつもニコニコしてる、かっこいい人」

 幸平は高校の頃、地元のブックカフェで働いていた。客への対応がないならレジに座っていても勉強することが許可されている、バイトにとても親切で、ひっそりとした場所にあるお店だ。店内は静かで会話はなく、カフェといっても書籍の購入だけするお客さんもいて、陽太もそうだった。
 皆が知っているか分からないけど、陽太は本が好きで、あの小さなカフェにも月に一度訪れていたのだ。陽太は本を買うとすぐに退店していたので、二人の間に会話はなかったけれど。
 当時、あのカフェで働く唯一の同い年が時川だった。時川は昔から優しくて、会話が下手で勉強ばかりしている幸平にも気兼ねなく接してくれた。時川目当てでカフェにやってくる客もいたくらい目立っていたから、きっと陽太も覚えているはず。

「あの茶髪の、ハーフっぽい人」

 思い出したのか、「……ああ」と陽太は軽く頷く。体勢は変えずに、彼はかすかに目を細めた。

「なんであん時の人と今も連絡取ってんの?」
「大学が一緒なんだ。まぁ、一緒っていうか、一緒になったというか」
「……どういう意味?」

 陽太は腕に乗せていた顔を上げる。その表情に暗さがにじんでいる気がしたので、幸平は少し躊躇ためらいつつ、「教えてもらったんだよ」と答えた。

「ここの経済学部は専用の図書館が大きくて、学費も安いし、学食も美味しいって。だから俺も志望校を途中で変えたんだ」
「時川って奴に合わせたってこと?」

 思いもしない解釈に意表を突かれて反応が遅れる。言われてみるとそうなのかもしれない。

「合わせたのかな。でもいいなって思ったから。時川も自分が受ける大学なのに俺に教えてくれるなんてすごいよね。昔から落ち着いてるし、優しいんだ。学部も一緒になったからよく一緒にいる」
「仲良いね」

 陽太は短く言って、また腕に顎をうずめた。陽太と谷田は関わりがなかったけれど、時川なら面識がある。時川という共通の友人ができれば、皆で遊びに行ったりもできるかもしれない。

「うん。時川は誰でも仲良くなれると思う。だから陽太君も――」
「シよ」

 一瞬だった。カーペットに手をついた陽太があっという間に迫っていて、気付くと唇が重なっている。唇が離れると腕を引かれてベッドの上へ誘導される。ろくな反応もできないうちにベッドに押し倒され、陽太が幸平に覆い被さり見下ろす形になっていた。

「だめ?」

 陽太が無表情で声を落とす。雨の音は聞こえない。彼の声だけが聞こえる音のすべてだ。
 まるで心臓のあたりに声が落ちてきたみたい。声を聞いて、鼓動がどくどくと強まった。

「……だめじゃないよ」

 答えると同時、また唇が重なる。先ほどの触れるだけのキスとは違って、口内だけでなく頭まで掻き混ぜるような、深いキスだった。
 慣れた手つきで服を脱がされて、陽太の下に裸を晒す。陽太の癖毛が裸の胸に当たって、気持ち良いけれど、チクチクする。それと同時に心臓が痛む。胸を掻きむしりたくなるような切なさに襲われるが、陽太のソレが幸平の中に入ってきて、快感で封じ込められる。
 幸平は胸の代わりに陽太の背中を掻き抱いた。必死にしがみついて、奥まで突き上げてくるストロークに振り落とされないようにする。陽太の肩から腕に彫られたタトゥーに、汗がにじんでいた。花の絵が刻まれていて、汗の粒が、花びらを飾る露みたいだ。
 息が苦しくなるような、口内まで荒らされる激しいキスは容赦がなくて、胸が震える。陽太に強く求められればその分だけ、幸平は嬉しくなる。

「あっ……んん、ぅあっ! あっ」

 律動が激しくなっていく。腰を掴まれ敏感なしこりを潰されながら、満遍なく内壁を擦られる。

「あぁっ、あっ! ふぅ、うう……っ」

 突かれるたびに声がこぼれ出た。陽太に揺さぶられながら声を堪えるすべを、幸平は知らない。
 陽太によって暴かれた、陽太しか知らないその柔らかく狭い場所。熱いぬかるみを何度も何度も彼の硬い性器が往復する。頭が細やかな快感の泡で埋め尽くされていて、常にどこかで弾けているみたい。
 幾度もねられてぬかるんだ中は、限界を迎えた。

