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第十五章:帰還、そして最後の一年
第二百二十一話:霊峰はやはりお祭り
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マナスル魔法研究所のグラウンドでは、ルークとエレナ対研究所とグレーズ魔法師団、そして新たに設立されたベラトゥーラ魔法師団で模擬戦をしていた。
皆互いに高め合っている。しかし、やはり今のルークとエレナはやはり抜けていた。
レインやサニィと訓練を行っただけでなく、ドラゴンとの実践を通して得た勘は、相手の全てを上回っている。
エレナに彼らの魔法が当たることはまずない。
彼らはエレナに幻術をかけられることで誤認してしまうし、仮に流れ弾が飛んできたとしても持ち前の体捌きと図太さで、焦ることなくそれに対処する。幻術をかけられていることが分かっていて、避けられない攻撃を出した所で、意味はない。
彼女のパートナーはルークだ。使われている魔法を瞬時に分析して反魔法でそれを打ち消してまえるし、面倒くさいと思えば重力魔法で軌道を逸らすことも、収束させてしまうことも出来る。
更に、空間魔法によって、彼らの魔法を途中で消滅させてしまうことすら可能だ。
問題なのは、重力魔法と空間魔法は例えルークを以てしても膨大なマナを消費するために、乱発しすぎることは出来ないということ。
とは言え、瞬時に相手の中心に滑り込み、瞬間的な斥力で吹き飛ばしてしまえば、それに対応することなどライラやナディア以上の力を持っていなければ不可能だ。まるで紙くずかのように吹き飛ばされる魔法使い達は、着地の方法を空中で必死に考えることになる。
二人は決して無敵ではない。
マナが尽きれば一時的にはただの人になってしまうし、如何に図太いエレナとは言え妄想する時間を与えなければ防戦一方となる。ルークの複雑な思考では更にそれが顕著だ。
相手チームは必ず先制を取ろうと努力する。ほんの一瞬でもルークの思考を逸らすことが出来ればエレナもそれが気になり魔法の威力が落ちる。元々気分によって魔法の威力が大幅に変化するエレナの弱点は、すなわちルークだ。
最初さえ決まれば十分勝機がある。そんな風に。
だからこそ、二人は互いを常にカバーしながら戦う。
「やってますねぇ。なんか羨ましいなぁ」
それを見ていたサニィは言う。嬉しそうに、少しだけ、寂しそうに。
「羨ましい?」
気になったレインは問う。
「ええ、羨ましいです。レインさんや私は一人で完結しちゃうじゃないですか。無限のマナに無敵の特性。強力なんてする余地なく相手を倒せちゃいますから」
「……なるほど」
レインを守ると息巻くサニィが、互いをカバーし合いながら戦う二人を見て羨ましいと感じるのも、当然のことだ。
「それにしても、私があの二人に教えられること、もう全くないですね」
「個性を出してきているな。理論だ何だいっても、やはりイメージが重要な魔法ではこうなるのも仕方あるまい」
強大な出力に任せたサニィの圧倒的な魔法に対して、重力と空間を支配するルークに、幻術を得意とするエレナ。
「そうですねぇ。空間魔法なんて意味分かりませんし」
サニィの使う転移魔法は分解した肉体をマナに変換して世界に満ちるマナに乗せる。マナは球状の世界の表面だけでなく、中心の方まで深く満ちている。その為、目標のポイントに向かって一直線に流し込むイメージで移動させている。それを目標地点に到達した所で再び再構築するところまでが一連の流れだ。
だからこそ、転移とは言え多少の時間がかかる移動方法となっている。
レインの肉体だけは非常に難易度が高かったが、マナに語りかけるそれのおかげか、かなり強引に成功させるに至っている。
