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第二部第一章:鬼神を継ぐ二人
第六話:熟女は熟女で需要があるとも言ってたわよ
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「師匠はやっぱおかしいなぁ」
「そう、ですわね」
「お姉ちゃんが言ってたワイバーン700匹斬り、あれ、数関係無いみたいだよ」
「わたくしも聞いたことありますわ。見えるかどうかだけだって」
大の字に倒れたままの二人は、今は亡き師匠を思い出す。
かつて二人の師匠、勇者レインは、ワイバーン700匹を一太刀で斬ったという。
実際にエリーは5kmの斬撃を見たことがあるし、60km先まで道を作ったという話も、聞いたことがある。
「なんだっけ、真空滅多斬り?」
「次元の狭間斬りですわ。お姉様の付けた名前にケチを付けないで下さいます?」
オリヴィアのお姉様、聖女サニィはネーミングセンスが悪い。
そんな噂が世界には浸透している。
もちろん、彼女のネーミングセンスを知る二人は、その内容をよく知っている。
オリヴィアの持つ羽の重さしかない宝剣は、サニィが名前を付けたうちの一つ。
『ささみ3号』
同じくネーミングセンスの悪いオリヴィアが満足しているので、ひとまずそれは置いておこう。
問題はここから先。
「でも、お姉ちゃんが勝手に奥義名登録しちゃった時、師匠めちゃくちゃ凹んでたじゃん。あんな師匠あの時以外見たことないわよ」
「う、それは確かに。あの時のお師匠様は世界を滅亡させるかと思いましたわ……」
そう、二人の師匠が、とにかく聖女のネーミングを嫌っていたということだ。
二人が知る限りで史上二番目に強い聖女サニィは、勝手に名前を付けたことでレインの本気の怒りを受けて、世界の終わりの様な顔を浮かべていた。
今回のイフリート絨毯なら、一人で30分もあれば倒しきれるだろう聖女サニィが、だ。
なんでもしますから許して下さいとまで言いながら、怯えて泣いていたのだ。
「あの殺意のオーラを思えば、イフリートの絨毯なんか可愛いものですわね……。改めて」
「師匠はとんでもないわね……」
「しかし、じゅるり」
エリーに悪寒が走る。
あの時のお姉様は本当に可愛くてもういっそ食べちゃいたいと申しますか、こっちが食べて欲しいと申しますか、わたくしもお姉様と一緒にレイン様の罰を受けてぐちゃぐちゃにしてもらえたら嬉しか、いや、お姉様の辛さを分け合えたらと申しますか、本当に3ピ――ガンッ。
「いたぁっ」
「もう、私の隣で変な妄想するの止めてって言ってるでしょ、淫乱姫」
余りにも生々しいイメージに、14歳は真っ赤に染まる。
「レイン様の話を始めたのはエリーさんですわ」
「うるさい熟女姫」
「じゅ、熟女じゃありませんわ! わたくしはまだレイン様やお姉様と同い年です!」
23歳になった淫乱熟女は発狂する。
当然だ。23歳は熟女ではない。
「23歳は脂の乗り始め」
それが最近、12歳ほどにしか見えないエリーと共に旅をし始めてからのオリヴィアの口癖だった。
「性欲が増すのは熟女の証って女将さん言ってたし」
「お、女将さん……、いや、待ってくださいエリーさん。それは間違ってますわ」
「なによ。熟女は熟女で需要があるとも言ってたわよ」
「わたくしは14歳の頃から変わってませんわ」
ってことは昔から熟女じゃないか。
と言うのは面倒くさいので止めておくことにする。
「はあ、オリ姉のせいで、余計に疲れたわ」
「あら、わたくしはエリーさんとお話できて嬉しいですわ」
二人は、出会った時からこんな関係だった。
幼少期から心を読み取れてしまったエリーは、オリヴィアの変態的な妄想に嫌悪感を示し、しかしオリヴィアはエリーが好きだった。
それも分かってしまうため、嫌いにはなりきれない。