「ああっ、よ、たく……ッ、いっ――……っ!」

 最奥を硬いペニスに叩きつけられて、先に幸平が果てた。腹がベコっとへこみ中が収縮した。体に力が入らない。太ももとへその下がビクビク震え、強すぎる快感で涙が一筋こぼれ出る。
 そのまま幸平は陽太を見上げた。腹の奥に埋まる陽太のそれはまだ硬く、膨張しきっている。

「ごめん、まだ頑張って」

 陽太は余裕ない表情で呟いた。彼の汗が頬に落ちてくる。幸平は力なく首を上下に振った。その直後、達したばかりの中を太い塊が揺すり始める。陽太が幸平の体を抱え上げ、幸平は彼に全身を預ける。
 注ぎ込まれる強すぎる快感に、幸平はみるみる溺れていった。


 ――今日こそはアレを渡されたくない。
 情事を終えて、裸の幸平は重い腰を意識しつつも服を着る。陽太は先にシャワーを浴びている。幸平が「まだ休みたいから、後にする」と断ったからだ。いつもセックスを終えると夜になる前に解散する。恋人ではないのだから当然のことで、彼の時間を奪うことはできない。
 今日も同じだ。バイトはないけれど、だからと言って常を崩す理由にはならない。陽太は合鍵を持っているので、幸平は彼に戸締まりを任せることにした。

「……なんでもう着替えてんの?」

 ショルダーバッグを手に持ったところで、背後から声をかけられた。振り向くといつの間にシャワーを浴び終えたのか、上裸の陽太がいる。

「バイト、ないんじゃないの。シャワー浴びないの?」

 幸平は固まった。……『アレ』を渡されないうちに部屋を出ようと思ったのに。
 計画が失敗したことに内心焦りつつも、あらかじめ用意しておいた言い訳を口にした。

「今日、飲み会に誘われてるから。体は拭いたから大丈夫……」

 答えると同時に勢いよく陽太が近づいてきて、思わず後ずさる。背も高くがっしりとした体つきの陽太に見下ろされると心が震える。恐怖ではない。ただ迫力に緊張し、どきっとするだけだ。

「まさか、さっきの連絡ってそれ?」
「……え?」

 すぐぼうっとしてしまうのは、幸平の昔からの癖だった。陽太の髪が少し濡れているのでつい見惚みとれてしまったが、我に返り「うん。よく分かったね」と返す。電話に出なかったからか、時川は飲み会の場所が変更になったのだとメッセージを寄越してくれていた。
 陽太は「へぇ、そう……」とうつむき、肩にかけたタオルで、少しだけ濡れた髪と首を拭う。

「コウちゃんって酒とか呑むんだ」
「うん。この間初めて呑んだ」

 陽太はまるで通せんぼするように、幸平の目の前から動かない。幸平はショルダーバッグの紐を握る。

「お酒って酔うよね」
「だろうね。それ、谷田とかもいんの?」
「いるよ」
「時川も?」
「うん……」

 ようやっと陽太はシャツを着た。だが首元が濡れている。寒くないのかな、と幸平は思う。ここは暖房もついていないし、外は日が沈みかけている。もう冷たい時間がやってきているのだ。髪を乾かしたほうが良いのにと心配になって、「陽太君、もう寒いから」と言いかけて、彼が遮った。

「俺も行こっかな」

 幸平はぽかんと口を開いた。

「……えっ!?」
「俺だって同級生じゃん」

 唖然とする幸平を無視し、陽太は慣れた仕草でハンガーを手に取り、タオルをかけた。

「谷田と時川がいんだろ? 俺だって無関係じゃない。他に誰いんの?」
「……分かんない」

 ふと、陽太が現れた際の谷田の反応が、幸平の脳裏に浮かんだ。グラスを手に持っていたとする。落とすにしても傾けるにしても、なんらかの方法で中身をこぼすだろう。

「分かんない?」

 幸平の返事に陽太は目を細めていぶかしんだ。それから幸平の手首を掴み、無理やりベッドに座らせる。素直に腰かけた幸平は小さくなった声で切り出した。

「谷田の学部とかサークルの友達が中心で、そこに俺と時川が呼ばれた。友達作れって」
「ふぅん」

 陽太は呟くと立ち上がり、唐突に、着ていたトレーナーを脱ぐ。

「俺も行く」
「谷田がびっくりすると思う」
「びっくりさせときゃいいじゃん。コウちゃんはこれ着て」

 問答無用でトレーナーを着せてくるので「わ」と声が出た。首元から頭を出し、「なんで?」と問う。そこに立つ陽太はロングTシャツ一枚だ。陽太は自分の鞄を手に取りながら答えた。

