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家庭教師は大魔法使い(変人)
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「……それは良い案だと思います。ルキオラ家から来られるのはどなたですか?」
「お父様とわたくしの知人、ウィスクム・ルキオラ様よ」
「叔父上と一緒で変人の呼び声高い、……大魔法使い」
母が挙げた名前を聞いて、シルヴァインが目を細めた。
そんなシルヴァインの膝を、ミルリーリウムがぺしりと叩く。
「ローゼの家庭教師に失礼は許しませんわよ、シルヴァイン」
「失礼致しました」
思ってもいなさそうな態度で、爽やかに微笑むシルヴァインを見ながら、グランスがミルリーリウムに尋ねた。
「お言葉ですが、彼は今、魔法都市で研究をしている筈では?」
「ええ、戻ってきて頂くのよ」
にっこりと事も無げに言うミルリーリウムに、グランスは面食らったように口を噤んだ。
一国の王ですら、彼を呼び寄せる事すら適わないという大魔法使いが相手なのである。
「ふふ、そんなに驚かないで良いですわ。元々旧知の仲ですし、ジェレイドとも親交が深かったのですもの」
言いながら、目でシルヴァインを窘める様に牽制しながらミルリーリウムはふんわりと笑んだ。
「魔法都市は遠いですから、来るまでにまだ時間がかかるでしょうけれど」
魔法都市と呼ばれるのは、グーラ商業国にあるアムレートという都市の名の通称である。
そこでは魔法の研究に特化し、魔法以外にも錬金術や魔道具の発明、売買が盛んであり、
魔法を極めたい者はその中にある、賢者の学院と呼ばれるリブロ・ディ・マージアに通うのだ。
魔法を使えることが最低条件なので、庶民にも門戸が開かれている。
貴族は大抵、聖シリウス学園に通うので、学園卒業前や卒業後に通う者も多い。
「出来るだけ、それも伏せておきましょう。ローゼが聞いたら、賢者の学院に通うと言い出しかねない…」
ありえそうな展開に、ふふっと笑いつつもミルリーリウムが頷いた。
領地では暫く、カンナによる体力作りと、商会や領地などの勉強など他の事に目を向けさせて、冒険を含む危険な事を遠ざけるという事で話は落着した。
その間に馬車は、ソルセという町に到着し、シルヴァインはマリアローゼを抱き上げて宿へと向かった。
ソルセは王の道の両脇を挟むように、店や家々が立ち並ぶ、長閑な町である。
王都から一日という近さもあってか、民家や農家も周囲に多く点在し人口もそこそこ多い。
町の周りは畑や果樹園があり、この町で獲れた物の多くは王都へと運ばれていくのだ。
マリアローゼが目を覚ましたのは、晩餐の時刻近くだった。
ベッド脇にはユリアがぴったりと付いていて、マリアローゼの顔を覗き込むようにしていたので、起き抜けにマリアローゼは「ひゃぁ」と声をあげた。
「お嬢様を脅かすのは止めて下さい」
「だって、今日殆どローゼ様とご一緒出来なかったんですよ!補充しないと補充!」
何を補充するというのでしょうか。
きっと何度注意しても、ルーナはこの調子でユリアに返されていたのだろうという予想はつく。
起き上がったマリアローゼに、早速ルーナが淹れたてのミルクティを運んできた。
「ありがとう、ルーナ」
受け取ったマリアローゼは、何時もの美味しいミルクティをこくりと嚥下した。
「晩餐用のドレスは何色になさいますか?」
「そうですわねえ、今日はルーナにお任せします」
「畏まりました」
「お父様とわたくしの知人、ウィスクム・ルキオラ様よ」
「叔父上と一緒で変人の呼び声高い、……大魔法使い」
母が挙げた名前を聞いて、シルヴァインが目を細めた。
そんなシルヴァインの膝を、ミルリーリウムがぺしりと叩く。
「ローゼの家庭教師に失礼は許しませんわよ、シルヴァイン」
「失礼致しました」
思ってもいなさそうな態度で、爽やかに微笑むシルヴァインを見ながら、グランスがミルリーリウムに尋ねた。
「お言葉ですが、彼は今、魔法都市で研究をしている筈では?」
「ええ、戻ってきて頂くのよ」
にっこりと事も無げに言うミルリーリウムに、グランスは面食らったように口を噤んだ。
一国の王ですら、彼を呼び寄せる事すら適わないという大魔法使いが相手なのである。
「ふふ、そんなに驚かないで良いですわ。元々旧知の仲ですし、ジェレイドとも親交が深かったのですもの」
言いながら、目でシルヴァインを窘める様に牽制しながらミルリーリウムはふんわりと笑んだ。
「魔法都市は遠いですから、来るまでにまだ時間がかかるでしょうけれど」
魔法都市と呼ばれるのは、グーラ商業国にあるアムレートという都市の名の通称である。
そこでは魔法の研究に特化し、魔法以外にも錬金術や魔道具の発明、売買が盛んであり、
魔法を極めたい者はその中にある、賢者の学院と呼ばれるリブロ・ディ・マージアに通うのだ。
魔法を使えることが最低条件なので、庶民にも門戸が開かれている。
貴族は大抵、聖シリウス学園に通うので、学園卒業前や卒業後に通う者も多い。
「出来るだけ、それも伏せておきましょう。ローゼが聞いたら、賢者の学院に通うと言い出しかねない…」
ありえそうな展開に、ふふっと笑いつつもミルリーリウムが頷いた。
領地では暫く、カンナによる体力作りと、商会や領地などの勉強など他の事に目を向けさせて、冒険を含む危険な事を遠ざけるという事で話は落着した。
その間に馬車は、ソルセという町に到着し、シルヴァインはマリアローゼを抱き上げて宿へと向かった。
ソルセは王の道の両脇を挟むように、店や家々が立ち並ぶ、長閑な町である。
王都から一日という近さもあってか、民家や農家も周囲に多く点在し人口もそこそこ多い。
町の周りは畑や果樹園があり、この町で獲れた物の多くは王都へと運ばれていくのだ。
マリアローゼが目を覚ましたのは、晩餐の時刻近くだった。
ベッド脇にはユリアがぴったりと付いていて、マリアローゼの顔を覗き込むようにしていたので、起き抜けにマリアローゼは「ひゃぁ」と声をあげた。
「お嬢様を脅かすのは止めて下さい」
「だって、今日殆どローゼ様とご一緒出来なかったんですよ!補充しないと補充!」
何を補充するというのでしょうか。
きっと何度注意しても、ルーナはこの調子でユリアに返されていたのだろうという予想はつく。
起き上がったマリアローゼに、早速ルーナが淹れたてのミルクティを運んできた。
「ありがとう、ルーナ」
受け取ったマリアローゼは、何時もの美味しいミルクティをこくりと嚥下した。
「晩餐用のドレスは何色になさいますか?」
「そうですわねえ、今日はルーナにお任せします」
「畏まりました」
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