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第十二章:仲間を探して
第百五十一話:勇者達に眠る力
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またドラゴンを一頭倒した。
世界の中の魔王の意思とでも呼ぶべきものは、二人を殺そうと魔物を差し向けている。
それは、明らかだった。
グレーズ王国王都にドラゴンが二頭襲来する等勇者の歴史が始まってから450年、一度たりともあり得なかったし、グランドドラゴンが群れを成すことも、魔王が二体も生まれたことも、全てはきっと二人を殺すための世界の意思なのだろう。
正確には、レインを殺すための、なのかもしれないが。
とは言え、二人にドラゴンが一頭襲いかかった所で最早驚異は何もない。
今回はサニィが一人で蔦を絡みつかせ地面に落とすと、そのまま縫い付けリヴァイアサンを倒した要領で首を切断して終わり。
触媒を使う必要も、呪文を使う必要もない、シンプルな方法での圧倒的な威力と手際の良さが、今のサニィには備わっていた。
何故殺せもしない二人にこれ程に魔物が集まるのか、その理由は未だ分かりはしないものの、それなりに退屈しない旅だと思えば悪くはない。
どちらにせよ、ドラゴンが襲いかかってきたのなら倒すことが世界の為でもある。
「本当に強くなったな、サニィ」
しみじみとそんなことを言う。
「えへへ、何げに私のマナの内包量って、陽だけならレインさんよりも大分上みたいなんですよね。レインさんは陰のマナの方が少し多いんで合わせちゃうと結構差がありますけど」
「なるほど」
「まあ、私がこんなに力が引き出せるようになったのは魔王化のおかげですけど。レインさんは最初からマナの力をほぼ100%引き出せてるんですよねー」
それが、レインの強さの根本だと言う。
多くの者は体の中に眠るそれを十分に発揮できていない。ディエゴだけは90%以上引き出せているものの、それ以外はオリヴィアでも75%程度。今のサニィは魔王化の影響で95%程までその力を引き出せているらしい。
「と、なるとやはりオリヴィアやエリーがお前並みになるのは厳しいか」
「二人合わせれば私より上なんですけどね。でも、それでもレインさんにはやっぱり届きませんねえ」
とは言え、その力を引き出す方法はレインすら分かっていない。
しかし、レインの能力が隙を見ることであるのに対して、隙とは言えない様な空間の歪さえも見極めて切り裂いてしまえるという事実まで考えれば、体内に眠るそれの可能性はまだまだ大きく感じる。
「ディエゴ体内のマナってそれほど多くないと言ったよな」
「はい、オリヴィアよりだいぶ少ないですね。ディエゴさん位なら結構いるんですよ」
「それで最強と言われていた理由が、その潜在能力を引き出す力か」
「そうかもしれません。あの絶対回避って、ディエゴさん位のマナじゃ不可能な能力だと思うんです」
「オリヴィアの必中が届かないんだよな。絶対回避が解けるタイミングに合わせて一撃を入れて一本取ったと言っていたが、やはりその差があるのだろうか」
サニィにだけはそれを感じることが出来るものの、レインにはそれを感じ取ることは出来ない。
二人はそれぞれ別々にその力を引き出すことに成功しているものの、レインには自覚がなければサニィは魔王の力だ。ディエゴも恐らくは、気づいていない。
「まあ、俺達に分からない以上は一先ず置いておこう。とりあえずはフグだ」
「ドラゴンを倒してすぐフグ食べたいなんて言える人レインさん位ですよ……」
「しかし、きっとオリヴィアの必中にも、エリーの読心にも先があるんだろうな。それだけは頭の片隅に残しておこうか」
「そうですね、フグ、楽しみです」
ドラゴンを倒してすぐフグを食べたいなんて言える人間はこの二人くらいのものだろう。
極西の島国までは順調に行けば本日海に出て三日後には着く予定。
いよいよ待ちに待ったフグ料理を食べられると二人は舞い上がる。
「俺の母親は毒ごと食うのが一番美味いとか言っていたが、流石にそれは自重しよう」
「レインさんが食べるなら私も食べますから」
「あ、ああ……。分かった」
怒られるよりも、その方が効果があった。
数時間で死に至る毒をサニィが解毒することは現状では不可能だ。
それに、フグ毒の解析をしてしまえばレインが海で食べてしまうのではと考えて、ちょくちょく釣り上げてしまうフグを解析もせずに逃がしていた。
釣り上げてしまう度に食べたそうにフグを見つめるレインが可愛いと思ってしまったものの、時には厳しく躾をしないといけないと思っていたサニィは、レインの能力を使えばフグを問題なく捌く力があるのではと思いながらも、ずっと黙っていた。
それから三日、レインとサニィは特に問題も無く極西の国リブレイドに到着した。
定期便がちょうど出発する前に港に着き、海も二人が乗っていたにも関わらず平和そのものだったので、完全な予定通り。
二人は船から降りると子どもの様にはしゃいでフグの店を探した。
「おおお、レインさん! あそこ! あそこフグの、剥製! 剥製が吊ってありますよ!」
「おお、本物だな。よし、とりあえずはあそこに入るぞ。美味ければ色々回ろう」
「はいっ!」