「そんな薄着でどうすんだよ。秋なめんな」
「陽太君のほうがなめてない? 寒そうだけど」
「コウちゃんさ、寒くなる前に冬物揃えよう。弟にばっか送んなよ」

 ぐうの音も出ない。陽太は構わずにくるっと体の向きを変えた。

「髪乾かすから待ってて。勝手に行くなよ」

 返事も聞かずにトイレへ去ってしまう。幸平はしばらくぼうっとした後、携帯を取り出した。
 谷田からの《今日来るよな?》の通知を見つめる。
 行くけど……俺だけじゃなさそうだ。


「――なんでだよ」

 指定された店を二人で訪れると、陽太の姿を見た谷田は一度トイレへ逃げた。数分後戻ってきてすぐ幸平だけをさらい、開口一番に「なんでだよっ」と幸平の耳元で叫んだ。

「ご、ごめん」
「み、みぞグッ、溝口さんじゃねぇかよ」

 今日の幹事は谷田の友達だ。少し離れたところにいる陽太が、「えっと、あの、誰の、紹介でしょうか」と動揺するその人をぼうっと見下ろしている。
 今日は他大の学生もいるらしく、谷田の紹介ということで、なんとかなったようだ。女子が陽太に目をつけて彼は流されるまま席に着いている。谷田は顔面蒼白でささやいた。

「あれ溝口さんだぞ? おい……見たか? 溝口さんだ。なんで呼んだんだよ!」

 呼んだっていうか、ついてきたのだ。谷田がごくりと唾を飲み込んだのが喉仏の動きで分かった。戦々恐々の表情で、彼は声を震わせる。

「お前ら本当に今まで会ってたんだな……おい見ろよ」

 視線で促されて示されたほうを見ると、陽太の周りには綺麗な女性が群がっていた。

「もう大奥できてっぞ」

 一体何秒でああなったのだろう。谷田は「凄まじい……」と呟き、青い顔で目を細めた。

「本物の溝口さんだ。なんであんなかっこいいんだ、あの人は。離れようぜ、あの領域には入れねぇ」
「あ、うん」

 そう言われ少し離れたテーブル席へ向かう。今日は居酒屋を貸し切っているのだと谷田は言った。

「すげぇ。やっぱりかっこよさがパワーアップしてる。天下を制するつもりか?」

 テーブル越しに座った谷田が、先に頼んでいたらしいウーロン茶を渡してくれる。幸平は素直に受け取り、ぼんやりした口調で相槌を打った。

「あの人薄着だな。幸平はこんな厚着なのに」
「……うん」
「幸平も近づくなよ。お前みたいな地味なのが溝口さんの隣に座ってみろよ。目つけられる」
「谷田君。お前は本当に失礼な子だ」

 声がしたので見上げると、時川がいた。幸平と同じく遅刻で、たった今到着したらしい。
 時川は幸平の隣に着席し、谷田へ冷めた目を向けた。

「本人に向かって地味だなんて、言うもんじゃない」
「俺は幸平のために言ってるんだ! 溝口さんに近づくためのダシにされるに決まってる。幸平は弱っちいんだからボロ雑巾ぞうきんにされちまうぞ」

 ボロ雑巾ぞうきん……押し寄せる女子に踏みつけられる自分がパッと脳内に浮かび、唾を飲む。それは怖い。谷田は「つうか時川、普通に遅刻してんじゃねぇよ」と眉間に皺を刻んだ。

「悪いな」
「本当に悪いと思ってる?」
「心底思ってるよ。あ、幸平君。今日のお代、幸平君の分は私が払うから」

 幸平は両手でウーロン茶を手にしながら「え?」と首を傾げた。時川は、やってきた女子学生からビールを受け取っている。「ありがとう」と時川が爽やかな笑顔を向けると、彼女は恥じらいつつも、心から嬉しそうに「全然っ」と首を横に振った。駆け足で席へ戻っていく彼女を見送ってから、時川は少し泡の溶けたビールを一口呑んで言った。

