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第2章 魔法と領地巡りの儀式
『31、魔法適正』
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ブラウンたちが捕縛されてから3ヶ月の月日が流れ、。俺は今日、5歳の誕生日を迎えた。
5歳はこの世界では特別な年として盛大にお祝いされるのが常である。
その理由は魔法が使えるようになるから。
この世界で魔法適正を調べるには、特殊な本を使わなくてはいけない。
しかし、その本は5歳にならないと反応しない不思議な本なのだ。
だから自然と、魔法を使えるのは5歳からとなるのである。
王都散策の時よろしく、朝からワクワクが止まらない。
俺にはいくつの魔法適正があるのかなぁ?
全属性とかだと嬉しい。父上も全属性だし、ワンチャン無いか?
というか、ワンチャンあってくれ。頼むから。
早速、その本を扱えるミラさんに適性を調べてもらおう!
てなわけで図書館に入ると、カルスとミラさんがカウンターの前で談笑していた。
この組み合わせは珍しいなと思いながらカウンターに近づく。
「カルスとミラさんの2人が、ここにいるなんて珍しいね」
話しかけるとカルスの肩がビクッと跳ね上がり、素早い動作でこちらに視線を向けた。
俺の顔を確認すると、硬かった表情を緩める。
「リレン様。心臓に悪いですから、いきなり後ろから話しかけないで下さいよ」
「ゴメンゴメン。ミラさんがバッチリ見てたから、気づいていると思って」
「私も気づいていると思ってました」
ミラさんが面白そうに笑う。カルスは軽くため息をついただけ。
「誕生日おめでとう。今日ここに来たのは属性チェックかしら?」
「ありがとうございます。そうですね。適性が気になってしまって」
苦笑いしながら言うと、ミラさんが分かるとばかりに大きく頷いた。
「魔法好きとしては、属性チェックは絶対に外せない一大イベントよね」
「分かります。僕もそう思っていますもん」
魔法について語り合う俺たちの脇で首を傾げるカルス。彼は魔法型ではないようだ。
「夜ご飯の席で適正を教えてとか言われているんでしょ?」
「言われました。しかも父上以外の全員に。あのフェブアーにもですよ」
俺が口を尖らせると、カルスが噴き出した。確かに意外だからね。
「じゃあ、やっちゃいますか。適性を確認するわよ!」
「おー!」
腕を勢いよく突き上げて返事をする。
この体だと、こういう恥ずかしい動作も自然に出来るからいいよね。
高校生が片腕を突き上げて『おー!』はさすがにヤバいだろ。
だけどこの体なら何ら問題がない。
ミラさんに連れられるまま奥の部屋に入ると、そこは――厨二空間だった。
しかも、前世のイタい友人が見たら狂喜乱舞しそうな勢いだ。
床には怪しげな魔法陣が描かれており、円に沿うように6本の棒が立っている。
蝋燭に見立てているのか?
魔法陣の中心部分には祭壇があり、上に1冊の本が広げられた状態で置かれていた。
何とも分厚い本だなぁ・・・。1000ページくらいは余裕でありそう。
「じゃあ、あの本に手をかざして」
「分かりました。魔法陣を踏んじゃいけないとかあります?」
「特にないからそのまま手をかざしてくれればいいわ」
軽く頷いてから本に手をかざす。これから儀式が始まるのだと思うと心が躍るな。
何が起こるのかドキドキしていると、ミラさんが部屋の隅で詠唱を始めた。
「魔法本よ。6つの光をもって、手をかざし者の魔法の才能を示したまえ。女神の教え」
そう言って壁に埋め込まれたスイッチを押し、部屋を退出していった。
1分ほど待っただろうか。本のページが、触ってもいないのにペラペラと捲れ始めた。
これはついに始まったんだ!憧れの儀式が始まったんだ!
興奮を表すかのように煌びやかに光り出す魔法陣。
蝋燭に見立てられた棒に6色の光が淡く灯る。
赤、青、緑、茶、白、黒。
やがてその光は、1本の光の柱となって天井に向かって伸びていく。
まるでアリナお姉さまの劇で見た結界の光のよう。
あの時は4色しかなかったが。
やがてそれらの光は金色の光となり、俺に降り注いできた。
その瞬間、脳に直接刻みこまれたように魔法の使い方が入ってくる。
使い方はこうやって刻み込まれるから、自分で取得しなきゃいけないのは制御かな?