レインの体内マナが減る理由の一つにそれがあることは、二人ともが黙殺している事実だ。
対してルークは、一時的に視点を変えて空間を跨ぐ。
見える範囲にしか移動できはしないし、途中で何かが視線を遮ってしまえば使えなくなるが、瞬時に移動が出来る。更にはレインの消滅してしまう剣達にヒントを覚え、相手の攻撃を別の隣合った次元に追いやることも、マナの7割ほどを消費することで可能となっている。
まだまだ改良の余地はあるだろうが、今は瞬時に短距離を移動出来るというだけで、オリヴィアにも劣らぬ機動力を有している。もちろん、移動後の空間把握に多少の時間がかかってしまう為、結果的にはオリヴィアより遅いのだが、それでも充分に速い。
「何と言うか、英雄候補達の中で一番心配いらないのがルークな気がするな」
「レインさんは弟子二人が一番心配ですもんね。私はみんな心配です。大丈夫だとは思うけど、ずっと心配」
レインに対して、サニィはそう返す。
サニィにとってはレインの弟子二人も妹の様なものだし、彼らも大事な生徒だし、アリエルも、イリスも大切な妹の様なものだ。
少しだけ、レインとは違う。
「まあ、それでも私はレインさんと一緒にいることを選んじゃうんですよねぇ」
「そうだな。どちらか片方でも生き残れば、世界は確実に守られるんだがな」
「そうですねぇ。でも、レインさん力ある者はそれを行使する義務があるって昔言ってませんでしたっけ」
「俺の力はお前を守る為にあるんだ」
「あはは、詭弁ですね」
サニィは少しだけ嬉しそうなのを隠せず、仕方ないなと笑う。
「まぁでも、魔王を二人倒したんですから、少し位はわがままも許されて良いですよね」
「ダメだって言う奴は殺すか」
「あはは、それじゃレインさんが魔王になっちゃいますよ。魔王より強いから魔神?」
冗談になっていない冗談にも笑いながら、二人はマナスルを後にする。
後ろには、少し張り切り過ぎたのかマナが切れたルークを庇って、エイミーに吹き飛ばされるエレナの姿があった。
もちろんそんなエイミーも、5秒後にはルークに飛ばされていた。
魔法使い達もまた、切磋琢磨しながら成長していく。
皆互いに高め合っている。しかし、やはり今のルークとエレナはやはり抜けていた。
レインやサニィと訓練を行っただけでなく、ドラゴンとの実践を通して得た勘は、相手の全てを上回っている。
エレナに彼らの魔法が当たることはまずない。
彼らはエレナに幻術をかけられることで誤認してしまうし、仮に流れ弾が飛んできたとしても持ち前の体捌きと図太さで、焦ることなくそれに対処する。幻術をかけられていることが分かっていて、避けられない攻撃を出した所で、意味はない。
彼女のパートナーはルークだ。使われている魔法を瞬時に分析して反魔法でそれを打ち消してまえるし、面倒くさいと思えば重力魔法で軌道を逸らすことも、収束させてしまうことも出来る。
更に、空間魔法によって、彼らの魔法を途中で消滅させてしまうことすら可能だ。
問題なのは、重力魔法と空間魔法は例えルークを以てしても膨大なマナを消費するために、乱発しすぎることは出来ないということ。
とは言え、瞬時に相手の中心に滑り込み、瞬間的な斥力で吹き飛ばしてしまえば、それに対応することなどライラやナディア以上の力を持っていなければ不可能だ。まるで紙くずかのように吹き飛ばされる魔法使い達は、着地の方法を空中で必死に考えることになる。
二人は決して無敵ではない。
マナが尽きれば一時的にはただの人になってしまうし、如何に図太いエレナとは言え妄想する時間を与えなければ防戦一方となる。ルークの複雑な思考では更にそれが顕著だ。
相手チームは必ず先制を取ろうと努力する。ほんの一瞬でもルークの思考を逸らすことが出来ればエレナもそれが気になり魔法の威力が落ちる。元々気分によって魔法の威力が大幅に変化するエレナの弱点は、すなわちルークだ。
