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幸せを願うお嬢様
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「そう……ですか、子爵家と公爵家では何もかも違いますものね……」
(これはマウンティングなのかしら?逆マウンティング?
子爵家出身と言う事を忘れないで欲しいっていう主張なのかしら?
それとも、我が家ではこうでしたのよ?と主張したいのかしら?)
マリアローゼはどう答えた物かと考えつつ、違いは違いなので同意する事にした。
「そうですわね」
シン、と沈黙が降りたところで、マリアローゼは食事の続きを始めた。
折角のお料理が冷めてしまうのである。
昼食を終えて、ルーナとオリーヴェがステラを伴なって部屋を後にした後、シスネがマリアローゼにススッと寄って来た。
珍しいので、マリアローゼはシスネを見上げて頷いた。
何か折り入って話があるのだろう。
「先程お話されていた事と関係があるのですが、テララ子爵家は取り潰しになりそうです」
(エエーー!?)
心の中でマリアローゼは盛大に叫んだ。
「な、何故でしょう?ほんの2週間ほど前は我が家のお茶会にも参加されていたのに…?」
「奥様からの通告で事実上社交界出入禁止になった事で、元々あった借金の督促が酷くなったようでして、家屋や財産を売り払っても追いつかないからか、払いたくないからか分かりませんが、出奔したそうです。行き先は恐らくフォールハイト帝国の縁者の元かと……」
貴族は偉い、と思われがちだが、実際にはそうでもない事もある。
身分的には勿論高位なのだが、金銭面においてはまた別なのだ。
社交界を出入禁止になった事で、家名に傷が付いたという事は、社会的な信用度が低下した事に他ならない。
門閥派閥同士の戦いであれば、それぞれの利益に従う事になるだろうが、村八分状態の家に金を貸す人間はほぼいない。
いたとしたら、悪徳貸金業者だ。
信用が傷ついたのも理由だろうが、ラクリマ侯爵家からの援助がなくなったのも大きな要因だろう。
富が得られず、逃げなければ減る、となったら一目散に逃げた理由も理解出来る。
もしかしたらあの子爵の事だから、危ない事業に手を染めていた可能性すら、あるだろう。
ステラの不在を狙ってシスネが報告したという事は、ステラは知らないのだろう。
今のステラの選択肢は2つだ。
侯爵家に引き取られるか、平民となるか。
「彼女はどちらを選ぶのかしら……」
マリアローゼは大きく溜息を吐いた。
(いいえ、その選択肢も彼女自身が選べる訳ではないのでしたわ)
あくまでも選択権は彼女ではなく、彼女の祖父母と現侯爵夫妻にあるのだ。
ここできちんと教育を受けるかどうか、その資質があるかどうかが問われている。
今は既に躓いていて、侍女になる事すら許されていない。
このままでは、きっと彼女は駄目になってしまうかもしれない。
勢いで引き受けた形だが、幸せになってほしい気持ちは本当である。
放置したら悪化しても改善する見込みはなさそうだ。
「晩餐と勉強会を終えたら、わたくしとステラの二人で話がしたいのです」
「その様にお手配致します。ですが、万一の為に備えて、私は隣室で待機しておりますので」
「ええ、お願い致しますわね」
(彼女を何とか少しでも良い方に向けてあげられれば良いのだけれど)
専門的な知識もないし、前世の記憶も読書好きなだけの平凡な女性の記憶しかない。
(もし失敗したら専門のお医者様に相談して、魔法でちゃっちゃと治せる可能性も模索しましょう)
マリアローゼは前向きに考えを改めて、こくん、と頷いた。
ユリアに相談したら洗脳という物騒で簡単な方法を提案されそうなので、まずはステラとだけ話をしようとマリアローゼは決意を新たにした。
(これはマウンティングなのかしら?逆マウンティング?
子爵家出身と言う事を忘れないで欲しいっていう主張なのかしら?
それとも、我が家ではこうでしたのよ?と主張したいのかしら?)
マリアローゼはどう答えた物かと考えつつ、違いは違いなので同意する事にした。
「そうですわね」
シン、と沈黙が降りたところで、マリアローゼは食事の続きを始めた。
折角のお料理が冷めてしまうのである。
昼食を終えて、ルーナとオリーヴェがステラを伴なって部屋を後にした後、シスネがマリアローゼにススッと寄って来た。
珍しいので、マリアローゼはシスネを見上げて頷いた。
何か折り入って話があるのだろう。
「先程お話されていた事と関係があるのですが、テララ子爵家は取り潰しになりそうです」
(エエーー!?)
心の中でマリアローゼは盛大に叫んだ。
「な、何故でしょう?ほんの2週間ほど前は我が家のお茶会にも参加されていたのに…?」
「奥様からの通告で事実上社交界出入禁止になった事で、元々あった借金の督促が酷くなったようでして、家屋や財産を売り払っても追いつかないからか、払いたくないからか分かりませんが、出奔したそうです。行き先は恐らくフォールハイト帝国の縁者の元かと……」
貴族は偉い、と思われがちだが、実際にはそうでもない事もある。
身分的には勿論高位なのだが、金銭面においてはまた別なのだ。
社交界を出入禁止になった事で、家名に傷が付いたという事は、社会的な信用度が低下した事に他ならない。
門閥派閥同士の戦いであれば、それぞれの利益に従う事になるだろうが、村八分状態の家に金を貸す人間はほぼいない。
いたとしたら、悪徳貸金業者だ。
信用が傷ついたのも理由だろうが、ラクリマ侯爵家からの援助がなくなったのも大きな要因だろう。
富が得られず、逃げなければ減る、となったら一目散に逃げた理由も理解出来る。
もしかしたらあの子爵の事だから、危ない事業に手を染めていた可能性すら、あるだろう。
ステラの不在を狙ってシスネが報告したという事は、ステラは知らないのだろう。
今のステラの選択肢は2つだ。
侯爵家に引き取られるか、平民となるか。
「彼女はどちらを選ぶのかしら……」
マリアローゼは大きく溜息を吐いた。
(いいえ、その選択肢も彼女自身が選べる訳ではないのでしたわ)
あくまでも選択権は彼女ではなく、彼女の祖父母と現侯爵夫妻にあるのだ。
ここできちんと教育を受けるかどうか、その資質があるかどうかが問われている。
今は既に躓いていて、侍女になる事すら許されていない。
このままでは、きっと彼女は駄目になってしまうかもしれない。
勢いで引き受けた形だが、幸せになってほしい気持ちは本当である。
放置したら悪化しても改善する見込みはなさそうだ。
「晩餐と勉強会を終えたら、わたくしとステラの二人で話がしたいのです」
「その様にお手配致します。ですが、万一の為に備えて、私は隣室で待機しておりますので」
「ええ、お願い致しますわね」
(彼女を何とか少しでも良い方に向けてあげられれば良いのだけれど)
専門的な知識もないし、前世の記憶も読書好きなだけの平凡な女性の記憶しかない。
(もし失敗したら専門のお医者様に相談して、魔法でちゃっちゃと治せる可能性も模索しましょう)
マリアローゼは前向きに考えを改めて、こくん、と頷いた。
ユリアに相談したら洗脳という物騒で簡単な方法を提案されそうなので、まずはステラとだけ話をしようとマリアローゼは決意を新たにした。
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