それは操作という意味でも強さという意味でも。
脳内に刻み込まれた魔法を確かめていく。
これが幼いころから憧れていた魔法・・・。早く使ってみたいぜ!
これは火属性か。後は水、氷、風、土、光、闇・・・。
あれ?全ての属性の使い方が入ってきているのは気のせいか?
そういえば、剣と魔法のどちらの方がより使いたいかという女神さんの問いに、魔法って答えたんだっけ。
ならば、本当に全属性使えちゃったりするんじゃないの?
やがて光は弱まっていき、本がバタンと閉じる音と共に消滅した。
少し間が空き、ミラさんが目を輝かせて部屋に入ってくる。
「どうだった?一大イベントを終えた感想は?」
「光が綺麗でした・・・。で、僕の適性はどうだったんですか?」
気になって尋ねる。今の儀式のどこに適性を知る手掛かりがあったというのか。
「光の柱の色が属性を現しているの。ちなみに何色出た?」
「6色ですね。全てが合わさって金色の光になったのは壮観でした」
正直に答えると、ミラさんが絶句した。
「6色ってことは、全属性じゃない・・・。凄いわ・・・」
「そうなんですか。嬉しい!」
飛び跳ねて喜びを示す俺。前世の体でやったら完全に危ない人である。
心の中では思いっきりガッツポーズをしていた。
「ねえカルス。王城に魔法が打てるところはある?」
「確か訓練場なら打てたはずですが・・・案内は必要ですか?」
「そうだね。お願い」
カルスの案内で図書館を出て、訓練場に向かう。
その道中では沢山のメイドさんたちにお祝いの言葉を頂戴した。
こんなに多くの人に祝われたのは初めてかもしれない。
孤児院での主人側は奴隷側の誕生日なんて気にも留めないんだ・・・か・・・ら・・・。
俺も主人側と同じだったー!と心の中で叫ぶ。
フェブアーとカルスの誕生日を俺は知らないし、気にも留めていなかった。
主人側になって少し従う側の気持ちが抜けつつある気がする。
気をつけなければ。今日の夜にでも2人に聞いてみようかな。
訓練場に入り、的の前に立った俺は魔力を体で感じた。
血液のように体を流れている感じがして面白い。
「よーし。まずは火からかな。火球!」
悠然と叫んで指を1本、前に突き出すと指先5㎝くらいのところに火の玉が現れる。
遠隔操作で押すように指を前に動かすと、火の玉は真っすぐ飛んで的にぶつかった。
どうやら魔法の操作技術も備わっているらしい。完全に魔法チートじゃないか。
的も良い塩梅で倒れており、そっち面も優秀だ。
俺は特に考えずに作ったのに、ちょうどいい強さになっている、
転生物によくあるチート能力、恐るべし。
その後も全属性を一通り使ってみたところ、問題なく全ての属性を扱えた。
お披露目パーティーの時に俺を襲った闇の矢が打てるのは、少し複雑だな。
夢中で打っているうちに、いつの間にか夕食の時間ギリギリになっていた。
夕食時、最初にその話題を振ってきたのは父上。
「リレン、魔法適正はどうだったんだ?」
うーん・・・。普通に全属性と伝えるのは面白くないなぁ・・・。
ここは反応を楽しみたいし、婉曲表現を使ってみるか。
「6色の光が見えました。最後に金色の光になった時は綺麗だったなー」
さりげなく周りの反応を確認すると、カルス以外の全員が目を剥いていた。
カルスは訓練場で全属性だったことを伝えている。
「6色って・・・全属性じゃない。さすが第一王子というべきなのかしら」
アスネお姉さまが呆れたように呟く。
「まさか全属性だとは思わなかったわ。さすが貴方の子ね」
「やっぱり、リレンは優秀だね」
どこか嬉しそうに言う母上と、それに同意するアリナお姉さま。
「全属性とは・・・末恐ろしいわ・・・」
妖魔でも相手にしているような声で恐れ慄く父上。
反応が微妙に違っていて面白いな。
「じゃあ、リレンも魔法を使えるようになったし、マークに登場してもらいましょうか」
母上が妖しい笑みを浮かべ、俺は得体の知れない恐怖に包まれたのであった。
宮廷魔術師って・・・魔法が使えるようになった翌日に出てきていいキャラじゃなくない?