最初さえ決まれば十分勝機がある。そんな風に。
だからこそ、二人は互いを常にカバーしながら戦う。
「やってますねぇ。なんか羨ましいなぁ」
それを見ていたサニィは言う。嬉しそうに、少しだけ、寂しそうに。
「羨ましい?」
気になったレインは問う。
「ええ、羨ましいです。レインさんや私は一人で完結しちゃうじゃないですか。無限のマナに無敵の特性。強力なんてする余地なく相手を倒せちゃいますから」
「……なるほど」
レインを守ると息巻くサニィが、互いをカバーし合いながら戦う二人を見て羨ましいと感じるのも、当然のことだ。
「それにしても、私があの二人に教えられること、もう全くないですね」
「個性を出してきているな。理論だ何だいっても、やはりイメージが重要な魔法ではこうなるのも仕方あるまい」
強大な出力に任せたサニィの圧倒的な魔法に対して、重力と空間を支配するルークに、幻術を得意とするエレナ。
「そうですねぇ。空間魔法なんて意味分かりませんし」
サニィの使う転移魔法は分解した肉体をマナに変換して世界に満ちるマナに乗せる。マナは球状の世界の表面だけでなく、中心の方まで深く満ちている。その為、目標のポイントに向かって一直線に流し込むイメージで移動させている。それを目標地点に到達した所で再び再構築するところまでが一連の流れだ。
だからこそ、転移とは言え多少の時間がかかる移動方法となっている。
レインの肉体だけは非常に難易度が高かったが、マナに語りかけるそれのおかげか、かなり強引に成功させるに至っている。
レインの体内マナが減る理由の一つにそれがあることは、二人ともが黙殺している事実だ。
対してルークは、一時的に視点を変えて空間を跨ぐ。
見える範囲にしか移動できはしないし、途中で何かが視線を遮ってしまえば使えなくなるが、瞬時に移動が出来る。更にはレインの消滅してしまう剣達にヒントを覚え、相手の攻撃を別の隣合った次元に追いやることも、マナの7割ほどを消費することで可能となっている。
まだまだ改良の余地はあるだろうが、今は瞬時に短距離を移動出来るというだけで、オリヴィアにも劣らぬ機動力を有している。もちろん、移動後の空間把握に多少の時間がかかってしまう為、結果的にはオリヴィアより遅いのだが、それでも充分に速い。
「何と言うか、英雄候補達の中で一番心配いらないのがルークな気がするな」
「レインさんは弟子二人が一番心配ですもんね。私はみんな心配です。大丈夫だとは思うけど、ずっと心配」
レインに対して、サニィはそう返す。
サニィにとってはレインの弟子二人も妹の様なものだし、彼らも大事な生徒だし、アリエルも、イリスも大切な妹の様なものだ。
少しだけ、レインとは違う。
「まあ、それでも私はレインさんと一緒にいることを選んじゃうんですよねぇ」
「そうだな。どちらか片方でも生き残れば、世界は確実に守られるんだがな」
「そうですねぇ。でも、レインさん力ある者はそれを行使する義務があるって昔言ってませんでしたっけ」
「俺の力はお前を守る為にあるんだ」
「あはは、詭弁ですね」
サニィは少しだけ嬉しそうなのを隠せず、仕方ないなと笑う。
「まぁでも、魔王を二人倒したんですから、少し位はわがままも許されて良いですよね」
「ダメだって言う奴は殺すか」
「あはは、それじゃレインさんが魔王になっちゃいますよ。魔王より強いから魔神?」
冗談になっていない冗談にも笑いながら、二人はマナスルを後にする。
後ろには、少し張り切り過ぎたのかマナが切れたルークを庇って、エイミーに吹き飛ばされるエレナの姿があった。
もちろんそんなエイミーも、5秒後にはルークに飛ばされていた。
魔法使い達もまた、切磋琢磨しながら成長していく。
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