そんな結果、この様な関係性に収まったのだった。
性格はともかくとしてエリーはオリヴィアの剣を認めているし、オリヴィアはエリーの強さを認めている。
レインの二人の弟子は、なんだかんだで、良い関係に収まっていた。
「ふう、体に力入らないなぁ、よっと」
「3時間戦いっぱなしですものね……、んしょ」
火山地帯のど真ん中、20分程の休憩の後、二人は立ち上がる。
イフリート、約2800匹。異状も異常、有り得ない数の同時発生は、発生直後に二人が到着したことで、なんとか損害0で解決を見せた。
現在世界中で、この様な魔物達の異常発生が確認されている。
勇者レインと聖女サニィが居なくなったことで、魔物達は遂に人類を滅ぼす準備を始めた。
そんな風に、世界の上層部は意識している。
現在、魔王討伐軍のメンバーは各自世界に散らばり、そんな魔物達の討伐に当たっている。
ここグレーズ王国ではディエゴ・ルーデンス率いる騎士団と、エリーとオリヴィア。
北のベラトゥーラ共和国ではルークとエレナと言う天才魔法使い二人と、多くの魔法使い兵。
東の大陸は世界最大の国アルカナウィンドの女王アリエル・エリーゼが指揮する騎士団と大賢者アレス。
南の大陸では韋駄天ヘルメスの子孫サンダルと、女戦士国家ウアカリ。
それぞれがそれぞれに、魔物の大発生と戦っている。
その中で、最強の勇者の弟子であるエリーとオリヴィアは、二人の判断で最も厳しい場所に赴く、と言うのがその役割。
魔王が発生するまでは、二人は世界中の激戦地で戦うことになる。
まだまだ二人は師に比べれば未熟だ。
だからこそ、最高戦力として二人は、まだまだ強くならなければならない。
「んんんんんー、次は砂漠ね。なんか嫌な予感がするわ」
「わかりましたわ。行きましょう」
二人は重い体を引きずりながら、大陸を横断して、反対側へと向かう。
明日には酷い筋肉痛になるだろうと予想しながら。
エリーはそれを嫌だなあと思いながら、オリヴィアは痛気持ち良いんだろうなあと思いながら、一先ず転移魔法の使える魔法使いの居る町まで、歩いていく。
「そう、ですわね」
「お姉ちゃんが言ってたワイバーン700匹斬り、あれ、数関係無いみたいだよ」
「わたくしも聞いたことありますわ。見えるかどうかだけだって」
大の字に倒れたままの二人は、今は亡き師匠を思い出す。
かつて二人の師匠、勇者レインは、ワイバーン700匹を一太刀で斬ったという。
実際にエリーは5kmの斬撃を見たことがあるし、60km先まで道を作ったという話も、聞いたことがある。
「なんだっけ、真空滅多斬り?」
「次元の狭間斬りですわ。お姉様の付けた名前にケチを付けないで下さいます?」
オリヴィアのお姉様、聖女サニィはネーミングセンスが悪い。
そんな噂が世界には浸透している。
もちろん、彼女のネーミングセンスを知る二人は、その内容をよく知っている。
オリヴィアの持つ羽の重さしかない宝剣は、サニィが名前を付けたうちの一つ。
『ささみ3号』
同じくネーミングセンスの悪いオリヴィアが満足しているので、ひとまずそれは置いておこう。
問題はここから先。
「でも、お姉ちゃんが勝手に奥義名登録しちゃった時、師匠めちゃくちゃ凹んでたじゃん。あんな師匠あの時以外見たことないわよ」
「う、それは確かに。あの時のお師匠様は世界を滅亡させるかと思いましたわ……」
そう、二人の師匠が、とにかく聖女のネーミングを嫌っていたということだ。
二人が知る限りで史上二番目に強い聖女サニィは、勝手に名前を付けたことでレインの本気の怒りを受けて、世界の終わりの様な顔を浮かべていた。
今回のイフリート絨毯なら、一人で30分もあれば倒しきれるだろう聖女サニィが、だ。
なんでもしますから許して下さいとまで言いながら、怯えて泣いていたのだ。
「あの殺意のオーラを思えば、イフリートの絨毯なんか可愛いものですわね……。改めて」