はしゃいで手を引くサニィと、それと同じ位内心盛り上がっているレインを見て、それが聖女と鬼神だと分かる人物は、一人も居なかっただろう。
残り[896日→868日]
世界の中の魔王の意思とでも呼ぶべきものは、二人を殺そうと魔物を差し向けている。
それは、明らかだった。
グレーズ王国王都にドラゴンが二頭襲来する等勇者の歴史が始まってから450年、一度たりともあり得なかったし、グランドドラゴンが群れを成すことも、魔王が二体も生まれたことも、全てはきっと二人を殺すための世界の意思なのだろう。
正確には、レインを殺すための、なのかもしれないが。
とは言え、二人にドラゴンが一頭襲いかかった所で最早驚異は何もない。
今回はサニィが一人で蔦を絡みつかせ地面に落とすと、そのまま縫い付けリヴァイアサンを倒した要領で首を切断して終わり。
触媒を使う必要も、呪文を使う必要もない、シンプルな方法での圧倒的な威力と手際の良さが、今のサニィには備わっていた。
何故殺せもしない二人にこれ程に魔物が集まるのか、その理由は未だ分かりはしないものの、それなりに退屈しない旅だと思えば悪くはない。
どちらにせよ、ドラゴンが襲いかかってきたのなら倒すことが世界の為でもある。
「本当に強くなったな、サニィ」
しみじみとそんなことを言う。
「えへへ、何げに私のマナの内包量って、陽だけならレインさんよりも大分上みたいなんですよね。レインさんは陰のマナの方が少し多いんで合わせちゃうと結構差がありますけど」
「なるほど」
「まあ、私がこんなに力が引き出せるようになったのは魔王化のおかげですけど。レインさんは最初からマナの力をほぼ100%引き出せてるんですよねー」
それが、レインの強さの根本だと言う。
多くの者は体の中に眠るそれを十分に発揮できていない。ディエゴだけは90%以上引き出せているものの、それ以外はオリヴィアでも75%程度。今のサニィは魔王化の影響で95%程までその力を引き出せているらしい。
「と、なるとやはりオリヴィアやエリーがお前並みになるのは厳しいか」
「二人合わせれば私より上なんですけどね。でも、それでもレインさんにはやっぱり届きませんねえ」
とは言え、その力を引き出す方法はレインすら分かっていない。
しかし、レインの能力が隙を見ることであるのに対して、隙とは言えない様な空間の歪さえも見極めて切り裂いてしまえるという事実まで考えれば、体内に眠るそれの可能性はまだまだ大きく感じる。
「ディエゴ体内のマナってそれほど多くないと言ったよな」
「はい、オリヴィアよりだいぶ少ないですね。ディエゴさん位なら結構いるんですよ」
「それで最強と言われていた理由が、その潜在能力を引き出す力か」
「そうかもしれません。あの絶対回避って、ディエゴさん位のマナじゃ不可能な能力だと思うんです」
「オリヴィアの必中が届かないんだよな。絶対回避が解けるタイミングに合わせて一撃を入れて一本取ったと言っていたが、やはりその差があるのだろうか」
サニィにだけはそれを感じることが出来るものの、レインにはそれを感じ取ることは出来ない。
二人はそれぞれ別々にその力を引き出すことに成功しているものの、レインには自覚がなければサニィは魔王の力だ。ディエゴも恐らくは、気づいていない。
「まあ、俺達に分からない以上は一先ず置いておこう。とりあえずはフグだ」
「ドラゴンを倒してすぐフグ食べたいなんて言える人レインさん位ですよ……」
「しかし、きっとオリヴィアの必中にも、エリーの読心にも先があるんだろうな。それだけは頭の片隅に残しておこうか」
「そうですね、フグ、楽しみです」
ドラゴンを倒してすぐフグを食べたいなんて言える人間はこの二人くらいのものだろう。
極西の島国までは順調に行けば本日海に出て三日後には着く予定。
いよいよ待ちに待ったフグ料理を食べられると二人は舞い上がる。
「俺の母親は毒ごと食うのが一番美味いとか言っていたが、流石にそれは自重しよう」
「レインさんが食べるなら私も食べますから」
「あ、ああ……。分かった」
怒られるよりも、その方が効果があった。
数時間で死に至る毒をサニィが解毒することは現状では不可能だ。
それに、フグ毒の解析をしてしまえばレインが海で食べてしまうのではと考えて、ちょくちょく釣り上げてしまうフグを解析もせずに逃がしていた。
釣り上げてしまう度に食べたそうにフグを見つめるレインが可愛いと思ってしまったものの、時には厳しく躾をしないといけないと思っていたサニィは、レインの能力を使えばフグを問題なく捌く力があるのではと思いながらも、ずっと黙っていた。
それから三日、レインとサニィは特に問題も無く極西の国リブレイドに到着した。
定期便がちょうど出発する前に港に着き、海も二人が乗っていたにも関わらず平和そのものだったので、完全な予定通り。
二人は船から降りると子どもの様にはしゃいでフグの店を探した。
「おおお、レインさん! あそこ! あそこフグの、剥製! 剥製が吊ってありますよ!」
「おお、本物だな。よし、とりあえずはあそこに入るぞ。美味ければ色々回ろう」
「はいっ!」
はしゃいで手を引くサニィと、それと同じ位内心盛り上がっているレインを見て、それが聖女と鬼神だと分かる人物は、一人も居なかっただろう。
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