5歳はこの世界では特別な年として盛大にお祝いされるのが常である。
その理由は魔法が使えるようになるから。
この世界で魔法適正を調べるには、特殊な本を使わなくてはいけない。
しかし、その本は5歳にならないと反応しない不思議な本なのだ。
だから自然と、魔法を使えるのは5歳からとなるのである。
王都散策の時よろしく、朝からワクワクが止まらない。
俺にはいくつの魔法適正があるのかなぁ?
全属性とかだと嬉しい。父上も全属性だし、ワンチャン無いか?
というか、ワンチャンあってくれ。頼むから。
早速、その本を扱えるミラさんに適性を調べてもらおう!
てなわけで図書館に入ると、カルスとミラさんがカウンターの前で談笑していた。
この組み合わせは珍しいなと思いながらカウンターに近づく。
「カルスとミラさんの2人が、ここにいるなんて珍しいね」
話しかけるとカルスの肩がビクッと跳ね上がり、素早い動作でこちらに視線を向けた。
俺の顔を確認すると、硬かった表情を緩める。
「リレン様。心臓に悪いですから、いきなり後ろから話しかけないで下さいよ」
「ゴメンゴメン。ミラさんがバッチリ見てたから、気づいていると思って」
「私も気づいていると思ってました」
ミラさんが面白そうに笑う。カルスは軽くため息をついただけ。
「誕生日おめでとう。今日ここに来たのは属性チェックかしら?」
「ありがとうございます。そうですね。適性が気になってしまって」
苦笑いしながら言うと、ミラさんが分かるとばかりに大きく頷いた。
「魔法好きとしては、属性チェックは絶対に外せない一大イベントよね」
「分かります。僕もそう思っていますもん」
魔法について語り合う俺たちの脇で首を傾げるカルス。彼は魔法型ではないようだ。
「夜ご飯の席で適正を教えてとか言われているんでしょ?」
「言われました。しかも父上以外の全員に。あのフェブアーにもですよ」
俺が口を尖らせると、カルスが噴き出した。確かに意外だからね。
「じゃあ、やっちゃいますか。適性を確認するわよ!」
「おー!」
腕を勢いよく突き上げて返事をする。
この体だと、こういう恥ずかしい動作も自然に出来るからいいよね。
高校生が片腕を突き上げて『おー!』はさすがにヤバいだろ。
だけどこの体なら何ら問題がない。
ミラさんに連れられるまま奥の部屋に入ると、そこは――厨二空間だった。
しかも、前世のイタい友人が見たら狂喜乱舞しそうな勢いだ。
床には怪しげな魔法陣が描かれており、円に沿うように6本の棒が立っている。
蝋燭に見立てているのか?
魔法陣の中心部分には祭壇があり、上に1冊の本が広げられた状態で置かれていた。
何とも分厚い本だなぁ・・・。1000ページくらいは余裕でありそう。
「じゃあ、あの本に手をかざして」
「分かりました。魔法陣を踏んじゃいけないとかあります?」
「特にないからそのまま手をかざしてくれればいいわ」
軽く頷いてから本に手をかざす。これから儀式が始まるのだと思うと心が躍るな。
何が起こるのかドキドキしていると、ミラさんが部屋の隅で詠唱を始めた。
「魔法本よ。6つの光をもって、手をかざし者の魔法の才能を示したまえ。女神の教え」
そう言って壁に埋め込まれたスイッチを押し、部屋を退出していった。
1分ほど待っただろうか。本のページが、触ってもいないのにペラペラと捲れ始めた。
これはついに始まったんだ!憧れの儀式が始まったんだ!
興奮を表すかのように煌びやかに光り出す魔法陣。
蝋燭に見立てられた棒に6色の光が淡く灯る。
赤、青、緑、茶、白、黒。
やがてその光は、1本の光の柱となって天井に向かって伸びていく。
まるでアリナお姉さまの劇で見た結界の光のよう。
あの時は4色しかなかったが。
やがてそれらの光は金色の光となり、俺に降り注いできた。
その瞬間、脳に直接刻みこまれたように魔法の使い方が入ってくる。
使い方はこうやって刻み込まれるから、自分で取得しなきゃいけないのは制御かな?
