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本編
1章
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20××年3月18日 6:50
私の住む地域から高校までは電車で駅前まで行き、駅からバスに乗り換える。
だから6時台に家を出なければいけない。そして、冬である今時期は一日中気温がマイナスになるため手は悴んでしまう。それも苦痛ではなかった、今隣にいる哲也のおかげで。
哲也とは野上哲也という私の幼なじみのことだ。中学2年生の夏から付き合って、今年の夏で4年になる。お互い家が近く歩いて1分ぐらいで小学生の頃からお互いの家を行き来していた。それほど近く、同じ高校のため、一緒に通学していた。
クラスは私が3年間クラスが変わらない情報科だが、哲也は普通科で毎年クラス替えがある。そのため同じクラスになることはなく、教室も普通科とその他の学科で分けられているため遠かった。それでも同じ学校なだけでもよかった。
「そういえば、一華って球技大会何出るの?」
私たちの学校では3年生が卒業した後1.2年生だけのクラス対抗球技大会があった。
「私はバスケ出るよ。」
「そういえば元バスケ部だもんな」
「忘れてたのかい。哲也は?」
「俺もバスケ出る。応援しろよ。」
「もちろん。哲也のこと応援したりするのも最後になっちゃうのか」
「まだ、大会も体育祭あるよ」
「そうだった」
「忘れんなよ」
哲也はサッカー部だが、運動神経が良かったため、昔からバスケなどで選抜されていた。
「部活はどう? レギュラーなれそう?」
「微妙かな。同じ学年に同じポジションの人何人かいるからな。試合には出れるとは思うけど」
「試合には出れるなら見に行くよ!」
「でもそっちも高体連あるんじゃないの?」
「何日?」
「確か23~25日だったはず」
「被ってる気がする…試合が早く終わったら見に行くから!」
「ありがとう。俺も時間あれば見に行くよ」
「会場って去年と一緒のところ?」
「そうだよ」
「じゃあ片道20分ぐらいかかるのか」
「無理してこなくても大丈夫だよ」
「無理してない!私が見たいの!」
「それなら応援しに来てね」
「もちろん」
「一華おはよう!」
「おはよう。さっちゃん」
教室に入るとクラスで一番仲のいい女子の広野沙月に話しかけられた。
「そうだ。球技大会なんだけど、一緒にツインテールにしない?」
「あーごめん。私いつも通りポニーテールにするかな」
「えー。絶対似合うと思うのに」
「ごめんね」
「そういえば、一華ってさ、なんでずっとポニーテールなの?一年生の頃から、他の髪型見たことないんだけど」
「中学生の時に哲也に一華はポニーテールが一番似合うって言われてから、その時からずっとこれ」
「相変わらず一華、彼氏のこと大好きだね。」
「うん。めっちゃ好き。」
「朝からのろけすぎ」
チャイムがなり、朝読書の時間になった。
私たちは他のカップルとは違い、SNSに載せたりなどはしてない。だから同じクラスでも仲のいい子しか付き合っていることを知らない。そういうのがなくても一緒にいるだけで幸せだった。実際ここ最近はお互い部活で忙しいこともあり、家でゴロゴロしてばかりだが、そんな時間も幸せだった。
20××年3月25日 20:03
「お邪魔しまーす」
学校の講習と部活が終わり、哲也の家に遊びにきたが、哲也のテンションが朝より暗い気がした。
「どうしたの? なんか暗くない?」
そう言い、顔を覗き込むと腕を引かれ、抱きしめられた。
「…何かあったの?」
「…なんでもない」
顔は見えないが、声などから泣いてるようだった。
「ごめん。今日は帰って」
「…わかった」
聞いたところで答えないのはわかっていたのでおとなしく帰った。クラスで何かあったのかな。でも哲也のことだから、明日の朝にはいつも通りに戻っているだろうと思ったら、案の定普段と変わらない様子だった。元気はなさそうだが、普段から特別明るいわけではないので、気にしなかった。