「昨日の購買で私の分の問題集の代金、幸平君に払わせちゃったろ」
「あ、うん。そうだった」

 今日はやはり思考が緩くなっていてぼんやりしている。先ほどまで疲れることをしていたからだ。

「購買の現金主義はどうにかしてほしいものだね。私が現金なんか持ってるわけないじゃないか」
「現金主義の意味違ぇだろ。つか、責任転嫁してんなよ」
「で、どうして例の彼があそこにいるんだ」

 谷田は苦虫を噛み潰したような顔で一瞬躊躇ためらった後、「幸平についてきた」とささやき声で答えた。

「へぇ。で、幸平君はどうしてここにいる。彼のそばにいなくていいのか」
「幸平をあんな魔窟に置くわけにいかないだろ。向こうにはほら、原田はらだいるし」
「原田?」

 時川が不思議そうに首を傾げる。彼のジョッキは既に空になっている。

「幸平、高校一緒だったろ。あの、髪結んでる茶髪の女子」

 と、谷田は幸平に語りかけてくる。時川のジョッキを見ていたのでまた、返事に遅れた。

「そうだったっけ?」
「芹澤のグループにいた女子だよ」

 芹澤。室井が教えてくれた人だ。高校の時に陽太へ告白し、振られたという女子。
 谷田が、ありったけのパスタと唐揚げとポテトフライを皿に乗せて渡してきた。「お前酒弱いんだから今日は食え」と言って、ついでに「あんまあっち見んなよ。目を合わせんな」と付け足す。
 幸平は忠告を無視し、少し振り返ってこっそりと陽太のほうを見た。陽太はハイボールを呑んでいた。隣には金髪の女性がいる。陽太らの向かいにいるのは、おそらく『原田さん』だ。
 陽太と、目は合わなかった。耳を澄ますと、会話がかすかに聞こえてくる。

「溝口君って言うの?」

 黒髪の女性が彼へ話しかけた。陽太の代わりに『原田さん』が答える。

「私達は溝口さんって呼んでたけどね」
「この大学の人じゃないんだ。Y大? えー、オシャですね」
「溝口さん、ミスターコンとか出てました?」
「ピアス痛くないですか? この刺青いれずみ本物ですか?」
「――早速敬語になってるよ」

 ちょうど顔を前に戻すと谷田が小声でささやいてきて、幸平は小さく頷いた。肝心の陽太の返事は聞こえてこない。幸平は彼に背を向ける形で座っているので、顔も見えなかった。
 幸平はため息を吐いた。その光景には既視感があったからだ。みるみる高校時代の記憶が蘇ってくる。
 陽太はいつもキラキラした人達に囲まれていた。幸平は、目が合わないくらい遠くから陽太を眺めているしかなかった。高校時代に陽太と話したのは卒業式のあの日を含めてたった三回だけだ。それ以外は、話しかけようとしてもできなかった。
 あの領域に入るのが怖い。同じ校内にいても、幸平と陽太はまるで別の国にいるみたいに遠かった。何度も想像していた。自分の言葉が、陽太に通じないその瞬間を。
 何を言っても届かなくて、また無視されてしまう。それが怖くて国境を踏み越えられない。そしてそれは……まるで今に続いているみたいだ。

「溝口さんって、彼女とかいるんですか?」

 女性の声はよく通る。でも陽太の返事が聞こえてこない。もしかしたら聞こえてこないのではなく、理解できていないのかもしれない。その言葉と意味を、国の違う幸平には理解できない……
 いつから分からなくなってしまったのだろう。本当に昔、幼かった頃はまるで、二人だけにしか分からない言語があるみたいだったのに。
 幸平は近くにあったグラスを取り中身を口に含んだ。異様に喉が渇いていて一気に飲み干してしまう。苦かった。辛い。それは味なのか、心なのか。
 思い起こす記憶が、さらに昔のものになっていく。まぶたが急激に重くなって目を閉じる。居酒屋にあふれる男女達の色とりどりの喧騒は、脳内をぐちゃぐちゃにしながら黒く混ざっていく。
 その中に暖色の光がにじんできた。
 ……あれは、夕陽の色だ。琥珀こはく色に染まった記憶に、幼い頃の自分達を見る。

『俺とコウちゃんはチームだから』

 癖毛の少年が幸平の隣でしゃがみ込んでいる。体の大きなクラスメイト達を相手にしたから、少年――陽太の膝小僧は擦り切れていた。二人は、かつて幸平が住んでいたアパートの外階段の下にいる。

