悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

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仲直り…仲直り?

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マリアローゼは部屋に戻って、自分の座るべき席へと歩いた。
ノクスが椅子を引き、そこへと腰掛ける。

「謝罪の場を設けたいというお申し出だった筈なのですが、わたくしの勘違いでしたかしら?」

「私は知らなかったんです。リトリーが…」

と言いかけた所で、リトリーがぴょこんと頭を下げた。

「ごめんなさいっ。父が殿下がいた方が良いだろうって……」

「まあ…お父様は気の利く御方ですのね」

勿論、余計な事しやがってという嫌味だが、二人には伝わらないだろう。
いつものように穏やかな笑みは浮かべたりせずに、マリアローゼは冷たい眼差しで二人を見据えた。
断って帰したのを見れば、王子がいて嬉しいといった態度ではないのは一目瞭然である。
この二人は穏やかに接すると、許されたと勘違いするだろう、と判断しての対応だった。

冷たい目線に、明らかに二人は挙動不審になっている。

「あの…ええと…ごめんなさい。……色々と」

何を謝ったらいいのか、多すぎて分からないのだろうか。
テレーゼは困ったように、色々とひっくるめてふわっと謝罪を口にした。
謝ろうとする気持ちになったのは進歩だが、それでは何とも言えない。
マリアローゼは黙ったまま、続きを待った。

「……私とリトリーには、この世界とは別の世界の記憶があって、その通りに行動すればいいと思って…全部は同じじゃないんだけど
…だけど、間違いだったみたい…」

「仮定の話ですけれど、この世界の話を別の世界で周囲の人にしたら、どう思われますの?
 親しくも無い殿方を追い掛け回したと知られたら、受け入れて貰えるのかしら?」

「それは………」

絶句して二人は顔を見合わせて、暗い雰囲気に染まった。

「変人だと、思われると…思います」
「良かったですわ。ここでも同じですの。貴女方は既に変人として周囲に周知されておりますわ」

リトリーは俯いて、テレーゼは両手で顔を覆った。
漸く、現実への認識が追付いてきたらしい。
マリアローゼは大きく溜息を吐いた。
これで漸く、第一歩。
前進したのである。

手元に置いてある紅茶を一口飲んで、この前と同じような残念な菓子をみつつ、手を引っ込める。

あまり美味しくないし…

と思ったが、思い直してクッキーを一枚口に入れる。
そして沈み込んで吸収されるのを待った。

テレーゼが顔を覆ったまま、しくしくと泣いている。

「どうじだらいいんでずがぁ~~」

一応は、敬語である。
マリアローゼはふむ、と唸ってから自分の考えを口にする。

「真面目に、生きる事です。学ぶべきを学び、人に対しても礼儀正しく。
 少なくともきちんとした淑女になれば、国主様も素晴らしいお相手を見つけて下さいますわ」

「でも、推しにあえないんでしょう~~」

まだ言うか。
少し呆れはするが、情熱を認めて真面目に答えを返す。

「楽をしたくて、間違った道を選んでしまったのだから仕方ありませんわ。
どちらにしても淑女として、知識と知恵を身につけない限りは何事も無理です。本当に無理です」

取りあえず無理を強調しておく。
今は平均以下の知識と常識しか持ち合わせていないのは確かだ。
何処にも行けずに、神聖国で飼い殺しにされる他無い。
そこから脱する事が出来るのか、脱しないまでも望んだ人生に近いものを得るか、それは運次第だ。
そしてその運は、努力して平均以上にならないと、意味がないものなのだ。
0にどんな数字をかけても0にしかならないのと同じである。

「…わかりましたっ…私っがんばりますっ」
「私も…やってみる…」

とりあえずは収まるところに収まっただろうか。
マリアローゼはほっと息を吐いた。
大変に、疲れた。
早く部屋に帰りたいし、家にも帰りたい。

「仲直りという事で、よろしいですかっ?」

笑顔でリトリーが訊いてきた。

仲直りと言われると、こちらも悪かったようなイメージがあるし、
こちらが仲良くしたいと思ってると言うような口ぶりでは…?

和解はしてもいいが、仲良くはしたくはないのである。
微妙な言葉だが、面倒なのでマリアローゼは頷いて、微笑を返した。
出来れば二度と神聖国には来たくは無いので、関わる事も今後はもう無いだろう。
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