私の住む地域から高校までは電車で駅前まで行き、駅からバスに乗り換える。
だから6時台に家を出なければいけない。そして、冬である今時期は一日中気温がマイナスになるため手は悴んでしまう。それも苦痛ではなかった、今隣にいる哲也のおかげで。
哲也とは野上哲也という私の幼なじみのことだ。中学2年生の夏から付き合って、今年の夏で4年になる。お互い家が近く歩いて1分ぐらいで小学生の頃からお互いの家を行き来していた。それほど近く、同じ高校のため、一緒に通学していた。
クラスは私が3年間クラスが変わらない情報科だが、哲也は普通科で毎年クラス替えがある。そのため同じクラスになることはなく、教室も普通科とその他の学科で分けられているため遠かった。それでも同じ学校なだけでもよかった。
「そういえば、一華って球技大会何出るの?」
私たちの学校では3年生が卒業した後1.2年生だけのクラス対抗球技大会があった。
「私はバスケ出るよ。」
「そういえば元バスケ部だもんな」
「忘れてたのかい。哲也は?」
「俺もバスケ出る。応援しろよ。」
「もちろん。哲也のこと応援したりするのも最後になっちゃうのか」
「まだ、大会も体育祭あるよ」
「そうだった」
「忘れんなよ」
哲也はサッカー部だが、運動神経が良かったため、昔からバスケなどで選抜されていた。
「部活はどう? レギュラーなれそう?」
「微妙かな。同じ学年に同じポジションの人何人かいるからな。試合には出れるとは思うけど」
「試合には出れるなら見に行くよ!」
「でもそっちも高体連あるんじゃないの?」
「何日?」
「確か23~25日だったはず」
「被ってる気がする…試合が早く終わったら見に行くから!」
「ありがとう。俺も時間あれば見に行くよ」
「会場って去年と一緒のところ?」
「そうだよ」
「じゃあ片道20分ぐらいかかるのか」
「無理してこなくても大丈夫だよ」
「無理してない!私が見たいの!」
「それなら応援しに来てね」
「もちろん」
「一華おはよう!」
「おはよう。さっちゃん」
教室に入るとクラスで一番仲のいい女子の広野沙月に話しかけられた。
「そうだ。球技大会なんだけど、一緒にツインテールにしない?」
「あーごめん。私いつも通りポニーテールにするかな」
「えー。絶対似合うと思うのに」
「ごめんね」
「そういえば、一華ってさ、なんでずっとポニーテールなの?一年生の頃から、他の髪型見たことないんだけど」
「中学生の時に哲也に一華はポニーテールが一番似合うって言われてから、その時からずっとこれ」
「相変わらず一華、彼氏のこと大好きだね。」
「うん。めっちゃ好き。」
「朝からのろけすぎ」
チャイムがなり、朝読書の時間になった。
私たちは他のカップルとは違い、SNSに載せたりなどはしてない。だから同じクラスでも仲のいい子しか付き合っていることを知らない。そういうのがなくても一緒にいるだけで幸せだった。実際ここ最近はお互い部活で忙しいこともあり、家でゴロゴロしてばかりだが、そんな時間も幸せだった。
20××年3月25日 20:03
「お邪魔しまーす」
学校の講習と部活が終わり、哲也の家に遊びにきたが、哲也のテンションが朝より暗い気がした。
「どうしたの? なんか暗くない?」
そう言い、顔を覗き込むと腕を引かれ、抱きしめられた。
「…何かあったの?」
「…なんでもない」
顔は見えないが、声などから泣いてるようだった。
「ごめん。今日は帰って」
「…わかった」
聞いたところで答えないのはわかっていたのでおとなしく帰った。クラスで何かあったのかな。でも哲也のことだから、明日の朝にはいつも通りに戻っているだろうと思ったら、案の定普段と変わらない様子だった。元気はなさそうだが、普段から特別明るいわけではないので、気にしなかった。
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