『チーム? 二人で?』

 同じように怪我をした幸平が首を傾げる。血がにじみ出ていたけれど、こんな傷、ちっとも痛くない。あの頃の幸平は生傷が絶えなくて、膝小僧だけでなく体中にあざがあった。
 けれど陽太が隣にいるから痛くない。

『チームっていうか、二人で一組。バッテリー!』

 野球のことは互いに詳しくなかった。陽太は覚えたての言葉を口にしただけだ。
 でも、その頼もしい笑顔が、夕陽に照らされてこれ以上ないほど明るかった。陽太は給食着袋に小さなサッカーボールをぎゅうっと詰め込んでいる。幸平はその横顔をぼうっと眺めて、問いかけた。

『バッテリーって何?』
『分かんないけど、俺らは仲間なんだよ。でね、これが俺らの武器。コウちゃんがこれであいつらを倒したろ? これを使ってこう。もっと強くするために、補強する』
『給食袋使って怒られない?』
『先生に言えばいいよ。なくしちゃったって』

 中身の給食着は抜き取っている。幸平はふわりと『袋だけ?』と笑った。

『そう。袋だけ……できた! 俺らの秘密兵器だよ。これで次は、もっと強い奴倒そうな』

 陽太は勢いよく立ち上がると、サッカーボールを入れた白い袋をぶらぶらと揺らし、試しにアパートの外階段に叩きつけた。

『コウちゃん』

 陽太の背後に燃えるような真っ赤な空が広がっていた。幸平は眩しくて目を細めている。

『俺ら、今日は負けちゃったからゼロイチだけど、次は勝てるから。一点リードしてる時が一番やばいんだよ。だからあっちは、負けんの』

 サッカーなのか野球なのか。武器を使う試合がアリなのかすら曖昧あいまいな、しっちゃかめっちゃかな言葉だった。
 陽太が袋の紐を握って、それを天高く振り上げる。

『まだゲームは終わってない。勝つのは俺達!』

 あの頃の幸平はいつも負けていた。勝つだなんて発想がないし、これが争いだとも思っていない。

『まずは一点入れよう。それからもう一点! 頑張ろうね』

 けれど陽太は自分達の勝利を確信していた。……一点。リードしているのは敵だけど、でもまだ巻き返せる。陽太はそう力強く断言してくれた。
 秘密兵器は幸平のアパートの、外階段下にある用途不明の箱の中に隠した。給食着袋を使ったことが大人達にバレたら怒られるから、あれの存在は自分達だけの秘密になった。それは幸平と陽太にしか分からない、宝物のような。共通言語のような。
 もう一点。勝つのは俺達……

「――だから俺はさ、負けたくねぇんだよ」

 まるで心臓を巨大な怪物の手で強引に引き上げられたみたいだった。不意に意識が現実へと戻され、幸平はハッと我に返った。騒がしい店内で、時川を相手に谷田が饒舌じょうぜつに語っていた。

「行ったら負けなの。痛ぇなぁとは思ってんだけど、虫歯だって言われんのが怖くて歯医者行けねぇ。時川には分からねぇって。俺のこの複雑な気持ちが」

 日本酒を手酌で呑む時川は問答無用で「行けよ」と言った。口調がいつもより荒くなっている。ほろ酔いになると舌が回る谷田は、軽く右手を上げて続けた。

「異常だなとは分かってんだけどさ、認めたくないんだ。病名を突きつけられるのが嫌なんだよ。中身を見るのが嫌。知らぬが仏。つまりシュレーディンガーの虫歯なわけ」
「うるさいな。ごちゃごちゃ言ってないでさっさと病院行け」
「怖いんだよ。時川には分からないよな。いつもお前は正論ばかりだ。正論だからって正解じゃないからな。正しいことだけ言っていれば良いと思うなよ。こっちの立場になってみろ。お前にとっては簡単なことでも、怖くて動けなくなるんだ。怖いんだよ。虫歯だぜ? 小さいことだけど死ぬかもしんねぇって思っちゃう。俺の立場になってみろよ。そうなったらば時川もさぁ」
「私がお前なら歯医者の予約をする」
「……あれ、幸平? 起きたんだな」

