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第一章

13 噛むなよ※

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 何が気遣いの射精だ。どれだけ絶倫なのか、一成の下半身はまた兆しを見せている。
 腹が立って一成を睨みつけるも、彼は余裕そうに「おい」と玲の唇を指で押してきた。
「何唇尖らせてんだよ」
「……」
「ちいせぇ口で必死で俺のモノ頬張ってたな」
「俺の口で遊ばないでください……」
 何が楽しいのか、一成は玲の唇をいじっている。玲は胸板を両手で押して逃れようとするも、すぐに片手で抱かれた。
「口開け」
 数秒黙っていたが「早くしろ」と凄まれる。仕方なくおずおずと唇を開くと、親指が入ってきた。
「ん……っ、あ」
「はは」
 一成は楽しげに口内をいじくり回した。
 それから予告もなく唇を重ねてくる。
「っん……!」
 最初から激しいキスだった。唇を割って入ってきた舌は容赦なく口内を荒らす。
 熱い舌が玲の舌に絡みついてくる。呼吸もままならない程に深いキスが苦しくて、玲は目を細めた。
「ふ、あ……んんっ」
 奇妙なことにそのキスに不快感はない。絡みあう箇所から、頭が蕩けてしまうような分泌液が出ているみたいだ。
 アルファ性にもフェロモンはある。今、それが一成から滲み出ている。
 玲はだから、否応なしにクラクラしてしまう。
 でも、変だ。
「……はは」
 一成が溢すように笑う。その低い笑い声に腹の奥が重くなる。
 アルファのフェロモンだからってこうも心地よいとは限らない。むしろ気持ち悪くなることだってあるのに、どうして。
 まさか……。
「相性がいいみたいだな」
 頭の中に『運命の番』という単語が浮かぶ。
 すぐに掻き消した。
 そんなもの認めてはならない。
「んん……ぅ、ふ……ッ」
「おい、玲」
 ようやっと唇が離れた。粘度の高い唾液が二人の間につながって、プツンと途切れる。
 一成は玲の顎を片手で掴んでいる。顔全体が埋もれてしまうほど大きな手だった。
 一成が顔を顰めて、指で頬を撫でてくる。
「ぼうっとしてんじゃねぇよ」
「はい」
「挿れられたことはあんのか」
 もう片方の手が玲の尻を鷲掴んだ。
 ああ、最悪だ。下半身が反応するのを制御できない。一成のフェロモンのせいで玲のペニスは芯が硬くなりはじめ、アナルにも湿り気を感じた。
 悔しさを感じながらこくんと頷いた。
「はい」
「ふぅん」
 一成は呟くと玲の体をがっしりと覆うと、そのまま持ち上げた。
 慌てて首にしがみつく。一成は動揺する玲など気にせず歩き出した。
「な、なんですかっ」
「何って、するんだろ」
「……ッ」
 玲は息を呑んだ。頭上から玲を見下ろす一成は一度だけ目を細めた。
 運ばれた先は一成が使っているだろう寝室だ。たった今、抜け出たようにベッドは乱れている。一成は玲をベッドに下ろすとブランケットを払い落とした。
「も、もうするんですか」
「お前がやれるっつったんだろうが」
 言いながら躊躇いなく玲を押し倒す。一成に迷いはなかった。玲はまた唇を噛み締める。
 すぐに唇を塞がれた。
「唇、噛むなよ」
「っ……ぅ」
 一成が囁く。
 大きな口に食べられるみたいなキスだ。一成は獣みたいに玲の口内を貪った。
 同時に彼の手が玲の服の内側に侵入してきた。臍の下を撫でられると、その肌の奥にある体の中心に熱を感じた。
「んぅ……あ、う……」
「は……っ」
 一成は吐息混じりに笑う。玲の肌を堪能してから、ボトムをずらしてきた。
「あっ、」
「濡れてんな」
 下半身を露わにされてしまった。玲の顔は赤らみ、その変化を一成も拾っている。
 男は玲の両腕を頭上で一つに纏めて片手で押さえつけた。「い、一成さんっ」と制止も聞かずに、玲の尻を掴んでくる。
「あああっ……!」
「入るっちゃ入るな」
 親指が内側に侵入してきた。濡れそぼった後孔は一成の指を簡単に受け入れてしまう。
 ぐるっと親指で円を描くように動かしてくる。一度指を引き抜いた一成は自分の人差し指と中指に唾液を垂らし、またアナルに差し込んできた。
「ひゃ、ああ……っ」
「ナカも熱いな。だらだら唾液溢してっぞ」
 くちゅくちゅ音を立てながら指が中を噛み混ぜてくる。粘膜の具合を確かめるみたいにナカ全体を荒らし始めた。
「ダメです、汚いです……っ」
 首を横に振るとぐっと腹の内側をナカから押される。玲は「うあっ」と声を上げた。
「今更やめる気か? 嫌なら嫌でいいんだぜ。どうする」
 言いながらも一成は、蜜口の奥に潜む敏感なしこりを指でいじり始めた。
「んぅぅ……ッ!」
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