助けた少女と共に暗黒龍を倒す話

藤助18

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第十二話 

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ミランはひたすら走った。

 

 やがて村の端にまで到達し、そのまま村の外へ出ることができた。

 

 どうしてか人が少なかったが、焦るミランは大部分がアルグレンのもとへ集まっていることを知る由もなかった。

 

 ミランは村の外へ出てある程度の距離まで到達し後ろを振り返って追手がいないことを確認してから一息ついた。

 

 アルグレン・・

 

 正午がすぎ、日はすでに真上にはなかった。

 

 あなたもすでにあの村人達に襲われたのね・・・

 

 ミランは直感的に察した。



村人たちの態度。



おそらくアルグレンは彼らに襲われたのか。



幸運にも自分は逃れたこと。だがミランは安心できなかった。



あの人を救わねば。



ミランはアルグレンに救われたことを思い出した。



待っててアルグレン・・・・



あなたを助けるから。



そうしてミランは町へと至る道を歩いた。



ーーー



「あれ?女の子?」



道を歩く青年は不審に思った。



この道を一人の少女が歩いている。



こんな不用心なことはない。



戦争が終わってもこの辺りは山賊が多く出る。



それも見たところ・・・



青年は好奇心にいてもたってもいられず彼女に声をかけることにした。



ーーー



「ねぇ 君?」



ミランは後ろから声をかけられた。



男の声だったので警戒したが、後ろを見てひとりだったし武器を持っていなかった。



だが



「何?」



怯えながらもそれをおくびにも出さず、強気にミランは返事をした。



青年は早歩きで近寄ってきて



「君一人?不用心だよ。女の子一人で」



ミランは女の子一人でということにひっかかかったが



「お使いよ。町へね」



とあくまでシャーロットがいた村の出身という体で嘘をついた。



幸いにも、あの村からもらった服があるのでごまかしはきくだろうとミランは



考えた。



「へぇ、でも危ないから一緒についていくよ」



と青年は優しく彼女の後ろを歩き始める。



「ふぅん」



ミランは怯えたが、青年は行商らしく背中に大きなカバンを背負っており



最悪全力で逃げれば何とかなりそうだと考えた。



「そう」と言ってミランは彼の同行を許した。



どうせ今日中には山を下っても町へはつきそうにもないからだ。



ーーー



「ねぇ君、名前なんて言うの?」



「・・・・ミランダ」



「ミランダ?へぇー」



「君、あの村の出身なんだよね?あそこ山間で何もないよね。村にはお使い?」



「・・そうよ」



思ったことをそのままいう人なのねとミランは思った。



別にあの村に愛着もないが、あの村出身という体で彼女は彼と話しているのに



よくも面と向かって悪口をいえるものだ。



思ったことをそのままいう人なのかしらとミランは思った。



「あの村はさ、よく行くから案内してあげるよ」



あの町へは行ったことはあるが、散策はしたことがない。確か馬車の乗り換えで来たくらいだったか。



家には手紙を送りたいし、アルグレンも助けたい。



そう、何よりアルグレンの救出だ。一刻を争う。



「・・えぇ頼むわ」



ーーー



だんだんと日が暮れて暗くなってきた頃、二人はこの辺りで野宿することに決めた。



青年は手際よく、野宿の用意を始める。



「ずいぶんと手際がいいのね」



「まぁこの辺りを中心に、商売をしているからね。手慣れてるもんさ」



と言って青年は得意げになる。



「ところでさ、ミランダ。僕の・・・」



「?」



「ぼくの名前さ。聞いてよ」



「あぁ」



興味がなくて忘れていた。道中は何もしゃべらなかったし青年を呼ぶ機会もなかった。



「あなたの名前は?」



「メトジェイ。覚えた?」



「たぶん」



火がついて、彼は荷物から何かを取り出した。



ミランは注目してみると、それは固くて古そうなパンだった。



「はいどうぞ」



青年は半分に折ってそれをミランに与えた。



ミランは礼を言って、それを受け取りかじる。



・・・固すぎる。



普段食べる柔らかいそれと異なり、旅人はこんなものを食べているのか。



あの村でもそうだったが庶民はひもじいだけでなく、おいしくないものを食べて



さらにそれらをありがたく食べている。



ミランは最近の驚きを改めて感じながらパンをかじる。



しかし



「固い」



青年は困りながら革袋を取り出し手渡す。



ミランは革くさく生ぬるい水を飲む。