 谷田がこちらに気付いて口論から退場した。時川も同じように「幸平君、はいお水」と議論を放って水を渡してくれる。谷田はだらしなくテーブルに頬杖をついた。

「お前、いつの間に酒呑んだんだ? この間で分かったろ? 幸平はコークハイ一杯でちゃんと酔うんだから、今日は食に集中しろって言ったじゃねぇか」

 頭が働かない。幸平はぼんやり言葉を落とした。

「しょく……」
「幸平君、お水飲もう」

 隣の時川に手伝われて水を口に含む。特別甘く感じた。目を閉じると勝手に聴覚が鋭くなった。
 可愛らしい声の「溝口さん」が耳たぶに触れる。かすかな会話が否応いやおうなく耳に流れ込んできた。

「……み、さん……誰の紹介でここ……?」
「ねー、そういえばそう……。こっちに友達……んだ? 狙ってる子とか?」

 幸平は頭に入り込んでくる声を追い出すように呟いた。

「帰りたい……」
「はぁー!? 帰りたいってお前!」

 谷田が不満気な声を上げ、幸平は鈍く首を左右に振った。

「かえりたい。も、やだ……」
「あー、もう勝手に呑むからだろ。おい、寝んなよ?」

 ガクンとこうべを垂れると、隣の時川が言った。

「それじゃ私が送っていこうか?」

 幸平は横目だけで時川を見る。彼は笑顔でお猪口ちょこの中身を飲み干した。

「私も帰ろうかなって思ってたんだよ」
「時川、お前は十分元気だろ。ザルだろうが」
「元気なうちに帰りたい。幸平君、私と帰ろう。谷田君、お代は現金? もちろん持ってないけど」
「学ばねぇ男だな」

 はぁーとため息を吐いた谷田だが、「あとでマネーペイで俺に送っておいて」と案外あっさり了承した。
 時川は「ありがと」と軽やかにお礼を告げて、薄いコートを手にする。それから幸平に、「幸平君、立てる? 一緒に帰ろう」と優しく語りかけた。
 彼の手を借りて座敷から降りると、こちらの様子に気付いた数人の女子が「時川君、帰っちゃうの?」「え、全然話せてない」と残念そうな声を上げた。時川はそれにも軽く「ごめんね。また学校で」とにこやかに返す。一部の注目を浴びながらも店を出ると、外もまた、別の種類の騒がしい夜が続いていた。と、背後で扉の開く音がした。