「師匠はとんでもないわね……」
「しかし、じゅるり」
エリーに悪寒が走る。
あの時のお姉様は本当に可愛くてもういっそ食べちゃいたいと申しますか、こっちが食べて欲しいと申しますか、わたくしもお姉様と一緒にレイン様の罰を受けてぐちゃぐちゃにしてもらえたら嬉しか、いや、お姉様の辛さを分け合えたらと申しますか、本当に3ピ――ガンッ。
「いたぁっ」
「もう、私の隣で変な妄想するの止めてって言ってるでしょ、淫乱姫」
余りにも生々しいイメージに、14歳は真っ赤に染まる。
「レイン様の話を始めたのはエリーさんですわ」
「うるさい熟女姫」
「じゅ、熟女じゃありませんわ! わたくしはまだレイン様やお姉様と同い年です!」
23歳になった淫乱熟女は発狂する。
当然だ。23歳は熟女ではない。
「23歳は脂の乗り始め」
それが最近、12歳ほどにしか見えないエリーと共に旅をし始めてからのオリヴィアの口癖だった。
「性欲が増すのは熟女の証って女将さん言ってたし」
「お、女将さん……、いや、待ってくださいエリーさん。それは間違ってますわ」
「なによ。熟女は熟女で需要があるとも言ってたわよ」
「わたくしは14歳の頃から変わってませんわ」
ってことは昔から熟女じゃないか。
と言うのは面倒くさいので止めておくことにする。
「はあ、オリ姉のせいで、余計に疲れたわ」
「あら、わたくしはエリーさんとお話できて嬉しいですわ」
二人は、出会った時からこんな関係だった。
幼少期から心を読み取れてしまったエリーは、オリヴィアの変態的な妄想に嫌悪感を示し、しかしオリヴィアはエリーが好きだった。
それも分かってしまうため、嫌いにはなりきれない。
そんな結果、この様な関係性に収まったのだった。
性格はともかくとしてエリーはオリヴィアの剣を認めているし、オリヴィアはエリーの強さを認めている。
レインの二人の弟子は、なんだかんだで、良い関係に収まっていた。
「ふう、体に力入らないなぁ、よっと」
「3時間戦いっぱなしですものね……、んしょ」
火山地帯のど真ん中、20分程の休憩の後、二人は立ち上がる。
イフリート、約2800匹。異状も異常、有り得ない数の同時発生は、発生直後に二人が到着したことで、なんとか損害0で解決を見せた。
現在世界中で、この様な魔物達の異常発生が確認されている。
勇者レインと聖女サニィが居なくなったことで、魔物達は遂に人類を滅ぼす準備を始めた。
そんな風に、世界の上層部は意識している。
現在、魔王討伐軍のメンバーは各自世界に散らばり、そんな魔物達の討伐に当たっている。
ここグレーズ王国ではディエゴ・ルーデンス率いる騎士団と、エリーとオリヴィア。
北のベラトゥーラ共和国ではルークとエレナと言う天才魔法使い二人と、多くの魔法使い兵。
東の大陸は世界最大の国アルカナウィンドの女王アリエル・エリーゼが指揮する騎士団と大賢者アレス。
南の大陸では韋駄天ヘルメスの子孫サンダルと、女戦士国家ウアカリ。
それぞれがそれぞれに、魔物の大発生と戦っている。
その中で、最強の勇者の弟子であるエリーとオリヴィアは、二人の判断で最も厳しい場所に赴く、と言うのがその役割。
魔王が発生するまでは、二人は世界中の激戦地で戦うことになる。
まだまだ二人は師に比べれば未熟だ。
だからこそ、最高戦力として二人は、まだまだ強くならなければならない。
「んんんんんー、次は砂漠ね。なんか嫌な予感がするわ」
「わかりましたわ。行きましょう」
二人は重い体を引きずりながら、大陸を横断して、反対側へと向かう。
明日には酷い筋肉痛になるだろうと予想しながら。
エリーはそれを嫌だなあと思いながら、オリヴィアは痛気持ち良いんだろうなあと思いながら、一先ず転移魔法の使える魔法使いの居る町まで、歩いていく。
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