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第十話

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目が覚めると、なにやら不快感を覚えた。



起き上がると隣にはミランがいない。



寝ぼけたままシーツを見ると濡れていた。



だがアルグレンの寝巻は接しているところ以外は濡れていない。



まさかと思い、すぐにベッドから降りて全貌を見ると不思議な形をした



おねしょの跡があった。



ーーー



「シャーロット、来てくれないか」



早朝からアルグレンから呼ばれたシャーロットは部屋へと向かう。



「ミランは見てないか?」



顔をふると、アルグレンは言いづらそうに言った。



「すまん、彼女と一緒に寝たんだ。別に何もしてない。頼まれたんだ。



そして起きたらこうなってたんだ。」



アルグレンはバツの悪そうに言った。シャーロットは別段気にする様子もなく



「そうですか。片づけをしておきますからお着換えをなさってください。」とだけ言った。



ーーー



あーなんだかいづらくなったなとアルグレンは思った。



別に特別な関係を持っていないと言っておきながらミランと寝たのだ。



しかし何もしていないとはいえ、疑われても仕方がないだろう。



もうシャーロットは相手にしてくれないだろうなと残念がり、結果としてはミランの提案通りに



今日支度をして村を発つべきだなとアルグレンは考えた。



着替えてから、気分を変えて散歩していると村長がこちらへやってきて話しかけてきた。



「アルグレン様。おはようございます」



「おはようございます」



適当な世間話をしていると、だしぬけに村長は言った。



「・・シャーロットは気に入りましたか?」



えっとだけ言葉に詰まる。



まさか逢瀬がばれているのかとぎょっとした。



「や、優しい子ですね」



「あの子は母親を産まれてすぐになくしていますから。今は家事もなんでもこなしてくれる親孝行な娘ですよ」



と言って、村長はシャーロットの子供のころの様子や思い出を語り始める。



そうして、話にひと段落がついたころで村長の家へ着いた。



ではと言って村長と別れ、部屋に戻るとミランがいた。



先に朝食を食べているが目が合うと彼女はすぐ目をそらした。



気を使ってこちらも目を合わせずもくもくと朝食をとり始める。



「今日出発しようか。」



言ってみるとミランは反応せず無言のままだった。



ーーー



朝食を取り終えた後、部屋でシーツを取り換えたベッドでゴロゴロしていると



シャーロットが入ってきた。



なぜか朝の一件で彼女に気まずさを感じていた。



「あのアルグレン様」



「あ、シャーロット。実はもうこの村を発とうと思ってて」



そういうとシャーロットは大きく驚いて



「そんな!まだゆっくりしていってください!私たちはあなたたちを迷惑だと思っていませんから!



・・・もしかしてわたしがなにか粗相をいたしましたか?」



しばらく間が空いた後、彼女はハッと一人合点がいったようだった。



そして唐突にシュルシュルと衣服を脱ぎ始めたので



アルグレンはうろたえていたが、やっと



「ちょ、ちょっと待って。先を急ぐ旅だから。別にシャーロットのせいじゃないから」

と言った。



しかしかまわずに彼女は脱ぎ終わりアルグレンの隣へ横になって



「私でよければいくらでも。昨晩は申し訳ありません。」



と謝ってアルグレンの肩に頭を載せた。



ふわりと彼女の髪からいい香りがした。



それが出発する覚悟を鈍らせアルグレンは自制のなさを嘆きながら彼女の額にキスをした。



ーーー



おねしょしてしまった。



ミランはうんざりする。



思い出すだけでも気持ち悪いが、男どもにまわされた夢を見てしまった日には



夢の中で失禁してしまう。更にそれが現実になっちゃうんだからタチが悪い。



そのせいでアルグレンとは今朝から気まずくなってしまった。ようやく会えた運命の人なのに。



私ったらもう・・・こんな醜態をさらすなんて・・・。



ミランは両手で顔を塞ぎ、強く眉をひそめ一刻も夜尿を忘れようとした。



ーーー



公女ミランダをのせた馬車の列は



国境沿いの山道を馬車で移動していた。



しかしそれを察知した山賊に襲われた。



護衛もいたが敵のほうが数が多く、すぐに使用人も含めて殺された。



10年前の戦国期、そこで実践を経た狡猾な山賊たちは経験が浅く若い騎士達を一方的に攻撃した。



騎士達は奇襲のせいでうろたえてしまい、さらに山賊たちは地形を効果的に生かし、想定外の場所から手斧を投げ矢を飛ばした。



馬が射抜かれ馬車は転倒し、ミランは投げ出された。



その後、同乗していた使用人たちはみな斧で脳天をかち割られ、ナイフでのどを切り裂かれ死んだ。



赤黒い血が、地面を濡らし、筋骨隆々の男どもがミランを囲んだ。



戦闘後にミランだけが身代金のための人質として生かされたが、



その後ミランは死んだ方がましだと思うほどの生き地獄を味わった。





毎日犯された。



気まぐれに無造作に。



代わる代わる、違う男性器が私の口を、肛門を、そしてミランの性器を割って挿入り、弄んだ。



純潔を表す赤黒い血が汗と涙でぬれた地面に滴った。



ーーー

晩に黒髪の少女は野暮な数人の男たちに囲まれていた。



「やめて!なんでもするからそれだけは!」



悲痛な少女の訴えは無下にされ、



平手で男に殴られる。髪を引っ張られ口の利き方を矯正される。



「引っ張らないで!いたっ! ひっ引っ張らないでくださいっ・・!」



涙する。



「たたくのはもうやめてください。もう挿入れないでください。痛いんですずっと。血が出てるかもしれないんです・・・」



涙声で訴える。



「き、気持ちいいです。ほんとは気持ちいいです!だからもっと、もっと優しくしてください・・・」



涙を流しながら必死に作った作り笑いで訴える。



「はい!まだできます!まだできますからどうか乱暴にしないでください・・」



涙跡が残った顔で疲れたように無理に口角をあげ嗤う。



「やめて、やめてください・・・お願いです。お願いです・・・・」



涙が出尽くした後、祈るように、言う。



しかしそういうと山賊どもはさらに喜んだ。もっと彼女を嗜虐するために乱暴にいたずらに犯し続けた。



ーーー





そんな日が続いた後で、山賊たちは他の山賊と争った。



しかし敗れ彼らは逃げ去り戦利品として私が別の山賊たちのものとなった。



最初は助けかと思ったが変わらず犯され続けた。



前と変わらず臭い性器を無理やり咥えさせられ、まずい体液を飲むことを強要され



私はだんだん心を殺し抵抗するより早々に終わらせる方針へと変えた。



まず味に慣れた。



つぎに舌の扱いを覚えた。



さらに締める加減と征服感をあおる啼き方を覚えた。



そして私にはそんな才能があると嘆きながら気づいた。



ある三日月の晩のこと。



ミランは強風が吹いたなと感じた後、血しぶきがかかった。



何が起きたのかわからず咥えていた男の顔を見ようと目線を上げると



胸から上の部分がない。



悲鳴を上げて、逃れようとするも腰に力が入らない。



もがこうとしてもうまく両手が地面をつかめず進まない。



殺される。殺される。



四つん這いで無様に逃れようとしていると



「大丈夫?」と優し気な声が後ろから聞こえた。
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