「コウちゃん」

 ちょうど歩き出そうとした足が止まる。振り返ると、陽太が立っていた。

「もう帰んの?」
「……陽太君?」

 よろけたが、幸平の腕を掴んでいた時川が支えてくれた。信じられないほどの眠気に襲われた幸平は「うん」とうっすら頷く。

「俺もう、眠いから帰るね。陽太君は楽しんできて」
「俺も帰るよ」

 幸平はこてんと首を傾げた。オレモカエル……蛙? 分からなくなり、幸平は重いまぶたを閉じた。

「時川、だっけ」

 陽太が低く呟くのが聞こえてくる。幸平は寝惚けていて、その内容をうまく把握できなかった。

「うん。溝口さん、だよね」

 同い年なのに陽太は『さん』を使われている。陽太はすると「時川、さん」と言葉を強くした。

「コウちゃんは俺が送るから」
「あれ? そっちで楽しんでなくていいのか?」

 数秒の沈黙。それから陽太は、険のある言い方で「俺が?」と呟いた。

「楽しんでた……?」

 乾き切った吐息が聞こえた。それから静かすぎる声が落ちる。

「時川さん、あんたに何が分かんの」
「……うーん」

 少しの間黙った時川が、妙な唸り声をあげて、それから小さく、「はは」と笑った。すぐに「は?」と陽太が苛立つ。

「なんで笑った」

「いや」と軽く言った時川の気配が幸平から離れる。すぐに肩を掴まれた。幸平はぼうっとした視線でその手を捉えて、手の主である陽太を見上げた。

「じゃあ、私は戻ろうかな」
「……時川さんさ、帰るんじゃなかった?」
「いや、幸平君が眠そうだから送ろうと思っただけだよ」

 幸平はふわふわとした頭を働かせ、「あ。俺……お金……」と呟いた。

「え? ああ、いいよ。幸平君の分は私が払っておいたから」
「は? なんで? ……コウちゃんの分は俺が払う。三千円だっけ」

 幸平が訊ねるより先に陽太のほうが訊いた。目の前に立っている時川が、うすら笑いを浮かべる。

「君が? それこそなぜ?」
「コウちゃんは俺が送ってくから。ひとまず俺が払う」
「いや、私が払ったから大丈夫」
「はぁ?」

 陽太は取り出した一万円を握り、より強い口調で続けた。

「なんでコウちゃんの分をアンタが払うんだ」
「えー? ははははは。それはね、内緒です」

 幸平は陽太を見上げる。その横顔に青筋が浮き出ている気がした。

「……なんでアンタ、笑ってんの」
「あぁ、ごめんな」
「アンタが払う理由が分からない。何?」
「んー。教えない。溝口さんには、私と幸平君の濃密な取引を教えてやらない。部外者だから」
「……お前」
「じゃあな、幸平君。また月曜日に」

 そう言って時川はきびすを返した。すぐに店内のごった返す声が雪崩なだれのようにあふれて、消えた。居酒屋の扉が閉じたのだ。幸平はようやっと「あれ」と目を擦った。時川、お金は?

「帰ろ」

 陽太が二の腕を掴んでくる。無理やりではないのに不思議なほど強固さを感じた。

「う、ん? あれ、俺お金」
「いいんだってさ。なんでか知んねぇけど」

 力を込めた声でそう言って、陽太は一万円札をポケットに突っ込む。彼はまっすぐ前を見つめている。険しい目つきが癖毛の前髪の向こうで見え隠れした。

「濃密なんだってさ。……コウちゃん何したの?」

 ノウミツ? 言葉の意味がまるで分からない。黙り込むと、陽太がこちらを見下ろしてくる。
 陽太は唇を噛み締めていた。自分の感情を呑んで堪えているみたいだった。やがて、幾分か表情を緩めると同時に歩調も緩くなっていく。陽太は息を吐いてから言った。

「どんだけ呑んだ? そんな時間経ってないと思うんだけど」

 声はどこか冷たかった。思わず身震いすると、陽太はこちらに気付いて少しだけ口を開き、歩きながらバッグの中を漁りだし、パーカーを引っ張りだした。幸平は未だ虚ろに答えた。

「あれ、どうなんだろ……お酒……呑んだっけ」
「寒いならこれ着て」

 肩にパーカーを掛けられる。素直に腕を通したあとに笑いかけると、陽太は数秒沈黙した。

「ありがとう。優しいね」
「……」
「陽太君は、変わらないんだ。お酒……酔ってない。すごい」
「そんな呑んでないし」

 フードが裏返っていたらしく陽太が直してくれて、また二人して歩き出す。冷たい夜風に当たっていると、次第に頭もはっきりしてきた。
 陽太とは今まで、どこか店に行って酒を呑んだことはない。日中に室内で過ごすだけで、駅までの行き帰りを共にすることくらいあっても、二人で出かけたことなどなかった。
 なんでないんだろう。今、二人で夜道を歩いているが、こんなのはいつぶりだろう。思考がとっ散らかっていて、答えを見出せない。そうやって心が制御できないでいると、ずっと記憶の奥に封じていた過去を……昔、偶然に聞いてしまった陽太の言葉を思い出した。

『よくデートとかに行くっていうけど』

 陽太が友人と通話しているのをたまたま聞いたのだ。フラットな口調から、本音だと分かった。

『普通に嫌じゃね? 隣にずっといんのキツい。つーか、外で二人でいんのとかがまず無理』

 盗み聞いたのはそれだけだ。幸平はすぐにその場を離れたから。あれが誰のことか……幸平のことかどうかは分からない。けれど単に友達の話をしているのではないことは分かった。察するに、陽太が関係を持つ人々に対してだ。つまり幸平だけへの言葉ではないが、幸平も『相手』の中の一人だ。
 幸平は陽太に、少しでも『無理』だと思われたくなかった。だから、体の関係があるからといって自分から『デート』に誘うことはしない。陽太に『会おう』と言われた時だけ会い、こちらから陽太の生活に干渉せず、立場をわきまえていた。もちろん陽太からどこかへ出かけようと持ちかけられることもなく。
 一年半が経っている。……だが、今の幸平は思う。
 二十歳になったのだ。お酒という理由があれば、もっと軽く、なんでもないことのように『デート』みたいなものに誘っても良いのではないか。それは大人なら可能なのではないか。

「……陽太君」

 考えるとすぐに口が開いていた。正常な思考ではないのは分かっている。でも止められない。

「俺も二十歳になったからさ、今度一緒にお酒呑まない?」


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