それは操作という意味でも強さという意味でも。
脳内に刻み込まれた魔法を確かめていく。
これが幼いころから憧れていた魔法・・・。早く使ってみたいぜ!
これは火属性か。後は水、氷、風、土、光、闇・・・。
あれ?全ての属性の使い方が入ってきているのは気のせいか?
そういえば、剣と魔法のどちらの方がより使いたいかという女神さんの問いに、魔法って答えたんだっけ。
ならば、本当に全属性使えちゃったりするんじゃないの?
やがて光は弱まっていき、本がバタンと閉じる音と共に消滅した。
少し間が空き、ミラさんが目を輝かせて部屋に入ってくる。
「どうだった?一大イベントを終えた感想は?」
「光が綺麗でした・・・。で、僕の適性はどうだったんですか?」
気になって尋ねる。今の儀式のどこに適性を知る手掛かりがあったというのか。
「光の柱の色が属性を現しているの。ちなみに何色出た?」
「6色ですね。全てが合わさって金色の光になったのは壮観でした」
正直に答えると、ミラさんが絶句した。
「6色ってことは、全属性じゃない・・・。凄いわ・・・」
「そうなんですか。嬉しい!」
飛び跳ねて喜びを示す俺。前世の体でやったら完全に危ない人である。
心の中では思いっきりガッツポーズをしていた。
「ねえカルス。王城に魔法が打てるところはある?」
「確か訓練場なら打てたはずですが・・・案内は必要ですか?」
「そうだね。お願い」
カルスの案内で図書館を出て、訓練場に向かう。
その道中では沢山のメイドさんたちにお祝いの言葉を頂戴した。
こんなに多くの人に祝われたのは初めてかもしれない。
孤児院での主人側は奴隷側の誕生日なんて気にも留めないんだ・・・か・・・ら・・・。
俺も主人側と同じだったー!と心の中で叫ぶ。
フェブアーとカルスの誕生日を俺は知らないし、気にも留めていなかった。
主人側になって少し従う側の気持ちが抜けつつある気がする。
気をつけなければ。今日の夜にでも2人に聞いてみようかな。
訓練場に入り、的の前に立った俺は魔力を体で感じた。
血液のように体を流れている感じがして面白い。
「よーし。まずは火からかな。火球!」
悠然と叫んで指を1本、前に突き出すと指先5㎝くらいのところに火の玉が現れる。
遠隔操作で押すように指を前に動かすと、火の玉は真っすぐ飛んで的にぶつかった。
どうやら魔法の操作技術も備わっているらしい。完全に魔法チートじゃないか。
的も良い塩梅で倒れており、そっち面も優秀だ。
俺は特に考えずに作ったのに、ちょうどいい強さになっている、
転生物によくあるチート能力、恐るべし。
その後も全属性を一通り使ってみたところ、問題なく全ての属性を扱えた。
お披露目パーティーの時に俺を襲った闇の矢が打てるのは、少し複雑だな。
夢中で打っているうちに、いつの間にか夕食の時間ギリギリになっていた。
夕食時、最初にその話題を振ってきたのは父上。
「リレン、魔法適正はどうだったんだ?」
うーん・・・。普通に全属性と伝えるのは面白くないなぁ・・・。
ここは反応を楽しみたいし、婉曲表現を使ってみるか。
「6色の光が見えました。最後に金色の光になった時は綺麗だったなー」
さりげなく周りの反応を確認すると、カルス以外の全員が目を剥いていた。
カルスは訓練場で全属性だったことを伝えている。
「6色って・・・全属性じゃない。さすが第一王子というべきなのかしら」
アスネお姉さまが呆れたように呟く。
「まさか全属性だとは思わなかったわ。さすが貴方の子ね」
「やっぱり、リレンは優秀だね」
どこか嬉しそうに言う母上と、それに同意するアリナお姉さま。
「全属性とは・・・末恐ろしいわ・・・」
妖魔でも相手にしているような声で恐れ慄く父上。
反応が微妙に違っていて面白いな。
「じゃあ、リレンも魔法を使えるようになったし、マークに登場してもらいましょうか」
母上が妖しい笑みを浮かべ、俺は得体の知れない恐怖に包まれたのであった。
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