水はやや痛んでいるのか変な味がする。



においのせいでミランは食べたくなくなってしまった。



「これ、分けてあげるよ。特別だよ」と言って



青年は白い粉がはいった小瓶を取り出す。



そしてそれを彼女のパンに振りかけた。



塩らしい。



それとミランはパンに水を含ませて柔らかくすることで完食した。



青年はすでに食べ終えていたようで横になっていた。



ミランも食後と焚火の心地よい音で眠くなってきた。



ーーー



眠い・・。



まどろんでいると、妙な心地がした。



はっと気づくと夜空が見える。



寝るつもりじゃなかったが寝ていたらしい。



だが、それより気になるものがあった。



青年、メトジェイの顔が映った。



額に汗をかき、何か必死な様子である。



「ふっふっ、うぅふっ!」



「ひっ!?」



ミランは意味が分かり飛び起きるとメトジェイもこちらに気付き目を見開き驚く。



下半身をむき出しに、性器をしごいていた。自慰をしていた。



それからミランは自分の体をみるとスカートがめくられ自身の性器が、



ブラウスがめくられ方より下方の胸からへそまでがむき出しになっていた。



ハッと気づいて胸と性器を隠すように手を添えると、胸がぬるりとしていた。



吸われたらしい。



怖い、怖い、誰か誰か



悲鳴を上げ立ち上がりミランは一目散に駆け出した。



「あっ、くそっ、待ってよ!!待って!!」と声が後ろから響いた。



ーー



「あーあ、逃がした。」



メトジェイは愚痴る。



溜まったものをここで吐き出すいい機会だったのになとこぼす。



「これどうすんだよ」



ギンギンになった性器を見下ろす。



「しかしきれいな娘だったなぁ、押さえつけて無理やりすればよかったか」



胸は控えめだがある。だがくびれがすごい・・・



警戒されていたのは分かっていた。水と混ぜて眠り薬を混ぜたが、いかんせん量が少なすぎた。



味でばれないようにするまでうまくいったんだがなぁ。



青年が酒場でよく使っていた手段である。



町にいけば女を抱けるが、金がかかる。



「・・・あの子、町に向かってるよな」



町の方向を見る。



「・・・また会えるか」



今度会ったら、捕まえて奴隷商人でも売ろうかと青年、メトジェィは考えた。



高く売れるだろうなぁ、おっとその前に彼女を犯そう。



メトジェイは決意した。



ーーー



ミランはひたすら走った。振り向いて焚火の明かりが見えなくなるまで走ったあたりで



「うぷ、うおえぇ・・・」と吐き出した。



全力で走ったせいで食べたものが出てしまった。



どろどろになったパンだったものを道端へ吐き出してからぜぇぜぇと息を荒げながら、口の端を袖でふいた。



ふらふらになってゆっくり歩きながらも、追ってこないか不安で何度も振り返る。



しばらく歩いて足音がしないことから追ってこないと判断しミランは道の端で腰を下ろす。



眠い。 疲れた。 足が痛い。



半日歩いたのと、村での一回と出会った男(メトジェイ?)から逃げるための合計二回全力で走ったので



ミランは疲れ果てていた。



眠ろうと、木陰へ行き良い具合に隠れられそうな場所を見つけて安心してせいか尿意が来た。



ぶるっときてミランは離れた場所でしゃがみ込んでスカートをめくり



「ん、ふぅ・・」



放尿した。



性器をその辺に落ちている柔らかそうな葉をとって尿を拭きとり、立ち上がる



その後、ミランはうずくまって眠りについた。



月がない夜だった。





ーーー



寒さで早朝にミランは目覚めた。



地面が濡れている。



ぼんやりとした目で雨が降っていることがわかり、ミランはため息をつく。



上を見ると木が屋根代わりになったおかげか、そこまで濡れていない。



だがぽたりぽたりと葉の隙間からしずくが落ちる。



このまま雨が続くなら、ミランは追いつかれるかもしれない。



青年は商人だから雨具くらいは持っているだろう。



ここで雨が止むのを待てば追いつかれるかもしれない。



ミランは寒さと恐怖で震えた。



もう嫌だ。



家に帰りたい。家に帰りたい。アルグレン・・・。





山賊に殺された仲の良かった使用人と女中の名をつぶやいた。



ミランはしばらく彼女らとの思い出に浸ることで現実逃避をした。



ぼーっと降りやまない雨を見ながら。



やがて雨の勢いが止んできて位で、ミランは出発することを決意した。



アルグレン、あなたが誰といても・・・



ぐっと歯を食いしばってあの女、シャーロットを思い出す。



恩人のあなたを救うわ。



ミランは歩きだした。
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