悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

文字の大きさ
290 / 319
連載

初めての散歩と襲撃

しおりを挟む
「そうでした。冒険者の方が町で問題を起こす事はございますの?」
マリアローゼはまた、以前から気になっていた疑問を口にしてグランスを見上げる。
「国によると思いますが、基本的には無いかと思います。少なくとも内輪で解決すると思いますね。私闘は禁じられているので、ギルド立会いの下で決闘というのはあるかも知れませんが、個人的に戦うとなると懲罰の対象になるかと」

ふむふむ、とマリアローゼは頷いた。
漫画で良くあるような、強いランクの人でなしが弱者を一方的にいたぶるなんて事は普通は無い様だ。
もし、そんな事があったら国に問題視されて、治安を理由にギルドごと潰されそうではあるが。

「逆に町の治安強化にはなりますの?」
「それは、なると思います。自警団のない町でも冒険者ギルドの支部があれば、そこが中心になる事もありますので」

話しながらゆっくりと馬で移動して、広場の前の邸宅ホテルで馬を預ける。
マリアローゼはグランスの人差し指を握って、楽しそうに歩き出した。

「わたくし、二人で町をお散歩するのは初めてですの」
「その様な栄誉を私が賜って良いのですか?」

穏やかな笑顔で返したグランスを見上げて、マリアローゼも微笑んだ。

「グランスはずっと側に居て守ってくださるのだから、良いのです」
「お嬢様に好きなお相手が出来たら、なるべく遠くからお守り致しましょう」

マリアローゼの嬉しそうな声に、ふっと懐かしそうな目をしたグランスが優しく答える。
まだまだ先の話にはなるだろうが、マリアローゼも驚いた顔をした。

「まあ!グランスったら気が早すぎますわ。それにわたくしはお嫁に行くつもりはありませんから、ずっとわたくしに付き合わなくてはならないかもしれませんのよ」
「何時まででも」

くすり、と優しく笑うグランスを見上げて、マリアローゼは視線を町並みへと戻した。

女性の一人歩きはやはり危険なので、女性用の公衆浴場は大邸宅が高級ホテルと化した広場に面した場所に建てるのが、良いかもしれない。
特に貴族の女性が、わざわざ部屋の風呂よりも選ぶような浴場だとしても、遠ければ選択肢から外れてしまう可能性もあるのだ。
広場なら平民の女性や子供も安心して過ごせるだろうし、帰る道も選べる。

広場を横切る大きい道を西に行くと、港が現れる。
漁師や、荷物の揚げ降ろしをする荷役人達が、忙しそうに働いていた。
潮の香りと海産物の香りがして、海沿いの道を左へ折れる。
港からやや近い場所は商業区域だ。
荷物を運びやすい場所に、工房などが軒を連ねている。
広場に面した場所には店が並んでいるので、裏通りと言ってもおかしくない場所で、不意にマリアローゼをグランスが壁際に寄せた。
そして、その前に立ちはだかる。

「手荒な事はしたくありません。どうか、ご同道戴きたい」

壮年の男の声がするが、グランスは目の前から退かなかった。

「お嬢様をお連れしたいのであれば、正式に城へ招待状を出すべきでは?」
「それは一度断られているのでね」

(初耳ですわ!
断ったのは十中八九、レイ叔父様ですわね?)

囲んでいた男の1人が、奇声を上げてグランスに斬りかかり、グランスは難なく一刀の元に斬り捨てた。

「よせ!」という男の声が無視された形だが、仲間を斬られた荒くれ者達がそれを更に無視して、グランスの剣の餌食となる。

見えないけれど、倒れた男達と、血の匂いがそれを現実だと教えてくれる。
その時、リン、とその場にそぐわない涼やかなベルの音がした。
入り口に備え付けられたベルが鳴る音で、この騒ぎを知らない誰かが扉から出てきてしまったのだろう。
わずかに、グランスが立ち位置を変える。
その背が僅かに緊張感を帯びていた。

「この子供が、どうなってもいいのか?」

目の前に立っていたグランスに視界を塞がれて、何が起こっていたのかは分からない。
が、通りに面した建物から出て来た子供を人質に取ったのだろうという事はマリアローゼにも理解出来た。
マリアローゼは静かにグランスに命じる。

「グランス、お退きなさい」
しおりを挟む
感想 154

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。